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サイボウズ式:「お父さんがしっかり働くから、家庭が成立」は、男性が女性にかけた催眠術!?  二村ヒトシ×川崎貴子×青野慶久

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AV監督の二村ヒトシさんと、「女のプロ」の異名を取る株式会社 ジョヤンテ社長の川崎貴子さん、そしてサイボウズの青野社長が、男女のあれこれについて語り合う異色の鼎談(ていだん)の後編です(前編:女性が欲しいのは「何か変わったね」という毎日の承認、思い出したように男性にあれこれしてほしいわけじゃない)。

「恋愛には昔からそんなに興味がなかった」と語る青野社長は、二村氏の"恋愛は趣味でいい"という発言にびっくり仰天! 自身の恋愛体験や結婚を決めた理由についても激白します。そして話は、これから先、男女の関係性はどのように変わっていくか、という深いところへ。特に男性は、熟読することで、これまでの女性との関係の築き方を見つめ直す契機になるかもしれません。

男が結婚すると仕事のパフォーマンスは上がるのか?


二村:僕は今回出す川崎さんとの対談本『モテと非モテの境界線』で、柄にもなく世の独身男性に向けて「結婚したほうがいいんじゃない?」とメッセージを発信しているんです。僕のビジネス的には、みんな結婚なんかしないでアダルトコンテンツを観てくれていたほうがいいんですけど(笑)

青野:ははは! そうですよね。

二村:もちろん現実の女性が大好きな男性も、逆にアダルトコンテンツだけで欲望を満たして満足している男性もいてもいいんですよ。でも、いわゆる中間層というか、普通の男性は普通に結婚したほうがいいんじゃない? というのが僕の考えです。そういう人が恋愛をしづらくなっている今の世の中の状態って、なんだかおかしいなと。

青野:確かに。

二村:結婚に関連して青野さんに伺いたいんですが、世の普通に働いている男性って、結婚することで仕事のパフォーマンスは上がるものなんでしょうか?

青野:ある意味、人間の幅が広がり、それが仕事にも好影響をもたらすことはあると思います。

川崎:よい悪いではなく、目線が変わりますよね。子どもができるとなおさらです。

青野:男って、ついつい仕事ばかりになりがちで。それが成長の速さにつながる面もあるけれども、そこからさらに一歩進んでおもしろいものを創り出そうとすると、仕事以外の知識もたくさん必要になります。長時間ずっと会社だけにいたら、自分の業界しか知らない人間になってしまいますから。

僕も人のことは言えなくて、結婚して初めてインテリアショップとかに行って、「おお! こんな店があるんだ!」と思ったりしました。そういうのが意外に仕事につながったりしますよね。

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二村ヒトシさん。1964年六本木生まれ。慶應義塾大学文学部中退。劇団主宰を経て、97年にアダルトビデオ監督としてデビュー。著書に『すべてはモテるためである』『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』(いずれもイースト・プレス)、共著に『オトコのカラダはキモチいい』(KADOKAWA)、対談集に『淑女のはらわた』(洋泉社)『日本人はもうセックスしなくなるのかもしれない』(幻冬舎)などがある。

二村:川崎さんが対談で「結婚がないと男の人生は変わらない」と言っていて、なるほど、と思ったんです。男性って、もちろんアグレッシブにどんどん転職したり、起業したりする人もいますが、基本的に大学を出て就職をしたら、ある程度それで人生が決まると思いこんでいるじゃないですか? 

外部から刺激を受けて、それにぶん回されて世界が広がるとか、価値感が激変するという経験をなかなか持てない。特に大企業に入るような優秀な人ほどそうなりがちで、それはちょっともったいないなと。そういう意味で、結婚というのは、外部からの刺激で自分が変われるいい機会になると思うんです。

青野:僕も妻という外圧にさらされて、労働時間が半減しましたもん。今は土日に働くこともほとんどないですし。昔の働き方がちょっと異常だったというのはありますが(笑)。

でも、労働時間が減ったからといって、減った分の時間がムダになっているということは決してない。妻や子どもと過ごしている時に見たり、感じたりすることが、必ず仕事にフィードバックされています

ただ正直、仕事に思う存分没頭したい自分もいて、その葛藤に悩んだりもするんですが(笑)

