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悩みを相談できない人への対応方法―「ストレスチェック制度」の課題

2015年12月12日 00時03分 JST | 更新 2016年12月10日 19時12分 JST

12月より義務化されるストレスチェック制度。高ストレス者として評価された人は任意で面接指導を受けることになっていますが、該当者が必ずしも面接指導を希望するとは限りません。ストレスを抱えているにもかかわらず相談できずにいる人には、どのように対応すればよいのでしょうか。

◆手を挙げない高ストレス者には、どう対応すればよいのか?

平成25年の労働安全衛生調査(実態調査)によると、強い不安、悩み、ストレスを感じている働く人の割合は52.3%です。それを相談できる人が「いる」と答えたのは90.8%、「いない」と答えたのは8.6%でした。

しかし、「実際に相談した人がいる」と答えたのは75.8%、「相談しなかった」は24.2%でした。4人に1人は、強い不安、悩み、ストレスを抱えていても、人に相談できていないのです。

「実際に相談したことがある」人のうち、不安、悩み、ストレスが「解消された」人の割合は33.1%、「解消はしなかったが気が楽になった」が56.2%、「解消もされず、気が楽にもならなかった」が4.7%でした。

あわせると89.3%の人が、強い不安、悩み、ストレスがあるとき、人に相談することによって解消するか、解消しなくても楽になったと答えています。つまり、相談できれば約9割の人は強い不安、悩み、ストレスがラクになるのです。

しかし、残念ながら、4人に1人は相談できていないのが現状です。ストレスチェック制度で面談指導に手を挙げてくれた高ストレス者への対応は、難しいことではありません。問題は、手を挙げられない24.2%の人にどう対応するかです。

大切なのは、この24.2%の人たちに手を差し伸べることです。しかし、日本では、ストレスやメンタルヘルスの話はいまだにタブーで、恥ずかしいと感じがちです。そのため、日本人は精神的なストレスを隠す傾向にあります。

会社や人事担当者たちにとっては、手を挙げられない24.2%の人たちにどう対応するのかがストレスチェックテスト施行後の本当の課題だと思います。ストレスチェック制度の開始が、この課題解決の何らかのきっかけになれば大変うれしく思います。

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[(図)ストレスチェック制度の流れ ]

◆ストレスを抱えている人に面談を受けてもらうための具体的な方法とは?

・情報管理が徹底されていることを、しっかりと周知する。

・面談担当者をあらかじめ社員に紹介する。

・相談対応および補足的面接を設置して、社員が面談を希望したタイミングを逃さないようにする。

・ストレスチェックテストの結果を開示しないで面談を受けることを可能にするために、相談対応や補足的面接を活用する。

・面接指導を申し込んだ場合も、会社にストレスチェックテストの結果を開示しないですむように衛生委員会で決めてしまう。

・手を挙げやすい窓口を設置する。面談(面接指導や補足的面談)の申し込み先を、実施事務従事者ではなくて、面談を担当する者(多くの場合は会社の人事ではなく、医師、保健師、看護師若しくは精神保健福祉士又は産業カウンセラー若しくは臨床心理士等の心理職)とする。

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【プロフィール】 武神 健之 産業医

一般社団法人 日本ストレスチェック協会 代表理事

1998年 神戸大学医学部卒業後、東京大学医学部付属病院、キッコーマン総合病院等に勤務。東京大学医学部大学院在籍中の2005年に有限会社ジーエムシーを設立し様々な企業の産業医を新規立ち上げから請け負う。年間約1000人の産業医面談を行ってきた経験から、2014年に不安とストレスに悩まない技術を広めることを理念として一般社団法人日本ストレスチェック協会を設立し、現在に至る。