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「ロボットを夢で終わらせない」パワードスーツ「スケルトニクス」 に込めた白久レイエス樹の野望

投稿日: 更新:
SDNFAO
エンジャパン
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ロボットに乗りたい--つまらない大人は「夢みたいなことを...」と一蹴するかもしれない。しかし、それを現実にし、ビジネスにしようとする若者がいる。パワードスーツ『スケルトニクス』を開発した白久レイエス樹さんだ。好きな事を仕事に...なんて夢?じゃあ何のために生きる?白久さんへのインタビューを通じて考えたい。

■ ロボットを夢で終わらせない。現実に、そしてビジネスに。

25歳といえば、世の中的には「ゆとり世代」「さとり世代」といわれ、「上昇志向がない」「欲がない」「大きな夢を持たない」など偏見の目に晒されることも多い。一方で、この世代からも続々と素晴らしい才能が生まれている。

その一人としてCAREER HACKが注目したのが、今年25歳を迎える白久レイエス樹さんだ。子どもの頃からの夢だった「ロボットに乗る」を現実にするべく、約3年前に外骨格(パワードスーツ)『スケルトニクス・初号機』を高専のメンバーたちと開発した。

その後、東京大学大学院に進学し、2013年にはIPA未踏事業に採択。大学院卒業後、白久さんが選んだ道は就職ではなく、ロボットで生計を立てていくことだった。夢を夢で終わらせるのではなく、ビジネスとしても成立させていく。スケルトニクスは現在、第五世代まで進化を続けている。

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スケルトニクスが掲げるのは「世の中にないものをつくる」という部分。その結果、他の会社も「おもしろそう」と参入し、市場を創出したいと白久さんは語る。

まずBtoBで自身によるパフォーマンスやレンタル、販売を展開し、ゆくゆくは子どもたちが乗って遊べるようなBtoCへ。さらにはクルマ並みのスピードで歩いたり走ったりする『エグゾネス』というロボット開発を...と、野望は大きい。

つまらない大人たちは「そんな夢のようなことを...」と一蹴するかもしれない。でも、もしそう思うならば、何のために働き、何のために生きていくのか?白久さんへのインタビューを通じて、考えるきっかけにしてみたい。

■ 冷静にみて、スタートアップがキャリアにおいても最良の選択

― スケルトニクスで昨年起業されたと伺いました。選択肢として「趣味でロボットをつくる」ということは考えなかったのでしょうか?

もちろん会社で働いてみることにも興味はあったのですが、自分で会社を作ったほうが、より自分の好きなものが作れるのではないか、と起業することにしました。

ロボットで生きていくことも不可能ではないし、キャリアにおいて冷静に見ても、スタートアップが最良の選択だと思ったんです。

というのも、勝手なイメージですが、メーカーの技術者だと「今月はコレを作るぞ」みたいな話から仕様に落ちて開発すると思うんですけど、自分で会社を経営すると、ビジネスモデルから考えていくことができます。その他にも、スタートアップに挑戦することで源泉徴収がわかるとか、税金について学べるとか、人脈が広がるとか。最初の数年がダメでも、その経験によって得られるものは大きくなっていくのではないか、と。

なんとなく人と違うことやってるから「危ない」というイメージがあるだけで、掘り下げて冷静に分析すれば、割と危なくないんですよね。

結局、収入が安定せず、厚生年金が納められないとか、将来的に家族を養えないとか、両親の介護ができないとか、多くはお金と生活の問題に落ちてくるのですが、それを一つひとつ解決していけばいい。

― 実用性が薄い人型ロボットだとビジネスになりづらい印象もあるのかもしれません。もっと人型のロボットが普及すれば可能性も広がりそうですね。

すぐには難しいかもしれませんが、普及する可能性は充分あると思っています。まずはペット感覚から入り、お留守番をするとか、家電をつけるとか、だんだんと機能が増えていって。

最近だと、二等身や三等身のキャラクターが多くて、見た目は赤ちゃんに近い。すると、大したことができなくても許せてしまう。プログラミングされてる動きもかわいいものが多いですよね。

ただ、これが巨大化すると凄く期待されてしまう。スケルトニクスもそうですが、重いものは持ち上げられないのか?とか、速く走れないのか?とか聞かれるのですが、今は「かっこいいだけなんです」っていう(笑)。ここはハードルが高いですが、将来的には、動作可変型スーツとして『エグゾニクス』という車に変形するプロダクトなども構想しています。

― 人型ロボットってある意味で特殊ですよね。実用性よりも「乗りたい」とか「かっこいい」とか趣向によるところが大きい。

日本独特のカルチャーかもしれませんが、人型ロボットが出てくるアニメってすごく多いですよね。その刷り込みは大きいと思います。

もし、スケルトニクスをアメリカで見せたら「乗りたい」よりも「怖い」が先にくるかもしれない。アメコミのスーパーヒーローみたいな文化だから、搭乗型よりも肉体強化系のほうがウケるのかもしれません。

そんな中でも、日本だとロボットは「友だち」という感覚もどこかにあって、特に人型のシルエットだと無視できないものになる。僕らもスケルトニクスに、どこか人格を感じていて、そういったところも魅力だと思っています。

■ めちゃくちゃ舐められていた時代からの大逆転

― 小さい頃の夢は大人になったら諦めてしまうことが大半だと思います。でも、夢で終わらせずに現実にしよう、と。その原点には何があったのでしょう?

