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病気の子どものために、大人ができること

2015年04月23日 00時13分 JST | 更新 2015年06月21日 18時12分 JST

子どもの感受性と理解力、適応力は非常に豊かです。小さな子どもでも、大人が自分の病気について話していることは分かっているのです。

私は大学病院に勤めているので、重い病気のために、長期入院を余儀なくされる子どもたちと日々接しています。そのような子どもたちを私は心から尊敬しています。

子どもたち自身からしてみると、診断から入院に至るまでの状況は、「なんだか具合が悪いなと思っていたら、周りの大人たちにいろいろな病院に連れていかれ、痛い検査を何度もされる。お母さんやお父さんは緊張した顔をして、時々泣いているみたいなのに、大丈夫だよと言って無理に笑ってる。そうしたかと思うと、『今日から病院にお泊りだよ』と言われて、突然きょうだいや大好きなお友達にも会えなくなる。」...という、ものすごい混乱のなかに置かれることになるわけです。

私たち医療者は、一定以上の年齢の子どもに対しては基本的に本人にも病気や治療について伝えるようにお勧めし、そのサポートを行っています。しかし、特に入院の早期にはご両親も動転しており、医療関係者も含めて子どもたちに対する十分なフォローを行えない場面もあるのかなと感じています。

そんな中でも子どもたちの適応力には、本当に目を見張るものがあります。最初は検査や処置に泣き叫んでいた子どもも、回を重ねるうちに私たちに協力してくれるようになります。

小学生になると低学年でも、「今日は○○の点滴の日だね」「このお薬で気持ち悪いのはきっと明後日くらいがピークだな」と、自分の治療と症状について予想ができる子どももいます。また、高学年になると「○○のお薬だから次は白血球が下がるね」「先生、採血結果はやく持ってきて!」と、検査の結果にも興味を持って、お母さんと一緒に熱心に検査結果の紙を眺めていることもしばしばです。さらに、病棟では同じように病気と向き合う子ども同士で声を掛け合い、励ましの手紙の交換をしている姿も目にします。

小児科医として働いて1年になりますが、年齢や発達段階に応じて、子どもが自分なりに病気を受け止めるサポートをすることの重要性を感じる毎日です。

患者さんが病気や治療について理解のできる説明を受け、今後の方針に同意したうえで医療を進めていくことを指す「インフォームド・コンセント」という言葉があります。小児科ではインフォームド・コンセントの中心は保護者になりがちですが、子どもの感受性と理解力、適応力は非常に豊かです。子どもたちはご家族や医療者の話をとてもよく聞いているし、自分が受ける検査にも興味を持っています。小さな子どもでも注意のアンテナをめいっぱい向けて、それを受け入れる準備をしているのです。

私たち大人は、病気を持つ子どもたちが自分の病気とよりよく向き合えるように支える必要があります。保護者の方々、保育士さんや薬剤師さん、看護師さんなどのそのほかの専門家と協力しながら、彼らが病気に向き合いながらも前向きに成長するための一助になりたいと考えています。

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プロフィール

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山口 有紗 小児科

東京大学医学部附属病院

キーワードは「子ども」「つながり」「笑顔」。1984年生まれ、静岡県出身。高校を中退後、9.11をきっかけに、ロンドンのインド人病院でボランティアを行う。帰国後は京都で働きながら大検を取得し、国際関係学部で開発支援や母子保健を学ぶ。卒後医学部に編入し、現在は新米医師として毎日を送っている。将来は児童精神科医として、子どもの心身の健康を、地域・行政・教育と連携して支えていきたいという思いを持つ。