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災害時「いつものおいしい食事」が大切になる理由

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今年4月に発生した熊本地震。先日紹介した通り、その際のクックパッドにおける熊本県からのレシピ検索動向データには、災害時でもおいしい料理を作りたい、という気持ちがあらわれていました。

そう、災害時こそ、いつものおいしい食事が必要かつ重要になるのです。その科学的な理由を、クックパッド食みらい研究所 特任研究員である、宮城大学の石川伸一先生に伺いました。

災害時に「いつものおいしい食事」が果たす役割とは?


災害時、人間の三大欲求の1つである「食欲」は、下記のような変化をたどると考えられます。

【第1段階】直後...お腹もすかないほどのショック状態
【第2段階】数時間〜数日後...お腹はすくが、食べ物へのこだわりはない
【第3段階】約1週間後...温度・習慣・環境・味に対して、嗜好(好み)を求める

このことから、災害から1週間後くらいを境に、人々はただお腹を満たすだけでなく、おいしい食事(=嗜好に合った食事)を食べたくなることがわかります。

また、災害直後は誰しも「興奮状態」となります。そのため、気持ちを落ち着けようと、いつもの行動、いつもの食事、いつもの環境...少しでも「いつも」を取り戻したいという欲求が高まります。

つまり、災害時に人々が日常を取り戻すための心の糧として、人々は自分の好みにあった「いつものおいしい食事」を求めるようになるというわけなのです。

災害時における「おいしい食事」とは?


災害時に「おいしい」と感じる食事には、最適温度、うま味、リラックス効果の3つがポイントになります。

◆最適温度の食べ物

災害時の食事は、冷えたおにぎりやパンなど簡易なものになりがちです。そのため、スープは1度でも温かく、果物は冷たく...など、その食べ物が最もおいしく感じられる温度(最適温度)で食べたいという欲求が芽生えます。

冷たいものを冷たく……は災害時はなかなか難しいのですが、温かいものはカセットコンロとガスボンベを常備しておけば、ライフラインが途絶えた時でも、食べることができますね。

◆うま味の強い食べ物

日本人が直感的に「おいしい」と感じる味覚の1つに、うま味があります。そこで、うまみ成分が多く含まれる食品……例えばビーフジャーキーや昆布製品(酢昆布、塩昆布、とろろ昆布など)、インスタントのスープの素などを常備しておくのがおすすめです。

◆リラックス効果のある食べ物

リラックスに関わる脳内物質にセロトニンがあり、セロトニンを作る際の原料となるトリプトファンは「乳製品」などに多く含まれます。また、トリプトファンを脳に運ぶためにはブドウ糖(甘いもの)が必要に。つまり、乳製品と甘いものを組み合わせて食べると、リラックス効果が期待できます。

ただし牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品は冷蔵品が多く、災害時には手に入りにくいことが多いため、保存性の高い「スキムミルク」を常備しておくとよいでしょう。また、ブドウ糖源となる「甘いもの」は、チョコレートやようかん、ドライフルーツなど、日持ちのする自分の食べ慣れた食品を用意しておきましょう。

「災害時に食べそうなもの」を普段から食べ慣れておこう


災害時にはふだんと同じ食べ物が必ずしも手に入るわけではありません。

しかし、人間には食物新規性恐怖という性質があり、災害時だとしても普段食べ慣れないものをおいしいとは感じられません。経験的においしいと知っている食べ慣れているものを食べることで、おいしいと感じたり、リラックスできたりするのです。

そこで、防災対策の一環として「災害時に食べそうなもの」を普段から食べておくことが必要になります。

うま味たっぷり!温かい簡単スープ

災害時にホッと一息つける食べ物の1つが、スープ。とろろ昆布や塩昆布、かつお節やお茶漬けの素など、うま味成分を含むストック食材でつくれる、簡単スープのレシピを覚えておきましょう。

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簡単すぎ♬とろろ昆布とかつお節のスープ by mamaapple

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もみ海苔と塩昆布の時短スープ by ゆきにゃーんっ

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お茶漬けの素で!なんちゃってお吸い物♪ by みほきのこ

いつもの乳製品をスキムミルクで代用

前述の通り、常備しておきたいスキムミルクですが、食べ慣れていない人も多いはず。そこで、普段から牛乳の代わりに使用してカフェオレやシチューにしたり、カッテージチーズ作りに活用してみましょう。チーズは、はちみつなどをかければデザートにもなりますね。

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スキムミルクカフェオレWITHスパイス by ひっきーKIKI

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簡単★片栗粉で作るとろ〜りシチュー by しおりポンママ

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[手作り]スキムミルクでカッテージチーズ by 魔女子さんのキッチン

災害時の食事作りのために普段から心がけたいことは?


災害時は、ライフラインが途絶えるなど、料理を作る環境も普段通りにはいきません。「いつものおいしい食事」を作るためは、限られた条件のなかで料理ができるようになっておく必要があります。

◆アウトドア料理...調理道具が限られた環境
キャンプやバーベキューなど、調理器具が限られたアウトドアシーンで料理を作る経験があると心強いでしょう。

◆家にあるもので料理...食材が限られた環境
週に1度は、買い物に行かず、食品庫や冷蔵庫にある食材だけで工夫して料理をする習慣をつけるとよいでしょう。

◆節約料理...予算が限られた環境
予算内でやりくりしながら食材を揃えて料理をすると、食材の代用などがスムーズにできるようになります。

災害時に、私達の支えとなってくれるのが「いつものおいしい食事」です。もしものときに備え、日頃から「災害時に食べそうなもの」を作って食べる経験を積んでおけるといいですね。

執筆:石川 伸一(いしかわ しんいち)
福島県生まれ、博士(農学)。宮城大学食産業学部准教授、クックパッド食みらい研究所 特任研究員。専門は分子食品学、分子調理学、分子栄養学。主な研究テーマは、鶏卵の機能性に関する研究。『料理と科学のおいしい出会い 分子調理が食の常識を変える』(化学同人)、『必ず来る! 大震災を生き抜くための食事学』(主婦の友社)ほか著書多数。

クックパッド編集部

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