サイボウズ式:仕事で「結果に直結するインプット」のために考えたいこと

膨大なインプットが得意な人だったとしても、それが実業務上で反映されていなければ近視眼的には価値がない人材です。

【サイボウズ式編集部より】この「ブロガーズ・コラム」は、著名ブロガーをサイボウズ外部から招いて、チームワークに関するコラムを執筆いただいています。今回はファーレンハイトさんが考える「勉強のための勉強ではなく、結果を出すためのインプット」について。

サラリーマン人生は「勉強」の連続です。学生じゃないのだから「勉強したくない」と思うのが人情だけど、それでも必要になってしまうのがサラリーマンという人種。

会社からの命令で取得する資格、市場価値を高めるために自主的に取得する資格、会社に依らないスキルを取得するための資格、資格にとらわれない業界や職種全般の基本・トレンドの勉強。

今回はスコアを取得してクリアするタイプのものではなく、実業務において必要になってくるお勉強について書いてみよう。

インプットとアウトプットの時差を縮めよ

社会人に必要とされるのは「アウトプット」なのは厳然とした事実でしょう。基本的にすべてのインプットはアウトプットに帰結する必要があります。言い換えれば、優秀な人材のひとつの定義はインプットとアウトプットの時差を縮めることに長けていることだと俺は考えています。

膨大なインプットが得意な人だったとしても、それが実業務上で反映されていなければ近視眼的には価値がない人材です。ただの物知りさんで終わります。(個人的には一緒に飲んで楽しい人ではありますが)

さて、会社員をやっていると「業務の内容が変わる」ことが多々あります。それは部署の異動であったり、新しいプロジェクトへのアサインによってもたらされるでしょう。それをきっかけに「できる」と思われていた人が苦しみ、ときにはそのまま潰れていってしまうことが多々あります。

人間関係の変化などの要因はありますが、大きな要因としては新しい業務に必要な知識・スキルのキャッチアップ(=インプットからアウトプット)に失敗したからと言えるでしょう。

全体観をつけてからアウトプットをする必要はない

俺が新人時代に洗礼を受け、いまでも大きく意識していることに「最初にすべての知識をつける必要はない」ということです。要領よくやりたいと思う人ほど「最初にすべての知識をつけ、全体観を養い、最善手を組み立ててアウトプットしていきたい」と思うものです。

しかし、往々にして「すべての知識をつけること」なんて不可能です。それは「量」的な問題だけではなく、「やってみなければ本当の意味でわからないことが多すぎる」からです。

手を付けてはじめて最初にインプットした内容が自分の腹に落ちたり、知識の断片が有機的に結びついてくるものです。これを突き進めると「とにかくやれば分かる」という暴論になってしまい、それはいかがなものかと思うのですが、重要な事は「わかってからやるのではなく、やりながらわかっていけば良い」という事実です。

実際に、コンサル業界では自分が保持しているスキルとのマッチングで現場が決まりますが、それでも「既知のもの」だけで業務ができることは少なく、「新しいものを(客先ではプロという顔をしながら)吸収しながらアウトプットを出している」のが事実です。

「考えてから動く」のではなく、「動きながら考える」というアプローチに近いと言えるでしょう。経験値が膨大に溜まっている人は例外なんでしょうけれど。

アウトプットとの時差を縮めるインプット方法とは?

さて、それではアウトプットに直結したインプットとは何でしょうか?自分のまわりで現在進行形で吸収しながらアウトプットをしていくのが上手いと思う人には2つの特徴があります。

①何をインプットしたいかが明確

②次のアクションにつながるインプットをしている

②は①に包含される部分もありますが、自分としては切り分けています。

①はインプットの目的です。「読書」は非常に分かりやすい例になります。書籍というのは良本であればあるほど、多層的な読み方ができるものになっています。自分がどんなフィルターを持って読むかで、吸収できる内容が変わってきます。

スコトーマという言葉を聞いたことがあるでしょうか。脳のフィルターのことです。有名な例は「時計のデザインはどんなものですか?」と聞かれて自分の時計を見る。「では、いま何時ですか?」と聞かれると時計をたしかに見たはずなのに答えられない。<意識の焦点>が時間に向いていなかったから。

それを前提としたうえで、インプットにおいてはスコトーマを意識する必要があります。だからフォトリーディングでは「どんな目的でこの本を読むのかを明確にする」というステップがあるのです。潜在意識に関する言及はマユツバな人が多いでしょうが、どんな目線(得ようとする目的次第)で読むかによって、得られるものが変わってくるからです。拾えるものを拾えなくなってしまうからです。

本を読むにせよ、DVDを視聴するにせよ、人の話を聞くにせよ、すべては「これによって自分は何を得ようしているのか」が前提であり、すべてだと言えます。業界の知識をつけるのに人情味の側面で見る必要はありません。素晴らしいプレゼンテーションを吸収するには、専門知識の側面で見る必要はありません。

自分の成長形を考えた時に、どの要素としてこのインプットを行うのか?を押さえておく必要があるのです。

次に、②の次のアクションです。これはアウトプットに直結させるために不可欠な要素です。実践的な知識を身につけました、だけでは足りない。客観的には「で?」で終わります。

インプットをしたことで<具体的にどんなアクションが取れるようになるか?>という目線です。プレゼンテーション資料の作成においてはエビデンスかもしれません。営業においてはクロージングの誘導の仕方かもしれません。会議のファシリテーションにおいては横道にそれる時間を削減することかもしれません。

往々にして「インプットが上手い」と思う人は常にそこを意識し、具体的なアクションが変わっています。もしくは具体的なアクションを取る材料として活かしています。

"分かる・できる・教える"にはそれぞれ10倍の開きがある

自分を客観的に見たとき、俺自身は決してこれらが上手くないなぁと思います。業務上の目的意識を持って挑んでいても、「好奇心」で脇道にそれてしまうことがあります。次のアクションを意識するよりも「わかる喜び」を優先してしまうことがあります。自分の悪癖です。

そんなときに思い出すようにしているのはこの言葉です。

「記憶への残り方は 聞いたこと=10%、見たこと=15%、聞いて見たとき=20%、話し合ったとき=40%、体験したとき=80%、教えたとき=90%」

「"分かる・できる・教える"にはそれぞれ10倍の開きがある」

仕事をする上で今後も不可欠であるアウトプットするための「お勉強」についてのヒントがここに詰まっているように俺は思えるのです。

そして、教えることは自分が学ぶことでもあるというよく言われる言説ともつながっていると感じるのです。どんなに優秀な人であっても、面倒見が悪い人はやっぱり魅力がないと俺は感じますしね。

ときには一緒に調べながらでも、「教えることを苦にしない」人材でありたいと思います。

イラスト:マツナガエイコ

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本記事は、2015年6月 9日のサイボウズ式掲載記事仕事で「結果に直結するインプット」のために考えたいことより転載しました。

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