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サイボウズ式:「長時間労働はカッコ悪い」、アクセンチュアはどうやって社内カルチャーを変えたのか?

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「外資系コンサルティング会社」と聞くと、「昼夜問わずめちゃくちゃ働く」「人間関係がドライ」というイメージを持つ方がまだまだ多いのでは? そんな先入観を吹き飛ばしてくれるのが、ここ最近のアクセンチュア。

1人ひとりの社員が、ライフステージに合わせて働けるよう、育休取得や時短勤務を含めた先進的な「働き方改革」を推進しています。これについて、ご自身も1年間の育児休暇を取得された経験を持つ新卒採用チームリードの佐藤優介さんに、サイボウズ人事部マネージャーの青野誠がお話を伺ってきました。前後編でお届けします。

企業のためより、「個人にフォーカスした人事制度」が求められるようになる


青野:まずは弊社社長の青野の著書『チームのことだけ、考えた。』を読んでくださったそうで。ありがとうございます。

佐藤:発売後すぐに読みました。SNSでバズっていましたよね。 これは読まなくては、と思って。

青野:企業の人事の方が読んでくださっている率がすごく高いんですよ。「社長にも読ませて、ウチの会社でも制度を考えてくださいと伝えました」と言ってくれる方がたくさんいて。

佐藤:妻も人事の仕事をしているので、勧めたら読んでいましたね。

青野:率直に、どんな感想を持ちましたか?

佐藤:コンサルタントらしく、印象的だったポイントを3つで言いましょうか(笑)。まずは僕も起業経験があるので、前半部分の起業ストーリーに引きこまれました。少ない人数でスタートして会社を成長させるために奮闘する。熱いですよね。感銘を受けました。

2つめは、"人事の多様性"についてです。アクセンチュアも含めて各社、様々な取り組みをしていますが、経営者自身がここまで考え抜いて、自ら旗を振って制度を作ったりしている会社はなかなかないと思います。

3つめは、"人事のあり方は今後どうなるのか?"という点です。これは僕も今まさに考えているところで。サイボウズさんの場合、キーワードは"チーム"だと思うのですが、その上でチームの1人ひとりにあわせた人事制度にしているじゃないですか? このように、今後は企業のためというよりも、「もっと個人にフォーカスした人事制度」が求められるようになると思う。そういう面でヒントをもらいました。

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佐藤優介さん。早稲田大学政治経済学部卒業。大学1年時には大手商社でインターンを行い、2年時にはベンチャー企業でインターン生として新規事業を立ち上げる。大学3年時には共同創業し、取締役として1年半会社経営に携わる。卒業と同時に2007年にアクセンチュアへ入社し、戦略コンサルタントとして活躍。また、仕事の傍ら2008年に高校生・大学生向けのキャリア教育支援団体「NPO法人JUKE」を創業。2012年の娘の誕生によりNPOの代表を後進に譲り、その後1年間の育児休暇を取得。子育てをしている中で「人材育成に関わりたい」という思いが強くなり、職場復帰時に人事部に異動。現在は新卒採用チームリード(新卒採用責任者)として仕事に邁進している

青野:読み込んでいただいて、とてもうれしいです。

学生起業は3回失敗。アクセンチュアだけが応募を認めてくれた


青野:佐藤さんが起業していたのは、大学時代ですよね?

佐藤:そうです。起業を含め、僕はこれまでに、新しい組織や事業を作ったことが4回あって、そのうち3回失敗しているんです(笑)

1つめは20歳の時に、創業間もないベンチャー企業に入って、新規事業立ち上げを行ったのですが失敗しました。2つめは学生団体を立ち上げたんですが、すぐに終わらせてしまい。3つめが起業で、1年半取締役を務めたのですが、これもうまくいきませんでした。4つめのNPO創業は、戦略コンサルティングの仕事と並行してやったこともあって、ようやくうまくいったんです。

青野:面白いですよね。で、育児休暇を取得するタイミングで後任に託されたと。

それではアクセンチュアには、学生時代の色々な事業や企業の立ち上げがうまくいかなかったことから、修行する目的で入社されたんですか?

佐藤:ええ。経営者として成功できるだけの実力をつけたいと思って入りました。よく拾ってくれたな、と思います。

青野:そういう意味で、多様性を受け入れる土壌があるんでしょうね。

佐藤:そうですね。僕が受けた時期はすでに新卒採用は終了していて、第2新卒採用の枠で応募したのですが、他のコンサル会社には特殊なキャリアを理由に全て断られたんですよ(笑)。アクセンチュアだけが応募を認めてくれて。

青野:ご自身ではどんなところが評価されたと感じていますか?

