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サイボウズ式:「できません」が言えない人はプロ失格

2015年11月28日 15時04分 JST | 更新 2016年11月26日 19時12分 JST

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【サイボウズ式編集部より】この「ブロガーズ・コラム」は、サイボウズの外部から招いた著名ブロガーによるチームワークコラムです。今回は日野瑛太郎さんによる「できない」ことを「できない」と言う責任について。

仕事をしていると、たまに上司やクライアントから「無茶な要求」をつきつけられることがあります。どう考えても作成に数日かかる資料を明日の昼の会議までに作ってくれと言われたり、工数を考えると到底間に合わない開発スケジュールに同意することを迫られたり、普通のやり方では実現できそうにないことを「やってくれ」と言われてしまうことは会社員をしていると残念ながらよくあることです。

ここできっぱりと「できません」と答えられるならいいのですが、必ずしもそういう人ばかりではないと思います。「上司の命令にはどんな場合でもYESというのが社会人だ」といった間違った常識にとらわれて何も考えずに「やります」と答えてしまったり、これは絶対に無理だよなぁ、と内心ではわかっているのに「とりあえずやってみます」とダメもとで引き受けてしまったり、仕事で明確に「ノー」が言えない人は少なくありません。

果たして、仕事で「できません」という回答をすることはいけないことなのでしょうか。僕はそうは思いません。むしろ「できません」としっかり言わないことで、チームやクライアントに迷惑がかかる場合もありえるのではないでしょうか。

今回は、仕事でできないことを要求された際に「できません」としっかり伝えることの必要性について考えてみたいと思います。

「できない」ことを「できない」と言う責任

不可能なことを要求された時に「できません」とキッパリ言えない人は、「相手の期待に反したくない」と思っているのかもしません。たしかに、「できません」と伝えることは少なからず相手を落胆させます。時には露骨に嫌な顔をされることもあるでしょう。

しかし一方で、できないこと、あるいはできないリスクがあることを「できます」と言ってしまうことも、相手の期待を挫くおそれがあるということを忘れてはいけません。むしろ、「できます」「やります」と言っておいて、いざふたを開けてみたらできていなかった、というほうが相手に与える損失は大きいと言えます。

たとえば、「明日の会議で使うから、◯◯についてまとめた資料をそれに間に合うように作ってくれ」と上司から頼まれたとします。上司は資料の対象についてあまりよく知っておらず、なんとなく明日の会議までなら間に合うだろう、と考えています。一方で、あなたはその問題の主担当者なので、◯◯についてまとめることの大変さをよく知っています。あなた自身の見積もりだと、普通にやったら明日の会議に間に合うわけがなく、徹夜したとしても五分五分だろう、と感じています。

こんな時には、「できます」「やります」と答えるべきではありません。仮にあなたがそう答えてしまったら、上司はあなたが期待通りの成果を上げることを前提にその後の計画を立てることになります。それでいざ会議の直前になって肝心な資料ができていなかったり、期待を大きく下回るクオリティの資料しか渡せなかったとしたら、相手が受ける被害は尋常なものではありません。

相手の期待に背きたくないと思うのであれば、ますますできないことは「できません」とキッパリ断らなければなりません。できるかできないかよくわからないのに、とりあえず「やってみます」と引き受けて、直前になってから「やっぱりできませんでした」というのはプロとしては完全に失格です。

現場のあなた以上にリスクを正しく把握している人はいない

仕事を依頼する側とそれを受ける側とでは、持っている情報量に差があります。基本的には仕事の依頼者よりも仕事を受ける人のほうが現場に近く、その分リスクも正しく把握しています。相手の見積りが甘いのであれば、それをしっかり指摘するのがプロの取るべき姿勢です。「やれって言われたのでやりました。僕は無理だと思ってましたけど」という態度は、責任転嫁でしかありません。

もちろん、仕事を受ける側のほうが現場に近いとは言っても、いつも完璧な見積りができるわけではありません。仕事を受けた時にはできると思っていたことが、いざはじめてみたら予想外に難航し実現が危うくなることもありえます。

そういう時には、そのことに気づいた時点ですばやく相手にできない可能性があることを伝えなければいけません。できるかできないかあやしげなまま仕事を進め、最後の最後で「できませんでした」というのが許されないのはこの場合も同じです。

断りっぱなしではなく、代案を提示する

いくら「できません」としっかり伝えることが大切だとは言っても、ただ「できません」と言うだけで終わってしまうのはあまり感心できることではありません。期待通りの成果が望めないことが早い段階で相手に伝わるという点では無責任に引き受けるよりもよいのですが、それでも相手の期待が挫かれるということについては同じだからです。

そこでぜひおすすめしたいのは、「できません」と断った後はできる範囲で代案を提示することです。

たとえば、前述の資料作りの例であれば、上司に資料をどう使いたかったのかを尋ね、会議に間に合う範囲で出せるデータだけでもまとめるようにするとよいでしょう。代案を提示する際のポイントは、相手が何を求めているのかをよく聞くことです。話を詳しく聞いてみると、たいていの場合、もっと軽い労力で相手の目的を実現できる手段が見つかります。

そういう意味では、「できません」と断る時に限らず、「できます」・「やります」と肯定的な返事をする場合であっても「相手が本当に求めているものは何なのか」については気を配るとよいとも言えるでしょう。仮に「◯◯をやってほしい」と依頼されたとしても、本当に相手が求めているものは◯◯ではないかもしれないからです。仕事を振る側が何でも熟知していると思ってはいけません。トンチンカンな依頼を飛ばす上司やクライアントも、実は結構多いのです。

相手の依頼に対して「できません」と答えられることは、それだけこちらが自分の頭で考えて能動的に動いているということの証左でもあります。唯々諾々、言われるがままに従うというのではなく、責任を果たすためにもできない時には「できません」と言う勇気を持ちましょう。それが結果的にプロジェクトやチームを守ることにつながります。

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本記事は、2015年4月14日のサイボウズ式掲載記事「できません」が言えない人はプロ失格より転載しました。

イラスト:マツナガエイコ