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サイボウズ式:父親がPTAというお母さんワンダーランドに踏み入るためのテクニック

2015年04月14日 16時00分 JST | 更新 2015年06月13日 18時12分 JST

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前回に続いて、父親のPTA活動を考えるイベント「メンズPTA」で行われたフリートークの内容をダイジェスト版にてお届けします(2015年1月31日開催/主催:NPO法人ファザーリング・ジャパン ※以下略してFJ)。 司会進行は"イクボス"として知られる川島高之さん、登壇者はFJメンバーの父親4人と、大田区立嶺町小学校PTO団長・山本浩資さん、区立小学校でPTA副会長をしている友口乃莉子さん(仮名)、『PTAをけっこうラクにたのしくする本』著者・大塚玲子(記事執筆者)の7人。

後半は会場から質問を受け付けつつ、母親ばかりのPTAに父親が入っていくためのコツや、本部役員の選考方法、学校との協力体制づくりなど、実践的な内容で盛り上がりました。


お母さんたちとうまくやるコツ

川島:会場から質問はありますか?

質問者:(会場から)来年度、子どもの幼稚園の保護者会長をやることになりました。代々、会長は女性だったらしいんですが。男性が入っていって、うまくやるコツを教えてください。

村上:奥さんといっしょにやれるといいと思います。やっぱりいきなり男の人が出てくると、「なんだ?」と警戒されたりもするので。ぼくは自分でもどんどん入っていくけれど、妻にもネットワークをつくっておいてもらって、「情報収集はお願いね」というふうに、協力しながらやっています。

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村上氏のPTA活動を紹介するパワーポイント資料より。会場からは「こんな写真を公開して(奥さんは)大丈夫か?」と心配する声が上がったが、「妻のほうがノリノリでした」と村上氏。

福井:お母さんたちのパワーバランスをみて、味方をうまくつくる!

八坂:わたしは、お母さんたちの仲よしグループそれぞれに向き合います(笑)。


父親はどうやって活動に入ればよいのか?

質問者:(会場から)娘が来年小学校に入るので、わたしもぜひPTAをやりたいのですが、父親はどういう形で入っていくのがいいでしょう? 村上さんのように「ノンキャリ」がいいのか、「キャリア組」がいいのか?(笑) みなさんは、どうやってPTAに入りましたか?

村上:ぼくは最初、ある委員に立候補したんだけれど、同じクラスに「委員長」をやることが内輪で決まっている人がいたので、なれなかったんです。だから1年は様子を見つつ関係を築き、2年目からPTAに入りました。下の子も合わせると、けっこう長く学校に関わるので、「慌てず・急ぎすぎず」で、ノンキャリの下積みから(笑)。

福井:ぼくは中学校のとき、副会長から。ノンキャリでいくか、キャリアでいくかは、その人のキャラで考えたほうがいいですよ。

山本:わたしは「会長をやってくれないか」というお話が来て、入りました。周りは全然知らないお母さんばかりだったので、そこから苦労しましたけれど(笑)。

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大田区立嶺町小学校PTO団長 毎日新聞社会部記者の山本浩資さん。もしドラPTA改革を実施し、PT「A」の「え~(いやそう)」をやめて、PT「O」で「おー!(元気な応援団風)」にし「会長」ではなく「団長」と称することにした。

橋:わたしは保育園で保護者会の会長をやっていたせいか、PTA役員のオファーがあったんですが、「会議を土曜にしてください」といったら、それきり電話が来なくなりました(笑)。

もし自分からPTAに入って行く場合は、まず「学校から配布されるPTAのプリント」を、ママに捨てられる前に必ず目を通すのが大事だと思います。そのうえで学校に行くといい。

川島:僕も、きっかけはまさにそれでした。学校から「裏庭を整備するので、お父さんたちは集まってください」というお手紙が配られたのを見て、行ってみた。終わった後、お父さんたちと先生たちで飲みに行って、えらそうに教育論なんか話したら「じゃ、PTAに来ない?」って校長から言われました。


踊らない人を踊りたい気にさせる方法

質問者:(会場から)ここにいる人たちは、PTAをやって地域で友達ができたり、子どもの笑顔が見られたりすることに喜びを感じる人が多いですが、「そんなものには興味がない」という人も保護者のなかにはいますよね。そういう人たちを変えるには、どうすればいいですか?