佐藤:学生時代にチャレンジしていて、かつ、経営者としての視点を持っていた点だと思いますね。そういう点を評価してくれたからこそ、僕もぜひこの会社で働きたい! と思いました。

育休を取って、妻に「子育てを一緒に頑張ったから夫婦でギャップがなくてすごく楽」と言ってもらえた

青野:現在も、多様性を意識した採用をしていますか?

佐藤:はい、そのために、昨年から新卒採用では「7人7色のキャリアを歩める」ということを打ち出しました。

アクセンチュアは、人生のフェーズに合わせた働き方ができる会社だと思うんです。20代では、とにかく速く成長したいからガツガツ働き、30代は子どもが生まれたりすることでワークライフバランスを大事にして、そこから戻ってきたら、自分のやりたいテーマを決めてそこを深掘りする、といったように。実際僕自身、それができていますし。

そういう多様な働き方を選択できることを「7人7色のキャリア」という形にまとめて新卒採用のコンテンツとして使ったら、それが結構ウケたんです。

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アクセンチュアの「7人7色のキャリア」

青野:外資系コンサルというと、とにかくバリバリ働くと思っていたので、そういう多様性のある働き方ができるのは正直意外ですね。以前と比べ、変わってきた感じなんですか?

佐藤:そうですね、かなり変わってきたと思います。この「7人7色のキャリア」をコンテンツ化したのも、外部から見たアクセンチュアと実際の姿にギャップがあるなと感じて、それを変えたいと思った からなんです。

青野:佐藤さんのように、育児休暇を取る男性は他にもいらっしゃるんですか?

佐藤:結構多くて。実は男性社員の14.8%が取得しています。

青野:それは多いですね! サイボウズより多いかもしれない。サイボウズでも営業やエンジニアなど若手が取ることが増えてきました。現場のコンサルタントの方でも取得されていますか?

佐藤:ええ。僕もコンサルタント時代に取りました。ウチはプロジェクト制なので、プロジェクトが終われば、その後、育児休暇を取っても他の人が引き継げばいいので。事業構造的に取りやすいのではと思います。

青野:佐藤さんが育児休暇を1年間も取ったのには驚いたんですよ。しかも、奥さんの秋田の実家に一緒に戻ったそうで。

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青野 誠。サイボウズ株式会社 人事部 マネージャー。早稲田大学理工学部卒業後、2006年にサイボウズに入社。営業やマーケティングを経験後に人事部へ。採用・育成・制度作りに携わる

佐藤:以前から、子どもが生まれたら育児休暇を取ろうと決めていたんです。それができそうだからアクセンチュアを選んだというのもあります。

青野:周りの社員の方々の反応はどうだったんですか?

佐藤:普通に「わかった。じゃあ誰が代わりに入る?」みたいな(笑)。逆に、社外の友人のほうが驚いていましたね。

その時、僕は27歳だったのですが、「一番キャリアを伸ばす時期なのに、なんでそんなことをするんだ?」とか言われて。反応の違いが面白かったです。

青野:育児休暇を取ろうと決めていた理由は何だったんですか?

佐藤:1つは、それが結婚する時の妻との約束だったんです。実は、僕は妻に、プロポーズを3回断られているんですよ。4回めでようやくOKをもらえて。だから妻には頭が上がらない(笑)

もう1つは、僕は自分の人生のプライオリティとして、仕事よりも絶対に家族優先と決めていて。今後、人生が数十年続く中で、育児に時間を使うのは絶対有意義だと思ったんです。

青野:なるほど。実際に取ってみてどうでした?

佐藤:取って良かったなと思えたことが本当に多かったです。まず、義理の父母とすごく仲良くなれました。僕も秋田出身なのですが、今も秋田に戻ると、自分の実家ではなく妻の実家に泊まって、お父さんと酒を呑みながら話す、みたいな感じで。この関係性を築くのは、育児休暇を取らないと難しかったと思います。

また、妻との関係にもいい影響をもたらしてくれています。妻から「普通の家庭ではお互いが自分のほうが大変みたいに思っていて、そのギャップを埋めるのに時間をとられがちだけど、ウチは子育てを一緒に頑張ったからギャップがなくてすごく楽」と言ってもらえて。うれしかったですね。

「長時間労働がカッコいい」から「カッコ悪い」へ


青野:サイボウズは社長の青野が率先して子どもが産まれるたびに3回も育休を取っているので、取りづらさは全然ないのですが、アクセンチュアさんではどうですか? 取る人にためらいのようなものはないですか?

