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自身の障害をクラウドワーキングで強みに変えて、デザイナーとして復帰:Alopexさん

2014年05月09日 17時44分 JST | 更新 2014年07月07日 18時12分 JST

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地方で、フリーのデザイナーとして活動するAlopexさん。地元のデザイン会社に勤めていたものの、抱えている障害の特性と職場環境が合わず、オフィスワークを続けることが困難に。自宅でデザインの仕事ができる方法を模索してたどり着いたのがクラウドソーシングのクラウドワークスでした。

現在は、ロゴやアイコン制作などウェブ関連のデザインを中心に仕事を受注しています。自分の得意分野を活かす仕事を受けながら、デザインの幅を広げるために新しいチャレンジにも挑む毎日。Alopexさんならではのクラウドワークスの活用法について伺いました。

-まずは自己紹介をお願いします。

現在は、クラウドワークスで主にアイコンやロゴなどウェブ関連の案件を受注しています。大学院では心理学や社会学を学び、修士号をとってデザインとは違う道を進んでいました。修了後は一般事務の仕事に就きましたが、その中でちょこちょこデザインの仕事を任されることがあって、徐々に自分のデザインへの興味を再確認していきました。昔から絵を描くことが好きでした。結局デザイン事務所に転職して、昨年12月からはフリーランスのデザイナーとして活動をしています。

-フリーランスになったきっかけを教えてください。

オフィスでラジオが流れていたから、とお話すると驚かれるかもしれませんが、私は特定の光や音などの刺激のすべてに注意を向けてしまう高機能広汎性発達障害と呼ばれる生まれつきの脳の障害を持っています。音にとても敏感で、オフィスで流れるラジオの音がストレスになって身体を壊してしまいました。自分のために会社の環境を変えることはできないため、やむなく会社を辞めました。その会社でお世話になった方に、クラウドソーシングというサービスがあることを教えてもらって試してみたことがきっかけでした。

-クラウドソーシングの中でもなぜクラウドワークスを?

他のサービスも試してみましたが、いくらコンペに応募してもまったくレスポンスがなく肌に合わないなと感じました。海外のデザイナーさんが多く登録しているサイトで、実際コンペに応募されている方も外国の方が多くて。案件も玉石混合で、発注する側も海外の方のデザインセンスを求めている印象を受けました。個人的にはコツコツと実績を積み重ねて自信をつけながら、デザインスキルを磨きたいと思っていたので、クラウドワークスにお世話になることにしました。発注者さんとの密なコミュニケーションもやりがいにつながっています。

-クライアントからの評価に対応がとても丁寧だというコメントが目立ちますが、特に心がけていることがあれば教えてください。

オンラインで相手の顔が見えないからこそ、より丁寧に接したいという想いがベースにあります。クラウドワークス上のコミュニケーションの良いところは、「時間差コミュニケーション」が可能であることだと思っています。例えば、メッセージや修正の依頼を受け取ったら、相手の気持ちを想像して咀嚼してから返答するよう心がけています。もちろん対面においても当然大切にすべき部分ですが、時間差を活かすことで、送るメッセージの質がより良くなったり、必要なことだけを的確に伝えることができているのかもしれません。

-高機能広汎性発達障害は視覚的なデザインの仕事などにプラスに働くと聞きました。

個人差が大きい部分ではありますが、高機能広汎性発達障害を持つ人は、明かりや音に敏感ということの他に、視覚的な情報の処理能力が高いという特徴があります。「視覚優位型」と呼ぶのですが、目に見えるものを扱うことを得意とするので、そこは今のデザインの仕事にすごく活きています。もう一つは、高い集中力です。こだわり始めると、1時間だけやろうと思って始めても気づけば夜中なんてことがあるくらいで。デザインのクオリティーを妥協したくないという強い想いを、高い集中力が後押ししてくれています。

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-クラウドワークスで参加するコンペはどのように選んでいますか。