二村:わかるなあ。僕も10年くらい前は会社のパソコンの机のもとで寝ていました。倒れる直前まで女性が映っている映像を編集して、気絶するように眠って、目を覚ますとすぐに女性の映像を(笑)。本当に仕事に没頭して、何かをやり遂げた時って、気持ちいいですもんね。男性性の最たる喜びというか。

青野:そうなんですよ。気持ちいいんですよ。

川崎:そのシングルタスクは男性ならではですね。女性の場合、仮に自分が大黒柱的存在であったとしても、特に子どもがいる場合は、仕事は仕事、家庭は家庭、と割り切れる。女性のほうがマルチタスク的にできると思います。

青野:確かに。

川崎:だから男性は、女性と話していると、話があちこちに飛ぶように感じるのかもしれませんね。女性の場合、さっき仕事のことを考えていたら、次は子どものこと、次は買い物のこととか、思考が次々に変わりますから。

青野:ああ、それはマルチタスクだからだったのか!(笑)

結婚することでミッションを共有できる


青野:そもそも、結婚って何でしたほうがいいんでしょうね?

川崎:先日、「サイボウズ式」で、山本一郎さんと対談させていただいたんですけど、山本さんが「50過ぎてひとりではモチベーションが続かない」と言っていて、確かにそのとおりだなと。続く人もいるだろうけど、若い時の没頭力はないですよね? 仕事をしていても「自分は何のためにこれをやっているんだろう?」となってしまう。その時、自分の頑張りが家族に影響すると思うと、頑張れるんじゃないかと思うんです。

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青野:なるほど。

二村:まったく同感ですね。

川崎:特に親の介護などが絡んでくると大変。ひとりではとても乗り切れないですよ。

私自身、チームで子育てをしてきたんです。長女が小さいころは、ちょうど会社を拡大したいと思っていた時期だったので、夫と私と妹とおばあちゃんとベビーシッター2人で家庭を回していました。

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川崎貴子さん。1972年生まれ。埼玉県出身。1997年に働く女性をサポートするための人材コンサルティング会社(株)ジョヤンテを設立。女性に特化した人材紹介業、教育事業、女性活用コンサルティング事業を展開。女性誌での執筆活動や講演多数。著書に『結婚したい女子のための ハンティング・レッスン』(総合法令出版)、『私たちが仕事を辞めてはいけない57の理由』(大和書房)、『愛は技術 何度失敗しても女は幸せになれる。』(KKベストセラーズ)、『上司の頭はまる見え。』(サンマーク出版)がある。2014年より株式会社ninoya取締役を兼任し、ブログ「酒と泪と女と女」を執筆。婚活結社「魔女のサバト」主宰。女性の裏と表を知り尽くし、フォローしてきた女性は2万人以上。「女性マネージメントのプロ」「黒魔女」の異名を取る。10歳と3歳の娘をもつワーキングマザーでもある。

二村:へー! 川崎さんの持論どおり家庭を会社と考えるなら、結構な大企業ですね。

川崎:そうですね。それが今振り返ると本当に助かりました。チームみんなでメーリングリストを共有して、「今日は初めてこれができるようになったよ」「やったー」みたいにみんなで喜びを共有して。

二村:家族という、会社以外の別のチームに所属していることで、家族みんなでミッションを共有できるんですよね。

川崎:そうそう。重い気持ちも分け合える。

恋愛は"趣味"でいい、「俺も恋愛しなきゃ」なんて思わなくてもいい


二村:結婚って、熱烈な恋愛をして、その結果するものみたいに思われているフシがあるじゃないですか? だからハードルが高くなってしまう。そうじゃなく、人からの紹介とかお見合いとか、必ずしも熱烈な恋愛なんかしなくても結婚はできるし、していいんだと言いたい。なぜなら恋愛って、本来は"趣味"だと思うからです。

青野:趣味ですか!

二村:はい。趣味なんだから、恋愛をすごくやりたい人はやればいいし、そうでない人はしなくたっていい。世の中には、例えばオタク層のように、明らかに恋愛は苦手、という人がたくさんいて。

そういう人もなんとなく恋愛をしないと世の中から取り残されちゃう、あるいは自己肯定感をえられない、みたいに考えがちですが、別にそんなことはない。派手でロマンチックな恋愛をしたり、まして恋愛で傷ついたり苦しんだりするなんて、単なる趣味なんですよ。

川崎:青野さんが結婚に踏み切った理由って何だったんですか?

