非常時、帰宅困難を乗り越えるための「職場用防災グッズ」

地震は数秒ですが、地震による避難生活は長期に渡り、人々の生活に影響を及ぼします。

熊本地震の発生から約3ヶ月が経過しようとする今でも避難所の現状を伝えるニュースを目にします。 地震は数秒ですが、地震による避難生活は長期に渡り、人々の生活に影響を及ぼします。

そんな地震などをはじめとする自然災害に備え、クックパッドでは自宅で準備すべき防災グッズを紹介してきました。

いつ起こるか予測できないのが自然災害。しかし、普段の生活を振り返り、自分の行動に沿った防災方法で災害時に備えることは可能です。これまでは自宅避難を想定した防災を紹介してきましたが、今回は「職場で実践すべき防災」について、防災に関する講演や講座を数多く手掛ける永田宏和さんにアドバイスをもらいました。

職場で災害時を迎えたら...

2011年に起こった東日本大震災など、過去に職場で災害を迎えた経験がある人も多いのではないでしょうか? 職場で被災した場合、どのような行動をとるのが良いのでしょうか?「災害の起こった時間や天候、職場の建物などの環境によって変わってくるでしょう」と永田さん。

日中の明るい時間帯であれば帰宅する手段も取れますが、陽が暮れる夕方以降は無理に帰宅せず、職場に留まるほうが安全です。職場の建物の耐震性が高く安全であれば、そのまま職場で1日過ごし翌日帰宅。危険であれば、職場の近くの避難所などに避難するのがよいでしょう。

職場で準備すべき防災グッズとは?

自宅に比べ、自分の物を置けるスペースが限られている職場。災害時、即座に自宅に帰るのが危険であると判断した場合、職場で一晩を過ごす可能性が出てきます。そのため、最低でも1日をしのげる備えをしておきましょう。

準備すべきグッズ

□非常食【推奨数:1日分】

封を開けてそのまま食べられる食料を1日分置いておきましょう。普段会社で間食として食べているチョコやアメ、カロリーメイトなどの栄養補助食品などの量を多めにストックしておくとよいでしょう。

□飲料水【推奨数:3〜4本】

5年ほど保存ができる災害用の水を、500mlのペットボトルで2〜3本ほど置いておきましょう。

□電池交換式バッテリー or 大容量タイプの充電バッテリー

家族と連絡をとったり、自宅への帰宅途中でもラジオや地図アプリで情報を得ることができる携帯は非常時こそ大事なアイテム。常に使える状況にしておきましょう。

□乾電池

携帯電話のバッテリーの交換などに使いましょう。

□常備薬

普段からよく使う薬があれば少し多めに常備しておくのがおすすめ。

□歯ブラシ&液体はみがき or 口腔ケア用ウェットティッシュ(携帯用)

帰宅せず職場で一晩過ごす際に。また、便利なのが、指に巻き付けて歯磨きができる口腔用ウェットティッシュ。元は介護ケア用品ですが、災害時はすべての人に役立つ機能的なアイテムです。

□エマージェンシーブランケット

寒さ対策にあると便利。静音タイプの商品だと音が出ず、使い勝手が良いのでおすすめ。コンパクトに畳めるので収納や持ち歩きの際、スペースをとりません。

□ヘッドライト

何らかの事情で、夜に帰宅しなければならなくなった際には、両手をあけておくことが鉄則。

□ヘルメット

職場から自宅へ帰宅する際、頭上から窓ガラスなどが降ってくる可能性も。頭を守るために、ヘルメットがあると安心です。最近では畳めるヘルメットなどもあるので、場所をとらずに収納できます。

□歩きやすい靴

職場で最も準備すべきグッズが歩きやすい靴。災害時の道は段差や歪みが生じ、まっすぐ歩いていても平衡感覚が失われるほどの劣悪な状況。普段職場で履いているヒールや革靴などでは歩きにくく、転倒してしまう可能性も。スニーカーなどの歩きやすい靴を一足置いておくことが重要です。

□携帯トイレ【推奨数:3枚】

水道などが止まり、職場のトイレが使えなくなることも。普段使っている交通機関が使えない場合、自宅まで歩いて帰る際の移動途中などにあると便利です。

どうやって収納する?

自分の席の普段使っている席や袖机の引き出しなどに分けて入れておくとよいでしょう。もしまとめておきたいなら、おすすめはクリアケース。クリアケースにまとめて入れておけば、目立たず、場所もとらずに収納できます。

一日の多くの時間を過ごす職場。自宅ほどの装備は必要ありませんが、一日だけ職場に残ることを想定したグッズを置いておくことで安心感は格段に上がります。また、首都圏で大地震が起こった場合、東日本大震災の帰宅困難以上に険しい環境が想定されます。まずは、交通機関が断たれた場合の自宅までの道のりを確認することから備えを始めてみませんか?

取材協力

NPO法人プラスアーツ 理事長 永田宏和さん

企画・プロデューサーとして国内外での防災教育普及に取り組み、防災イベントや防災に関する講演、講座の企画・運営を行う。また企業の防災アドバイザーを数多く務める。主な企画・プロデュースの仕事に、楽しみながら学ぶ新しい形の防災訓練プログラム「イザ!カエルキャラバン!」(2005年~)などがある。『第6回21世紀のまちづくり賞・社会活動賞』受賞。『第1回まちづくり法人国土交通大臣賞【まちの安全・快適化部門】』受賞。今年8月ポプラ社より新刊『地震イツモマニュアル』が発売。

NPO法人プラスアーツHP:http://www.plus-arts.net/

クックパッド編集部

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