どちらかと言うと、私は女性的な曲線を意識したデザインや色使いを得意としています。ただ、自分に課している制作スタイルのポリシーがありまして。クラウドワークスさんの良さは、自分が得意な案件を選ぶことができる点だと思うのですが、そればかり受けていてはスキルアップにつながりません。だから、敢えて得意、得意、不得意くらいのペースで不得意な分野にもチャレンジして技術を磨く機会を作っています。コンペ形式であれば、仮に通らなくても発注者さんにご迷惑おかけすることなく勉強になりますし、長い目で見れば仕事の幅が広がります。デザイナーの理想は、「何でもデザインできます」と言えることだと思うので、最終的にそこを目指したいです。

-デザインに落とし込む時に大事にしていることを教えてください。

コンペ形式は特にそうなのですが、発注者さんをエンドユーザーさんと取り違えないように気をつけています。コンペで作る会社のロゴやアイコンを見るのは、その会社さんの取引先やユーザーさんです。競争意識が先行すると直接やり取りをする発注者さんが気に入るものを作ってしまいがちですが、発注者さんがエンドユーザーに対して何を表現したいのかを引き出して、それを汲み取ってデザインに落とし込むよう心がけています。そのためにも柔軟かつ丁寧なコミュニケーションを大切にしています。

-顔の見えないコミュニケーションに難しさを感じることはありますか。

これまでクラウドワークスでご一緒させていただいた発注者さんは、皆さんとても丁寧にメッセージのやり取りをしてくださいます。ネットというとコミュニケーションが希薄という印象があると思いますが、実は逆で、ネットだからこその温かさ、対面以外の新しいつながり方があるんだなと感じています。とある発注者さんとはコンペをきっかけにスカウトでお仕事をいただき、継続的なおつき合いができています。こうしたやりとりを通して、フリーランスで仕事をすることの孤独感が軽減されますし、信頼して任せていただけることはモチベーションにもつながっています。

-改めて、Alopexさんにとってのクラウドワークスの魅力はなんでしょう?

ずっと、絵やデザインの仕事をしたいという漠然とした想いはあったんですが、きっと東京などの都市部に行かないとできないだろうと思ってあきらめていました。でも、技術の進歩やクラウドワークスのような場所ができたことで、その夢に再度チャレンジできていることを嬉しく思います。

また、孤独になりがちなフリーランスという働き方でも、クラウドワークスのようなプラットフォームを使うことで社会とのパイプが生まれます。発達障害だけでなく、社会にはさまざまな理由で通常のオフィス環境では仕事ができない方がいらっしゃいます。クラウドワークスは、そうした個性を持った方々にとって新しい生活の手段となるポテンシャルがあると感じます。

障害者とは、いわば少数派の個性を持った人間です。そして社会の仕組みは多数派をもとに作られているので、適応に困難があり、苦しんでいる方が大勢います。それでも誰かの役に立ち、社会に自分の居場所をつくりたいと思ったら、既成概念やプライドを捨てるしかないと思って私も追い詰められていました。そんな私にクラウドワークスさんは居場所と可能性を与えてくれたと思っています。

-最後に今後の展望を教えてください。

まずは、クラウドワークスさんで自分の実績や受注件数を上げて技術を磨いていきます。将来的には、デザイナーとして、ネット上だけで完結しない形、例えば前のデザイン事務所を通じて知り合えた方からも、今後ご助力いただけるお申し出がありましたし、大学院生時代、デザイン業界に入る前にお世話になった方とのつながりもありますので、様々な方と一緒に協力して新しいことにも挑戦し、もっと外へ出て行きたいです。障害を持っていても、あなたのセンスや技術が欲しいと言ってもらえるデザイナーになれるように頑張っていきたいです。

【プロフィール】

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Alopex

デザイン事務所勤務を経て、現在はロゴデザイン・アイコンデザインを主に行っています。イラストレーションも得意としています。どのような案件でもクライアント様の希望にお応えできるよう、精一杯制作に努めさせていただきたいと思います。また、学会発表や論文執筆の経験もありますので、ライティングのお仕事にも対応が可能です。一つ一つのご依頼に、真摯に取り組んでいきたいと思います。 お気軽にご相談、メッセージ等いただければ嬉しいです。

【関連リンク】クラウドワークス:プロフィール

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(2014年5月8日「クラウドワーキングマガジン」より転載)