青野:僕ですか?! 僕は妻と、学生時代から8年ぐらい付き合っていて。踏み切ったのは、サイボウズが大阪から東京に移転することになったのが理由ですね。また遠距離恋愛をするのは大変だね、じゃあ結婚しようか、と。

川崎:なるほど。

青野:僕は本当に恋愛経験が少なくて。子どもの頃からあまり興味がなかったんじゃないかな。どちらかというと女性に言われるがままに、という感じで。

二村:青野さんが学生の頃って、ちょうどバブルの頃だったと思うんですが、そんな中で「俺も恋愛しなくちゃ!」みたいになりませんでしたか?

青野:なりましたよ! トレンディドラマの全盛期で、「俺もスキー場に行かなきゃ!」と(笑)

川崎:あはは、ありましたよね。あれ、何だったんですかね。

二村:恋愛しないと人にあらず、みたいな感じでしたよね。

青野:とはいえ、僕は自分から積極的に動くタイプでもなく。

二村:でもその中で、今でも青野さんに刺激を与え続けてくれる大事な人と出会っているわけですよね。だから、出会いを恋愛ゲームにしなくていいわけですよ。そこを通過しなくてはいけないみたいに考えなくていい。それはファンタジーですよ。

川崎:男性も女性も、結婚したいのに、ファンタジーと恋愛を混同してつまずいているところがありますよね。それで女性は、到底結婚向きじゃない、でもドキドキさせるのがうまい男に振り回されちゃったりするし。

青野:"恋愛ファンタジスタ"がいるわけですね(笑)

二村:それは恋愛が趣味の人ですよ。そういう人に振り回されて、恋愛が得意じゃない人が結婚しなくなるのはもったいない。けれども世間的には、特にマスコミなどは、恋愛ゲームをやってくれたほうが、高い服を買ったり旅行に行ってくれたりして消費が伸びるから煽るわけですよね。

青野:資本主義の論理が働くんですね。

二村:趣味は趣味でやればいい。恋愛が苦手な人も地味に結婚する道があって、それでも充分幸せになれます。

青野:いろいろな選択肢がありますよね。

ここから100年で、男女のあり方は大きく変わり、女性中心になるかもしれない


川崎:選択肢ということで言えば、ステップマザー、ステップファザーも増えてきています。女性だけで子どもを育てるとか、ゲイのカップルで育てるとかいうのもアリですし。そういう多様性が認められる世の中のほうが、子どもたちも生きやすいと思います。特に日本は、お父さん・お母さんの役割が固定されているケースがまだまだ多いですよね。

青野:離婚が悪い、という見方もまだ残っているんですかね?

川崎:私自身バツ1ですが、娘のクラスメートの3分の1はシングルマザーかバツ1だったりして、そんなに風当たりは強くないですね。住んでいる地域にもよるんでしょうが。

青野:フランスなどでは、もうそういうのが当たり前になっていると聞きますよね。

今は社会の大きな転換点で、ここから100年で、男女のあり方や関係性は大きく変わると思います。男性が作ってきた仕事ありきの社会はある意味、もう踊り場に来ていて、次にもっと楽しい社会を作ろうとしたら、女性が中心になるかもしれない

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青野 慶久(あおの よしひさ)。1971年生まれ。愛媛県今治市出身。大阪大学工学部情報システム工学科卒業後、松下電工(現 パナソニック)を経て、1997年8月愛媛県松山市でサイボウズを設立。2005年4月代表取締役社長に就任(現任)。社内のワークスタイル変革を推進し離職率を6分の1に低減するとともに、3児の父として3度の育児休暇を取得。2011年から事業のクラウド化を進める。総務省ワークスタイル変革プロジェクトの外部アドバイザーやCSAJ(一般社団法人コンピュータソフトウェア協会)の副会長を務める。著書に『ちょいデキ!』(文春新書)、『チームのことだけ、考えた。』(ダイヤモンド社)がある。

二村:今の世の中って、男性がつまらないプライドを守るために築き上げてきたものである気もしています。奥さんに逃げられたら困るから、女性がひとりでは生きていきづらい仕組みにしたんじゃないかな。

