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楽天やリクルートの投資担当を務めながら4社を経営――この男からなぜ起業家魂の火が消えないのか

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楽天をはじめ大企業でアライアンス・投資部門に在籍してきたMasaaki Hatano氏だが、大手での仕事と並行して自らビジネスを立ち上げ続ける起業家としての顔も持つ。なぜ大企業でのキャリアではなく、自身での起業にこだわるのか?その選択の裏には「なぜ働くか」という問いに対する彼なりの哲学があった。


Masaaki Hatanoとは何者か?


あまり表に出てくることのない大企業における投資・M&A・事業アライアンスの担当者。そのひとりとしてユニークなキャリアを持つのが、Masaaki Hatano氏だ。

彼は自身での起業を経て、楽天にジョイン。2011年から2014年までの間、海外スタートアップとのアライアンス担当として働いた。その後、2015年までリクルートにて国内外の教育関連投資を担当。そして2016年、企業に雇われて働くという形は一旦打ち切り、改めてスモールスタートのスタートアップにチャレンジしていくそうだ(在職中に立ち上げた事業も含め、現在は国内外4つのスタートアップを経営している)。

名だたる企業でビジネスアライアンスやデューデリジェンスを経験すれば、その道のプロとしてやっていく道もあるはず。一般的には多くの人が羨むキャリア、そして収入を手にすることも難しくないだろう。それにも関わらず、なぜMasaaki Hatano氏はスモールスタートの起業にチャレンジし続けるのか?そのウラ側には彼の「自らの人生を豊かにする」という哲学があった。

【プロフィール】
Masaaki Hatano

BeSomebody代表取締役CEO/Onclick Academy Founder & COO /Sorasuke Inc.代表取締役CEO / KEY STATIONS Inc.代表取締役CTO

インドネシアで生まれ、小学校高学年までオーストラリアで育つ。青山学院大学卒業後、タイのチュラロンコン大学院に進学。卒業後はイギリス資本の「PTSコンサルティング」に就職し、複数の大手金融機関を担当。リーマン・ショックを機に退職し、Web・IT系の複数のスタートアップに参加。2011年から2014年は楽天にて海外スタートアップ企業とのアライアンスを担当しながら、自身でもオンライン教育サービスやキャビンアテンダント向けアプリ開発などで起業。2014年から2015年はリクルートホールディングス投資部門にて国内外の教育関連投資も担当した。


初の起業は大失敗。借金250万円から再スタート


― 起業を経て楽天に行き、並行して自身でビジネスも立ち上げ...と、すごくユニークなキャリアですが、どういう分野がご専門なのでしょうか?

僕自身もうまく説明できないんですよね(笑) もともとイギリスのコンサルティング会社で、ITコンサルの営業としてキャリアをスタートしました。企業の投資部門にいたこともありますが...、今は自分の会社に集中しています。

― なぜ、起業家を志すようになったのでしょう?

最初にチャレンジしたコンサルタントの仕事も、大きな金融機関をいくつも担当して学ぶこともたくさんあったのですが、ふと疑問に思うことがあったんですよね...。誰かに"ありがとう"って言われることがほとんどない仕事だったので「この仕事って一体誰が喜ぶんだっけ?」と。

リーマンショックもきっかけになって自分のやりたいことを見つめなおし、会社を辞めて、その時、鎌倉のシェアハウスで一緒に暮らしていた友だちと「直接、お客さんに喜んでもらえるようなtoCサービスを自分たちでやろう」と起業しました。

そこからWeb制作であったり、外国人向けのコンシェルジュサービスであったり、いろいろチャレンジしたのですが...ビジネスの経験不足で見事に赤字。最終的にそれらのサービスは全部クローズして、個人的には250万円の借金だけが残って...。

― 当時はまだ20代ですよね。その借金はどうしたのでしょう?

ちょうどその頃に、オンライン広告事業をやる会社で、日本の漫画コンテンツを海外に輸出するというビジネスをはじめたんです。たまたま知りあったアメリカの起業家に誘われて。それがうまくいって漫画ビジネスのほうを日本の大手出版社に売却できました。

― 個人的な借金があった上でさらに新しいビジネスをはじめるというのは、普通に考えたらリスクだと思うのですが?

逆に借金があったからこそ、オンライン広告の技術もコンテンツビジネスもよく知らなかったのにがむしゃらにがんばって、なんとかできたんです。いま振り返ってみてもあの時チャレンジしたことで、崖っぷちからうまくいく「アップダウン」が経験できたし、なによりも「やりたいことのために後がない状況に自らを追い込んで、がむしゃらにやればなんとかなる」ということが身を持って学べたのはよかったですよ。

― 結果として成功できてよかったですよね...

