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リクルート→住友不動産→スタートアップへ飛び込んだ鈴木聡子さん「女性がこの業界で活躍するためには......」

人工知能によるアプリ収益化支援を行う株式会社メタップス。このスタートアップで広報を担うのは大手企業出身の鈴木聡子さんだ。
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株式会社メタップスで広報に抜擢された、鈴木聡子さん。元リクルート、住友不動産出身の彼女は一体どのような経緯でスタートアップに飛び込んだのだろうか。「スタートアップ×女性」を軸に鈴木聡子さん独自のキャリア観を知る。

住友不動産、Kaizen Platformを経てメタップスへ

2015年、人工知能元年と言われ、2月には株式会社メタップスが43億円を調達して、IT業界では大きな話題となった。

そのメタップスで奮闘している女性がいる。経営企画部広報の鈴木聡子(すずき さとこ)さんだ。話を聞けば、元々は新卒でリクルートに入社し、転職後は住友不動産で営業として働いていた。その後、Kaizen Platformを経てメタップスにジョイン。なぜ、彼女は大企業の営業からキャリアをスタートさせて、スタートアップの世界に飛び込んだのだろうか? キャリアに対する考え方とその根底に迫る。

不動産営業からWeb業界に携わるようになったきっかけ

― もともと住友不動産の営業だったんですよね?...なぜ、そこから全く畑の違うWebのスタートアップに?

きっかけはオフィス移転の手伝いだったんです。私がやっていた営業というのは、「一回行ってお客さんに売る」というスタイルではなくて、「オフィスの移転」という企業成長のタイミングを見て提案するもの。大手や老舗企業だと3年に一度とか、10年に一度とかの移転なのですが、ベンチャー企業は違うんですよ。

ベンチャーって1つの物件にいるスパンが短いですよね。企業の成長によって、オフィスもそれに応じたものになっていく。 最初に移転を担当したベンチャーがRettyさんで、そのお手伝いをきっかけに紹介が続き、クライアントにベンチャーが増えたんです。

一緒に仕事をする中で「何か世の中に対して、仕掛けを考えている人たちの集まりがベンチャーなんだ!」「世の中にインパクトを与えて社会をもっとよりよくしようとする集まり」なんだって感じて。「もっとこの素敵な企業を色々な人に知ってもらいたい」っていう思いが強くなりました。

例えば大手企業に営業に行って、「こういう素敵なベンチャー企業があるんです。コラボレーションすることでもっと良いサービスが作れるかもしれませんよ」って提案したりして。そんな思いが派生して生まれたのがMorning Pitch でした。

Morning Pitchは、ベンチャー企業と大企業の事業提携を生み出すことを目的としたプレゼンテーションのイベント。メディア・VCのオーディエンス企業約100名に対し、ベンチャー企業がプレゼンテーションを行っています。

― Morning Pitchはどのような流れでスタートしたのですか?

Morning Pitchは今年で三年目になっているのですが、まず「熱量のある人たちが集まる会をやりたい」っていうお話がSkyland Venturesの木下さんからきて。それから、トーマツの斎藤さんや木村さん、野村証券の塩見さん、そして私と少人数でスタートしたんです。

これはもう各々が所属している会社関係なく、「スタートアップを支援しよう!支援できる場を作ろう!」というところから生まれています。Morning Pitchは大きくなって今では毎週100人集まる規模になりました。

― 100人!すごいですね!

各々が所属している会社関係なく、「スタートアップを支援しよう!支援できる場を作ろう!」というのが根本にある思い。私自身、最初は住友不動産の人間として見られていましたが、Morning Pitchは「おまえはここに居て何ができるんだ」というのが試される場。 会社の名前は徐々に関係がなくなっていきましたね。

― 運営も組織人としてではなく、鈴木聡子個人としての自分がそこにいると。

はい。Morning Pitchは朝7時の開始なんですが、これはプレゼンを聞いている側も真剣になってもらいたいという時間設定なんです。自らの意志で会場に来てもらう。「寝ていると追い出される」というのは本当の話ですよ。発表している側、そして真剣に参加されている方に失礼になるので。

そんなMorning Pitchをきっかけに個人としても色々と声をかけてもらえるようになりました。そこで「大切なのは会社名じゃない。鈴木聡子という個人として必要とされることが大事なんだ」と気づくことができました。

スタートアップにチャンスは少ない、ピンチの連続が現実

― スタートアップで働きたいという女性にアドバイスがあれば教えてください。

スタートアップって「チャンスにあふれている」と勘違いされやすいんですが、スタートアップは「一見するとチャンスに恵まれていないような環境」なんです。ピンチばっかりで、社名も知られていない、サービスもまだまだ未完成、お金だってない、新しいことに挑戦しているからそもそも前例がない。なんでも自分たちでやらなきゃいけない。

