夜間でも救急へ行くべき症状とは?

救急医療の崩壊が騒がれるようになり、夜間の受診に慎重になる人が増えている一方、慎重になるあまり症状を悪化させてしまう人もいる。

救急医療の崩壊が騒がれるようになり、夜間の受診に慎重になる人が増えている一方、慎重になるあまり症状を悪化させてしまう人もいる。急いで受診したほうがよいときのサインとは?

【夜間でも救急へ行くべき症状 〜成人・内科疾患編〜】

◎胸痛症状

[怖いサイン]⇒突然出現した長時間続く痛み、脂汗、激痛、重苦しさ、息苦しさ

突然胸が締め付けられたり、何かが乗っているような重い圧迫感が長時間続き、脂汗が伝ったりするような場合は、心筋梗塞の可能性があります。また、痛む場所が変化し背中まで響き、裂けるような痛みや息苦しさを伴う場合には、大動脈解離や重い気胸のような命に関わる病気の可能性もあります。動けないような場合には救急車を呼びましょう。

逆に、数十秒~数分程度で消える針で皮膚を刺されるようなチクチクとした痛みや、体をひねったりピンポイントで押したりすると痛むような場合には、肋間神経痛や筋肉痛がほとんどです。夜間であれば、少し様子を見ても良いでしょう。

◎まひ・しびれ症状

[怖いサイン]⇒ろれつが回らない、意識がボーっとする、急に片側の手足の動きが悪くなった

急なまひやしびれで怖いのは、やはり脳卒中(特に脳梗塞)です。症状は千差万別ですが、片側の手足の動きが悪くなったり、しびれたりすることが多いのが特徴です。人によってはろれつが回らなくなったり、めまいが主症状になったりすることもあります。発症から短時間で診断・治療を開始する必要がありますので、急いで受診しましょう。

上記のような症状が出てその後に改善した場合には、脳卒中の予兆である一過性脳虚血発作の可能性もあります。このような場合は、救急車は必要ありませんが、脳梗塞予防が必要になるため、必ず早期に受診しましょう。

逆に以前から、慢性的なしびれ感などがあって悪化してきたような場合には、急ぎでないことがほとんどです。まずは一度、救急相談電話(※下記参照)に相談をしましょう。

◎呼吸困難、息苦しさ

[怖いサイン]⇒唇や手足の皮膚の色が紫っぽい、ヒューヒューという音がする、胸や喉の痛みを伴う、蕁麻疹や皮膚・喉のかゆみを伴う

突然の息苦しさを起こす疾患はいくつかありますが、酸素が足りない場合、唇や手足の色が紫っぽくなります。このような場合には救急車を呼びましょう。特に恐ろしいのは蕁麻疹や喉の違和感を伴う場合です。アナフィラキシーの可能性がありますので、一刻も早い治療が必要です。

肺血栓や気胸では、胸痛を伴います。強烈な喉の痛みがあり、つばを飲み込むのも苦労するような場合には、喉頭蓋炎などの可能性もあります。夜間でも救急へ受診した方が良いでしょう。

息苦しさがなく、咳や熱、鼻水だけの風邪症状ならば、急いで受診する必要はないことがほとんどです。

いずれにしても迷った場合には、まずは救急相談電話で医師や看護師に相談が可能です。

電話番号は#7119(東京都、大阪府、奈良県、愛知県等 一部の自治体のみ)

小児の場合は#8000(全国で実施 深夜は対応していない都道府県もあり)

独自で相談できる仕組みを作っている自治体もあります。イザという時に慌てないために、電話番号を携帯電話に登録しておきましょう!

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医師プロフィール

良雪 雅(りょうせつ まさし)総合診療医

三重大学卒業後、東京都、山梨県などで一般内科医、総合診療医として勤務。医師不足によって救急体制が崩壊し、一部の休日に一次救急に対応する医師が不在になった三重県松阪市で、山中光茂市長の呼びかけを受け、平成26年4月「一般社団法人 i-oh-j(いおうじ)」を設立、代表理事に就任。若手医師を中心とした26名のチームにより、地域での休日救急体制を確保するとともに、救急車の使い方など市民への啓発活動も行っている。