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虫を以て虫を制す

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ついにヒアリが東京港でも発見された模様です。

 

www3.nhk.or.jp

 

NHKによれば「ベイト剤」と呼ばれる毒入りの餌で拡散を防ぐとのこと。ヒアリはスズメバチと同様、刺されるとアナフィラキシー・ショックを起こす大変危険な昆虫ですので、殺生も致し方ありません。日本国憲法第十三条にも生存権が最大限に保障されていますし、刺すか刺されるかの場面でしたら殺虫剤の使用も正当防衛として容認されるでしょう。

 

しかし、ゴキブリや蛾などのいわゆる「不快害虫」に殺虫剤を使うことに関して、蟲愛づる娘は以前から悲しみとともに疑問を呈してきました。好き嫌いという感情を根拠に昆虫の生命を絶つ習慣は、感受性の鋭い特性の娘には受け入れられないのでしょう。娘はまた、ゴキブリ対策に使われるホウ酸団子についても、死骸を食べた動物が中毒を起こすという二次被害も懸念しています。


ゴキブリとの共生

実は、我が家ではもう何年もゴキブリを殺していません。もちろん、緑に囲まれた土地柄ゆえ夏になると頻繁にお目にかかるので、家に出没しないわけではありません。「いかに殺さずにお引取り願うか」を試行錯誤しきてた結果、殺虫剤を使わない対処法を確立したのです。おおよその手順は次のとおりです。

  1. 用意するもの:大きめのプラスチック紙コップ(BBQでビールを飲むやつ)、下敷き
  2. ゴキブリが出たら慌てずに静止するのを待つ。たいていこちらが騒がなければそのうち立ち止まる。
  3. 紙コップを床面(壁面)に静止しているゴキブリにかぶせる。このとき、長い触覚を刺激しないように留意。
  4. ゴキブリが透明コップの内壁を高速で逃げ惑うが、円運動になって面白い。
  5. しばらくして疲れるとまた静止するので観察してみると、意外と可愛いらしい。(蟲愛づる娘・談)
  6. カップと床面の隙間から、下敷きをゆっくり挿入する。このとき、ゴキブリが逃げ出さないように常にカップと床面、下敷きを密着させること。
  7. 下敷きが湾曲しないように密着させながらカップごとひっくり返し、屋外に持ち出してゴキブリを解放する。

この方法のメリットは、意外と可愛いゴキブリの生態を観察できる点、無益な殺生をせずに徳を積めるので死後の蜘蛛の糸効果を期待できる点、などが挙げられます。


虫を以て虫を制す

人間、やろうと思えば不快害虫とも共生できるのですから、何とかヒアリに対しても殺虫剤を使わずに済む方法はないだろうかと、蟲愛づる娘がいくつか提案していましたので、この場を借りてご紹介致します。

提言1:アリを狙う寄生虫を放つ

シジミチョウの一種などにはアリの巣に居候する虫がいるようです。甘い蜜を出す代わりに、アリはエサや、時には自らの幼虫すら貢ぎ、最後は巣穴の外にまで運んでくれるそうです。ただ、アブラムシとアリのように、下手に共生してしまって余計に繁殖されては困ります。

一方で「ノミバエ」というハエが、「ヒアリの天敵」として利用されているという情報もあります。

"殺人アリ" が日本上陸...しかし、凶暴「ヒアリ」に残酷な天敵がいた! | ホウドウキョク

ただし、そもそもノミバエのほうも害虫駆除の対象になっているため、安易に撒き散らすわけには行かないのが悩ましいところです。

提言2:カマキリなど肉食昆虫を放つ

あらゆる昆虫のなかでもカマキリが一番のお気に入り」という娘によると、オオカマキリなどの大型種は成虫になるとアリを捕食しなくなるが、ヒメカマキリやヒナカマキリなどの小型種なら、成虫でもアリを捕まえるようです。

ヒメカマキリ 

ヒナカマキリ

www.insects.jp

 

ヒメカマキリの幼虫はアリに擬態してますし、ヒナカマキリはアリを捕食します。カマキリを捕まえてきたりなど時間は掛かりますが、これなら薬剤による他の生物種への二次被害も防げて、生態系も極力乱さないという穏健な選択肢かと思われます。

 

この他、私からも「大井ふ頭の入口に七味唐辛子を撒く」「揮発性のマジックで巣を囲むように線を引く」など提案してみたのですが、車に付着したら容易に乗り越えられる、マジックはすぐ乾く、などの理由から却下されました。


蟲愛づる娘の昆虫教室:アリの生態

さて、家族で行った修学旅行からも帰ってきて、ふたたびライブラリ・スクーリングの日常に戻った娘は、合間のフィールドワークも欠かしません。先日、虫の見つけ方のコツをひとつ伝授してもらいました。葉っぱの喰い跡に注目するのだそうです。

  • とくに若葉に喰い跡があれば、ひっくり返すと大概なにか隠れている。
  • 古い葉っぱでも、あたりにフンが落ちていれば、芋虫が隠れている。

いつも、この点をひとつの目安にして、虫探しをしているとのことです。パパもさっそく真似して見つけてみました。

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いましたいました。二枚目の尺取り虫は、そのコミカルな動きを動画にも収めました。

 

するとその時、娘が「あっ、アリの繭だ!」と叫びました。尺取り虫の足元の落ち葉の合間から、米粒ほどの白い繭がむき出しになっています。落ち葉を一枚めくると、アリたちが大慌てで繭を巣穴の奥へと運び去ります。

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写真でのブレ具合からも、アリたちが慌てふためく様がご確認頂けるでしょう。

 

思えば、娘の虫好きとしてのキャリアは、まだ「アリシャン」としか発音できなかった2歳ごろに、駐車場のアリの巣を飽きることなく観察していた日々からスタートしました。得体の知れない「ヒアリ発見」の一報に、どこかパニックを煽られそうな風潮も感じますが、環境省や専門家などから発信される一次情報を注視するとともに、昆虫という小さな生命への慈しみを忘れず、冷静な反応を心がけたいものです。

 

 

(2017年7月6日 AS Loves Insects - 小包中納言物語「虫を以て虫を制す」より転載)