チャンスをつかめたのは、上手くいっているように振る舞っていたのが良かったと思います。どれほど大変なときも、大変だ...もうダメだ...ということは表に出さない。だって「上手くいってない顔」をしている人と誰も仕事をしようとは思わないでしょう?大変なときこそ外に出ていろんな人に会ったり、わざと少し高めのコーヒーを出す店で仕事してみたり(笑)

常に"自分はこうありたい"という理想を明確に持っておくこと、それに対してブレないように行動するということが大事だと思っています。


楽天社員として世界を飛び回り、夜は個人ワークに没頭する日々


― そういったピンチを乗り越え、楽天にジョインされたわけですが、どういった経緯があったのでしょうか?

たまたま僕がオンライン広告の会社をやっていて、海外のスタートアップ事情にも詳しそうだということで声がかかりました。楽天もちょうど新規ビジネス、Webの広告を強化している時期だったので、そこをお手伝いするカタチですね。「ワークスタイルは基本的に自由。既存の枠にとらわれずに楽天に新しいネタを持ってきてくれたらいい」といった条件で、それなら面白いかも、と。日本の大企業に入るチャンスなんて一生に1回あるかないか、こういった思いもありましたので。

― 楽天ではどういった仕事を?

サンフランシスコ、ニューヨーク、ロンドンを中心に...海外のさまざまな起業家に会って投資やM&Aを提案したり、事業提携のプランを作ったり、交渉をまとめたり。あとは海外の広告カンファレンスに行くことも多かったですね。はじめて日本の大企業に入ったんですけど、すごくいい経験になりました。とくに「大企業の冠」の力を思い知りましたね。たとえば、アポイント一つとっても「楽天の○○です」って言うだけでみんなドアを開けてくれる。もし冠がなかったら10日かかるところ、メール1本で済んじゃう。それまではいつも「Masaだけど、よろしく」みたいな感じでやっていたから、はじめは楽天社員という肩書きで仕事することに馴染めなかったのですが、利用できるところはしていくようになりました。


望めば誰でもプログラミングが学べる世界に


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― でも今はまた大企業の看板を捨て、個人で勝負されているわけですね。

じつは楽天時代も、個人の仕事はしていたんですよね。本来は副業NGだったのですが、上司の承認を得て、業務外で。具体的に手がけていたことのひとつは、英語で提供されていたUdemyのプログラミング講座を翻訳し、日本に持ち込むというもの。会社から帰ってきて、夜中までプログラミング講座を日本語に翻訳する。こういった日々をだいたい半年ほど続けました。吹き替えも全部自分でやって。忙しすぎて半年で2回くらいしか飲みに行けなかったな(笑)

― なぜ、そこまでパワーをかけて個人ワークに取り組まれたのでしょうか?

はじめは「海外の優秀な起業家と交渉するのにプログラミングの知識がないとまずい」という個人的な危機感から、その講座で勉強するつもりだったんです。でも勉強する前に、ビジネスチャンスに気づいて。僕が翻訳したのはUdemyで一番人気のある講座で、今は7万人、当時でも世界中に4500人の受講者がいて。概算ですが、その時点で1億円を稼ぎだしていた。これは日本にも必ずニーズがあるはずだ、と。それでポルトガルに住んでいるオリジナル版の作者に直談判して、日本語版を販売しようと思ったんです。

翻訳をはじめると、僕自身がその内容を深く学ぶことになって、オンライン講座の価値に気付かされました。もし、実際にスクールに通ったら年間100万円ほどかかるプログラミングの講座が、オンラインなら数万円で学べます。プログラミング習得のハードルを下げることで、望めば誰でも学べて作りたいものを作れる世界にしたいと考えるようになり、没頭していきました。

結果的に、時間はかかりましたが、堀江貴文さんにご紹介いただくなどしてヒットさせることができたし、自信にもつながりましたね。

― そのオリジナル版作者への直談判はスムーズにいったのでしょうか?

