サイボウズ式:質問の属性を見極めない回答は相手を苛立たせる

他者とのコミュニケーション、難しいですよね。

【サイボウズ式編集部より】この「ブロガーズ・コラム」は、著名ブロガーをサイボウズの外部から招いて、チームワークに関するコラムを執筆いただいています。今回ははせおやさいさんが考える「チームでズレのない質疑応答をするための技術」について。

こんにちは。はせ おやさいです。

他者とのコミュニケーション、難しいですよね。しかし正しく歯車が噛み合ったやりとりというのは爽快で楽しく、有意義な時間を過ごせる素晴らしいものだと思います。そのためのヒントはいくつかあると思うのですが、今回は「質問の属性を見極めよう」というトピックで書いてみたいと思います。

質問には属性がある

エンタテインメントとしての「おしゃべり」というのもありますが、今回は「コミュニケーション」についてなので、基本的に、何らかの問いがあり、それに答え、その答えに対してまた新たな問いを立てて成り立つ会話について、という定義で進めますね。

相手から投げかけられる質問には、実はいくつかの「属性」があります。「その質問がどういった性質の回答を期待されているものか」がズレると、思った答えに至るまで迂回しなければならず、とてもストレス。まずは質問の属性、というものについて分解してみたいと思います。

質問の属性というのは、大きく分けて以下の2種類です。

1.「Yes or No」で回答できるもの

2.「5W1H」を問うもの

例文を挙げます。

例えば「これは中華丼ですか?」という問いが期待する答えは、「Yes or No」です。「はい、中華丼です」もしくは「いいえ、中華丼ではありません」のどちらか、ですね。

なのですが、そこで「うずらの卵が入ってないんですけど、ちょっといま缶詰が品切れで、でも食べられなくはないと思います」という答えを返してしまう人が、たまにいます。

これは「質問が持っている期待」を読み違えてしまっているから。

相手は「はい、これは中華丼です」もしくは「いいえ、これは中華丼ではありません(これはたぬき蕎麦です)」という2つのうち、どちらかで回答を期待しているのに、受け手が先走って「一応、中華丼なんだけど、うずらの卵が入ってないから完璧な中華丼とはいえないかもしれないし、それでそういう質問をされているのかな、じゃあ先にうずらの卵が乗ってないことの言い訳をしたいな」と自分の中で一度勝手な解釈をしてしまうことで、会話の意図にズレが生じてしまうんですね。

ズレた返答は相手に無駄な負荷をかける

もし、こうった「ズレ」た回答をしてしまった場合、受け取った質問者は相手がなぜそういう内容の回答をしたかを、一度脳内で変換する必要が出てしまいます。

受け取った側としては「中華丼なのか違うのかを聞いているのに、なぜうずらの卵の話をしているんだろう?」→「もしかして、うずらの卵が入っていないから中華丼と言えないかもしれないと思っているのかな?」→「でも、中華丼として作ったかどうかを教えて欲しいのに......」というようなステップを経て、質問の内容を再考し、改めて問わなければならなくなる。

このズレは会話のスピードを下げ、無駄な脳内変換作業を引き起こすため、ストレスとなります。

この人に何かを聞いても、一発で欲しい回答が来ない。つまりコミュニケーションコストが余計にかかっている、という状態は不快感につながり、相手に悪印象を与えてしまう結果にもつながりかねません

ズレないためにどうしたらいいか?

では、意図とズレた回答をなるべく避けるため、どんなことに注意すればよいかというと、ポイントは2つです。

1.会話に出てくる単語からヒントをつかもう

2.いま、自分が期待されている役割は何かを意識しよう

1.については、相手の発する単語である程度ヒントをもらうことができます。

5W1H、つまり「いつ」なら期限や日付、「どこで」なら場所やシーン、「誰が」なら人の名前、「何を」なら具体的な名称、「どうやって」なら方法、「なぜ」なら理由、と判断しましょう。ポイントは「より、具体的な名称で答えること」です。

「それって誰がやるの?」に「経理の人です」と答えるよりは、「経理の山田さん」まで絞り込めている方がベターですし、「いつ」に対しても、「今月いっぱい」よりは「5月31日の18時まで」と答えるほうが、相手の質問を短縮できるので、より精度が高い回答となるでしょう。

そしてもう1つ、「期待されている役割」について。

例えば会議や会合などそれぞれ何かの目的を帯びたメンバーが集められている場合、自分は今この場にいるのはどんな理由なのかを想定してみましょう。進ちょく会議なら自分が所属するチームの状況報告を期待されているでしょうし、企画会議なら自分の得意分野を踏まえたアイデア提案を期待されているのだろう、という仮説が立てられます。前提を仮説として持っておければ、お互いのコミュニケーションチャネルが大きくズレることはありませんし、万一、ズレを感じたときにも、すぐ別のチャネルに移行しやすい。

常に「今、自分が期待されている役割は何か」を前提として持っておくと、投げられた質問に対して正確な回答を答えやすくなるのではと思います。

気持ち良い会話のキャッチボールを!

いくつかのポイント書きましたが、「場の空気と相手の意図を汲む」という、なんともとらえどころのないものへの対処策に感じられるかもしれません。もちろん「こんなことやる意味なんて無い!」と感じたらスキップして、何度も質問を投げ合って組み立てていくコミュニケーションも存在するかと思います。

とはいえ、自分が投げた質問の意図を汲み、欲しい回答を返してくれる相手に人は好意を抱きやすいもの。何度も角度を変えた質問を投げないと、自分が欲しい回答を返してくれない相手には、どうしても「相性が悪いのかな」「カンが悪い人なのかな」といったネガティブな印象を持ってしまいます。

それは、コミュニケーションコストが無駄にかかっているから。無駄なコストはストレスを与えます。逆に、コミュニケーションコストが低い相手との会話というのは心地よく快適なものです。そして心地良く快適だ、と思ってもらえていると、相手の本質に迫りやすく、より有意義な会話への近道となります。

コミュニケーションコストを節約し、テンポの良い会話を意識することでコミュニケーションが楽しくなり、相手との良好な関係も作りやすくなるのではないかな、と思います。ぜひお試しください。

今日はそんな感じです!

チャオ!

イラスト:マツナガエイコ

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本記事は、2015年5月26日のサイボウズ式掲載記事質問の属性を見極めない回答は相手を苛立たせるより転載しました。

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