佐藤:今はなくなりましたね。女性だけではなく男性も、若手から管理職まで、いろんな人が取っています。やはりプロジェクト制なので代わりの人に入ってもらえる、という気軽さはありますね。

青野:育児休暇は、海外のアクセンチュアでも一般的なんですか?

佐藤:そうですね。普通に取っていますね。在宅勤務も進んでいて、海外の人とオンラインのビデオ会議で話すと、子どもを抱きながら仕事をしていたりして。よりワークとライフが自然に一体化している感じですね。

僕も第2子が生まれて育休を取った時は、秋田で在宅勤務をさせてもらいました。第1子の時は復職してもしばらくは時短勤務で働いていましたし。今もフレックスタイムを利用して、子どもを保育園に送ってから会社に来ています。

青野:あ、私も子どもを送ってから来ています。一緒ですね。

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佐藤:とりあえず社内の全ての制度を使いつつ、自分の実現したいワークスタイルを考えています。

青野:制度はかなり整っているんですね。

佐藤:アクセンチュアでは、1年半前から、全社で働き方を中心にした風土改革(※1)を推進しているんです。「長時間労働を改めて適正な時間でパフォーマンスを発揮することによって、クライアントや社会に貢献しよう、そして自分の人生も豊かにしよう」というものです。

社長自らが経営課題として深くコミットしているので、今ではかなり社内に浸透して、カルチャーも変わってきたのを実感しています。

※1 最近アクセンチュアでは短日短時間勤務制度を導入。週20時間以上であれば、例えば週4日、1日5時間というように勤務時間を決められ、育児・介護と仕事をコンサルタントが両立することも可能。在宅勤務についても、一定の条件下はあるが今年より適用対象が全社員に。

青野:どのように変わったんですか?

佐藤:昔は「長時間労働がカッコいい」、というイメージでしたが、今やそれは「カッコ悪い」、となっていますね。

時間で働くより、与えられたミッションをいかに効率的にアウトプットできるかが大事だろうと。「長時間労働を強いるマネージャーもできないマネージャーだ」、という雰囲気になっています。

青野:社長自らがコミットとは、積極的に取り組んでいるんですね。

佐藤:そうですね。

青野:先ほど「7人7色」の話が出ましたが、サイボウズでは「100人いれば、100通りの人事制度があってよい」という考え方のもと、「選択型人事制度」というものがあります。

縦軸を時間、横軸を場所として、働く時間の長さや働く場所を、9つの区分の中から自由に選ぶことができるんです。しかも毎月変更可能なので、出産や介護などライフステージによって柔軟に変えていくことができます。

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サイボウズの9つの「選択型人事制度」

佐藤:それはすごく面白いですね。

ボランティアやプロボノで得た経験は本業にも活きる

青野:副業についても伺いたいです。サイボウズは「基本的に申請なしでも全社員OK」となっていて、副業する社員も増えています。

佐藤:副業とはちょっと違う形ですが、アクセンチュアではボランティアで、自分たちの持つさまざまな経験やスキルを社会貢献に生かしたいという思いを持つ社員が多くいます。

例えば、東北の起業家支援とか、学校に行ってグローバル人材育成に関わるとか。ボランティアのために短時間勤務をするのもOKです。あとは、プロボノ(※2)で社内で認められているプロジェクトに加わるケースもあります。

僕もコンサルタント時代は、プロボノプロジェクトに10%、残りをクライアントのプロジェクトみたいな感じで、自分の業務時間を振り分けていました。

※2 各分野の専門家が、職業上持っている知識・スキルや経験を活かして社会貢献するボランティア活動。

青野:ボランティアやプロボノでの活動が本業でも活かせることはありますか?

佐藤:あると思います。僕も参画していたプロボノプロジェクトでは、いろいろな利害関係のある人がいる中で、どのようにプロジェクトをマネジメントしていくかという点で、非常に貴重な経験になりました。

普段は戦略コンサルとして経営者の意思決定を支援する仕事をして、土日にはNPOで自分がリーダーとして実際に意思決定するかを実践する。両輪でやっていたのですごく成長できましたね。

青野:ダイバーシティと関連して、女性の活躍も増えているとか。最前線のコンサルタントとして働いている女性も多いのですよね?

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アクセンチュアの女性社員に関する数字推移

佐藤:もちろんです。仕事はきっちりやるけれども、同時にライフイベントも大切にしたいという女性は、アクセンチュアによくフィットすると思いますね。

後編につづく。

文:荒濱 一/写真: 内田 明人/編集:小原 弓佳

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本記事は、2016年9月13日のサイボウズ式掲載記事「 「長時間労働はカッコ悪い」、アクセンチュアはどうやって社内カルチャーを変えたのか? 」より転載しました。