それが、はじめはメールやSkypeで交渉したんですが全く信用してくれなくて。それなら...と、すぐポルトガルに飛んで直接口説きにいったんです。じつはその彼、もともとサッカー選手だったので、一緒にサッカーしたり、試合を観に行って大はしゃぎしたり、1週間ほど滞在してすごく仲良くなって。ビジネスの話は全くしていないんですけど「お前になら任せるよ」と言ってもらうことができました。

― いきなりポルトガルに飛ぶなんてすごい行動力ですね。

若い時からずっと持っている強みとして「語学力」と「スポーツ」と「フットワークの軽さ」があるんですよ。それでいろんな国の人と仲良くなり、さまざまな物事を切り抜けてきました(笑)

― プログラミングや語学力、金融・投資の知識などに加えて、そういった「人間力」もグローバルに活躍する上では必要なスキルといえるのかもしれませんね。

それはあるのかもしれません。なにより根本にあるのは「自分の人生のために生きよう」ということで。そういった根っこさえあれば、大抵のことはできてしまうんですよね。

楽天ではかなり自由にやらせてもらっていたし、三木谷さんのビジョンにも凄く共感しています。でも、楽天は三木谷さんの会社ですよね。その後、リクルートでも投資関連のビジネスを担当させていただきましたが、それも他の人がやりたいことのお手伝いでしかない。「もっと自分の人生を貪欲に生きよう」と、自分で事業をやる形にたどり着きました。

― 仮にまた他の会社から「投資やM&Aなどを手伝ってほしい」と言われたらどうしますか?

もちろんケースによるのですが...企業の投資部門で働くことにはやっぱり多少歯がゆさがあって。個人的に有望だと思う投資先があっても、企業の方針と合わなかったり、変更があったりすれば、話そのものがナシになることが多い。そう思うとやっぱり自分で起業する方が楽しいですね。教育事業はライフワークと決めていますが、それ以外にも「周りのみんなが喜んでくれそう」とか「世の中がもっとよくなりそう」というアイデアが軸にあって、かつ「簡単ではないから他の人はやらないけれど、できたらすごい」ということを、僕はやりたいんです。結果として、いま4つも自分で事業をやっていて、もう少し絞ったほうがいいかな、なんて考えてるんですけどね(笑)


日本人はもっと「人生」に対して真面目に向きあうべき


― 最後にMasaさんの人生の目標、そして生きる上で大切にしていることについて聞かせてください。

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愛読するリチャード・ブランソンの著書『The Virgin Way: Everything I Know About Leadership』を手にするMasaaki Hatanoさん。

僕の人生の目標は「行きたい時に、行きたい場所に、行きたい人と行って、食べたいものを食べる」ということ。それを可能にするには金銭的、時間的な自由、あとは最高の仲間が必要だから、そのためにできることをしています。例えば自由でいるために、あまり会社を大きくしないとか決めていることもあります。

コンサルタント時代、大手金融機関がお客さんだったので、世界中の富裕層の方々と多く知り合いましたが、「その瞬間を楽しむために無理やりお金を使っている」という人も少なくありませんでした。そういうことに付き合っても、僕は楽しいと思えなかった。そういった経験もあって「ほしいのはお金じゃない」と気づくことができました。

僕はヴァージングループのリチャード・ブランソン会長が大好きなんです。彼はものすごい成功者ですが、お金を稼ぐということにそこまで執着していない。なによりも自分の家族を中心に「まわりの人たちの幸せ」を目的に動いています。2014年にリチャードが主催しているスタートアップのコンペに出て、それがきっかけとなって彼のプライベートアイランドに招待してもらったことがありました。そこでは「みんながFunになれば自分もFunだ」と、彼が誰よりも高いホスピタリティを発揮していた。そのリチャードの姿を目の当たりにして、「自分がほしいものを明確に理解できている人」ってじつはそう多くないし、そこが明確にできていれば、どのような壁も乗り越えていけるんだと思いました。

もし、いまの仕事や生活に窮屈さを感じているなら、一度自分がどんな人になりたいか紙に書いてみるといいかもしれません。「なりたい姿になるために、いまの窮屈さにも意味がある」と気がつけばがんばれるし、そうでなければ辞めればいい。日本人は仕事に対してものすごく真面目ですが、自分の「人生」に対しては不誠実だと思います。どんな自分になりたいか、もっと「人生」に対しても真面目に向きあうべきですよね。

― 世間の評価や一般的な成功イメージに囚われず、「自分自身がどうありたいか」をじっくり問うてみよということですね。新しい年の始めにとても有益なアドバイスでした。ありがとうございました。


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本記事はCAREER HACKで掲載した記事を一部編集して掲載しています。CAREERHACKは、「WEB・IT業界で働く人々の人生を少し豊かにするメディア」として、話題の人へのインタビューや気になる会社への訪問レポートなど、"いま注目のヒト・モノ・コト"という切り口の記事をお届けしています。

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