青野:ああ、なるほど。

二村:僕の母は医者で、僕自身、シングルマザーのもとで育ったんです。今、日本では一般的に"お父さんがしっかりいて、働いているから家庭が成立するんだ"と考えられていますが、それって実は女性が、男性によってかけられた催眠術にかかっているだけであって、ふとわれに返ったらそうでもないんじゃないかと。

川崎:わたしはまさにわれに返って離婚しましたね(笑)

青野:日本で、大黒柱であるお父さんがお金を稼がないと家庭が成り立たないと考えられているのは、子どもを育てるのにお金がかかるから。従来は、お父さんは年功序列で年々、給料が上がっていくので、じゃあお父さん中心で、周りはお父さんが働き続けられるようにサポートしていきましょう、となっていたわけですよね。

でも発想を変えて、「子育てにかかる費用は国がすべて保障します」となったら、お父さんは「あれ? 俺は稼がなくても家は回るんだ」となる。そうしたらいろんなことが変わりますよ。そんな時代は、もうすぐそこまで来ているかもしれない。

二村:まず間違いなく離婚はバンバン増えますよね。女性の側から言われて。でもそれはむしろ、そのほうがいいのかもしれない。

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ベーシックインカムで「やらなくていい仕事はしない」となれば、社会はもっと創造的になる


青野:今の「もしお父さんが大黒柱として稼がなくてもよくなったら」という話は、"働き方"にもかかわってきます。先日、スイスでベーシックインカム導入を問う国民投票が行われましたよね。結果は否決されましたが。正直、僕は「月に30万円近くもらえるなら自分は働くだろうか?」と考えましたもん。

二村:日本でやったら、ギスギスした空気はちょっと良くなるかもしれないけど、生産性が落ちて経済が回らなくなるかもしれませんね。

青野:いや、僕は逆に生産性は上る可能性があると思っているんです。サイボウズも、どうしてこんなにユルい会社なのに業績が上がっているの? と言われます。これで本当にグループウェア世界No.1を目指しているのかと。ただ、僕は、理屈で考えるとこのやり方のほうが目標に近づくのが早いと思っているから、あえてこうしているわけで。

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二村:ああ、普通の会社だと、とにかく働かなきゃ、ということでヘトヘトに疲れていますもんね。ある程度ユルいほうが生産性は上がると。

川崎:日本の会社は特に、余計な仕事を作りたがりますからね。それでいそがしいいそがしいとなっている面もある。

二村:ベーシックインカムがあれば、やらなくていい仕事はしなくてもいい。やりたい仕事だけやればいい、となりますよね。そうなると、僕は先ほど"恋愛は1つの趣味"と言いましたが、仕事も1つの趣味になるかもしれない。働かなくてはならないという呪いが解けた時点で、仕事が楽しくなる気がします。

青野:そうそう。自分が本当に好きなこと、突き詰めたいことは何なんだろうとみんなが考え、それに向けて突き進むような、非常にクリエイティブな社会になるかもしれませんよね。

川崎:そうなれば確かに生産性は上がるでしょうね。

青野:サイボウズではここ数年、働き方改革を続けてきましたが、特にこの1年で社会が大きく変わってきた手応えがあります。サイボウズに対する外からの注目度も上がってきて。だからこそ、僕らはこれからもそこそこうまくやらないといけない。

二村:ダメになったら、そら見たことか、と言う人も出てくるでしょうしね(笑)

川崎:やっぱり長時間働かないとダメじゃないかと(笑)

青野:そう言わせたくないですからね(笑)。今日は今まで僕が聞いたことのないようなお話がたくさん飛び出してきて、とても刺激的でインパクトがありました。ありがとうございました!

川崎:私もとても楽しかったです。

二村:今度はお酒でも呑みながらまた、ゆっくりとお話ししましょう!

青野:ぜひ!

女性が欲しいのは「何か変わったね」という毎日の承認、思い出したように男性にあれこれしてほしいわけじゃない──二村ヒトシ×川崎貴子×青野慶久

執筆:荒濱 一/撮影:橋本直己

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サイボウズ式」は、サイボウズ株式会社が運営する「新しい価値を生み出すチーム」のための、コラボレーションとITの情報サイトです。

本記事は、2016年7月14日のサイボウズ式掲載記事「お父さんがしっかり働くから、家庭が成立」は、男性が女性にかけた催眠術!?  二村ヒトシ×川崎貴子×青野慶久より転載しました。