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めちゃくちゃ舐められてた時代から大逆転した、という経験はすごく大きいと思います。毎年NHKで放送されている高専ロボコンというコンテストがあるんですけど、僕らは高専4年の時に優勝していて。

僕は沖縄出身で、沖縄に高専ができたのも最近の話なのですが、その2期生として入学して。当時は沖縄が高専ロボコンで優勝するなんて夢のような話でした。先輩もいないし、詳しい人もいない。相手チームも僕らが弱いことを知っている。対戦相手を決めるくじ引きで「沖縄高専」が出た瞬間にガッツポーズされる、そのくらいの弱小校だったんです。
ロボットを輸送して九州地区大会に行っても、すぐに負けて沖縄に帰る。すごい悔しいんですよ。どうしようもなく悔しくて、勝ちたくなって。

― 勝つためにどうしたのでしょうか?

分析して自分たちの戦い方を見つけていきました。負ける時は必ず何らかのミスや故障で負ける。100%のチカラが出せれば強いけど、3回に1回しか出せない、そういうチームも多かったんです。逆に言えば、毎回トラブル0だったら良いところまで行ける。

だから、練習期間をめちゃくちゃ多くとるとか、とにかく故障を減らすとか、そういった努力を重ねて、4年で優勝できました。

じつは、高専時代にやっていたロボコンでも、かっこいいマシンを作るか、強いマシン作るか?ジレンマがあって。ビジネスでも、かっこいいマシンは作りたいけど、儲かるマシンでないとならない。そういうバランスはすごく意識していて。

もちろん、ビジネスとしてかなり現実的に考えているところはありますが、高専でやり遂げた経験があるから、ちゃんと分析して勉強すれば、起業も大丈夫という謎の自信はあるかもしれません。最近だと「よく読まずに印鑑を押すと、大変なことになる契約書が世の中にはある」とか社会勉強も含めてですが(笑)

■「どうだ!俺がこれを作ったんだぞ」

― 白久さんの年齢だと「ゆとり世代」と括られるじゃないですか。ここについては、どう思いますか?

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個人的にはあんまり気にしたことはないですね。言われたこともない。「ゆとり」ってメディアとかが都合良く使うイメージで。年代に関わらず、ダメな人はダメで、すごい人はすごいなって。

― たとえば「やりたいことも特になくて悩んでいる」という若者も多い気がします。そういった人についてどう思いますか?

別にそれでいいんじゃないか?というのが僕の感覚です。日本は先進国だし、みんな普通にご飯も食べられていて、モチベーションは持ちづらいのかもしれません。ある意味で何も考えなくてよくなった。それが悪いっていうより、望んでそうなってるんじゃないか?みたいなところはあります。

「何かやりたいんだよね」と相談をしてくる人も、どこかで「考えるのがダルそう」っていうか。あまり考えるのが好きじゃないのかもしれませんが...。

― 閉塞感があって、それを打破したいと思ったら、どうしたらいいのでしょうか?イキイキと働くために...といいますか。

どちらかというと大企業で働いていて、熱量を持てていない人はいる気がします。一人でやれとは言わないですけど、小さいチームでやってみると風景は変わるのかもしれない。ただ、それは責任が増えるということでもあって。

大きい組織だと、人が逃げないようにコントロールしていて、あまりフレキシブルには動けない印象があります。好き勝手やらせてもらえないのではないかと。その代わり、大きな責任を負わなくていい。で、今、大きな組織にいる人は、そのメリットを得ているわけで、自分がそこにいたいからいるだけじゃないのか?という気がします。

― 結局、悩んでいる部分を解決するために考えて、自ら行動に移せるかどうか?ということかもしれませんね。最後の質問になるのですが、白久さんにとって「仕事」ってなんですか?

僕だけじゃないと思うんですけど「やってよかったな感」みたいなものを、すごくみんな大事にしてるんじゃないかなと思ってます。

正直、今のスケルトニクスってあんまり儲かんないんですよ。たとえば、大手メーカーが発売しているロボット型おもちゃが年間で1万台売れたとして、スケルトニクスはせいぜい数台。おもちゃのほうがビジネスとしてはいい。

でも、僕は自分の子どもに「この量産品のおもちゃを作ったんだ」とは別に言いたくない。

もちろん、しっかり儲けて、普及させたいっていうのもあるけど、一台でもいいから「どうだ!俺がこれを作ったんだぞ」って言いたい。僕はすごくそこに価値を見出しています。

― 自分が大切にすることのために何ができるのか。情熱はもちろん、ビジネスとしても冷静に分析されていたのが印象的でした。夢と現実を同時に見る。これからのキャリアを考える若者にとって参考になる部分だと思います。本日はありがとうございました!

[取材・文 白石勝也]

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