でも、それを楽しむことができたり、「もしかしてこれってピンチじゃなくてチャンスなのかも?」って肯定することができたりしたら、スタートアップはかけがえのないキャリアになると思っています。

Kaizen Platform代表の須藤さんの言葉を借りるなら、もう毎日毎日溺れるような状況です。 でもその状況が私は好き。

溺れてないと落ち着かない。色々なことやって、吸収して。それが自分の成長になるし会社のためにもなる。 何よりきっと世の中のためになると信じてる。

― 逆に向いていない人でいうと?

確かに「不安定さ」が苦手な人は向いていないのかもしれませんね。 スタートアップって新しい事業がポーンとできたりとかよくあるんですよ。

それこそ新しいメンバーが毎月毎月入ってきたり。変化を肯定的に捉えられないと、もがきながら成長するということよりも、「不安になって仕事ができない」という状況になってしまう。組織が成長するにつれて、人も辞めていくのも珍しくはないので、「この会社あぶないかも?」みたいな感情が生まれてきてしまう人もいる。けれど、だからこそ溺れそうだけど沈まないように動く。これができる人はいいですね。脱皮するのと一緒で、会社も自分も成長するには色々な転換が必要。

これを理解していれば、不安ではなく「成長痛」になります。 「会社の成長痛」を「自分の成長痛」とシンクロさせられるかが鍵ですね。

― スキルの面で、スタートアップに必要されるものはなんでしょう?

私はスキルなんて必要ないと思いますよ。それよりもずっと大切なのは"熱量"です。会社のマインドと社長のパッションに見合う人がスタートアップに自主的に集まってくる。私もですが、会社に対する熱量がないと、みんな入社しないと思うんです。

もちろん、スキルを鍛えるために「スタートアップに入る」でもいい。修行みたい感じで。修行する気持ちがあれば、私は十分だと思います。スタートアップは優秀な人だけが集まっているわけではないですし、怖くありませんよ。どちらかというと、他人と比較しない人、自分に正直でいたいと思っている人が集まっている印象なので。

ロールモデルを求める女性は、スタートアップに来るべきじゃない

― スタートアップで働くという選択は、女性だとまだまだ一般的とは言えないですよね。

スタートアップに女性が少ないのは、先ほどの「不安定さ」が受け入れられない女性が多いからだと思いますね。

スタートアップで働いていると、溺れているように頑張らないとだし、泥臭さもある。 でも、リーマンショックがあってから私はどんな会社も潰れる可能性があると思っています。そんな世の中だからこそ、やりたいことをやったほうがいい。

スタートアップに向いている女性って「私がロールモデルになってやるぞ!」っていうくらいの熱量がある人なんですよ。むしろ、前例すら気にしない人(笑)私にとってスタートアップって「自分が一番素直になれる場所」だし、一期一会が繋がって成長できる居場所。誰かの真似は必要ない。

だから、ロールモデルを会社や世の中に求めるような女性は、スタートアップに来るのはおすすめしないですね。

― スタートアップで働くことが、アイデンティティでもあるということですよね。ちなみにKaizen Platformでは営業として働き、メタップスでは広報にキャリアチェンジしたわけですが、なぜ広報に?

こう見えて私は、ずっと広報が嫌いだったんですよ(笑) 自分でお金を稼いでいない職種だと思っていたので。でも、ある時、気づいたんです。メディアを通じて企業のこと、共に働く仲間のことを知ってもらって、事前に多くの方に広めることができたら、営業のときも会社説明から始めなくて済む。それってすごいメリットだと感じて。 企業を倍々に成長させる請負人だと思いました。ハッとしました。

メタップスには、営業時代やMorning Pitchで培った、私ならではのPRや思考が活かせると思い、今、広報をやっています。営業と本質は一緒。メタップスという会社の中でメンバーと共に「前例のない未来へ挑戦する」のがかっこいい。「世界の頭脳になる!」って壮大だけど実現できると思ってます。

あと、スタートアップに入って感じたことは、圧倒的に交友関係が厚くなったことだと思いますね。スタートアップやベンチャーは「じゃあこれやってみなよ!」っていい意味で相手に期待するところ。それに応えられる人間であれば、わらしべ長者のように人脈や良いことが繋がっていきます。

― メタップス、鈴木さん、それぞれの更なる飛躍を楽しみにしています!本日はありがとうございました。

ありがとうございました。

(おわり)

[執筆]鈴木美雪 [撮影]平野太一

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