福井:僕はそういう人を変えようとは思っていないです。みんなと仲良くなりたいタイプじゃないから(笑)。でも、「あなたがPTAに参加することで、子どもにこういうメリットがあるよ」ということは明確にしてあげたほうがいいと思う。

たとえば、裏庭の清掃をみんなで集まってやればお金はかからないけれど、これを業者に頼んだらいくらかかるから、メリットあるよね、と言ったりとか。

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NPO法人KIRALI代表の福井正樹さん。17年前、介護のために東京から鳥取に移住。PTA会長や自治会長、県P連の会長などを歴任。妻はベテラン教員。

友口:「笑顔が見られるよ」とかいうよりも、そういう無機的な理由付けのほうが効く人もいるかもしれませんね。

村上:「踊る阿呆に見る阿呆」ですから、踊ったほうがいい。それを踊って示してあげる。公園で遊んでいると、子どもたちが「遊んで~!」と集まってきますよね。そんなふうに地域で楽しんでいる人がいると、「自分の殻から出てみようかな」という人も増えてくるんじゃないですかね。


「PTAの私物化」問題

質問者:(会場から)一部のお母さんたちが役員会を私物化しているんですが、どうすればいいでしょうか?

村上:役員を選ぶ「選考委員会」というものがありますけれど、活動がクローズだから、誰が何をどう決めているのか全然わからないですよね。あれでいいのかな?

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NPO法人ファザーリング・ジャパン理事の村上誠さん。実母の介護を機に兼業主夫になった。毎日「愛夫弁当」を作る愛妻家。

福井:僕は選考委員会をなくしましたよ。やりたい人に手を挙げてもらって、やりたい人が多過ぎたら話し合いやじゃんけんをして、みんなで決める。前会長に任命権を与えるのもいいと思う。

友口:それだと、私物化状態は改善されないのでは?

質問者:(会場から)それぞれの候補者がマニフェストを出して、選挙にするのは?

川島:僕が会長をやめるとき、次にやりたいという人が3人いたので選挙という話も出たんですが、それはやめてもらいました。誰が勝っても保護者が割れてしまうので。そのときは2人にお願いして、降りてもらいました。

友口:お母さん同士の対立もありますけれど、父親同士の対立のほうが、もっとめんどくさいですからね。(会場笑)

福井:地方に行くと、さらに政治もからみますよ。僕が会長をやめたときも、ちゃんとネゴをして次の人にお願いしてきました。

川島:まだ誰も質問に答えられていないですね。

友口:突破口になれるタイプのお父さんと、緩衝材になれるタイプのお母さんが、セットで入っていくのはどうでしょう?


なにはともあれ「子どものため」に

質問者:(会場から)ぼくは元中学校の教員です。前半は楽しく聞いていたんですが、派閥争いなどの話を聞いていたら「(PTAは)むしろ形骸化してくれたほうがいいな」と思いました。(会場笑)

学校に協力してくれるような体制であればありがたいけれど、そんな人間関係になるくらいなら、形骸化してくれたほうがまだ面倒がないので。

福井:それは、僕もよく妻(教員)に言われました(笑)。

川島:PTAのせいで教師がかえって多忙になるというのは、よくあるパタンですね。

村上:でもそれは、教師の視点じゃないですか? PTAは学校の下請けじゃありませんよね。

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NPO法人コヂカラ・ニッポン代表、NPO法人ファザーリング・ジャパン理事、商社系上場企業の社長を務め"イクボス"として知られる川島高之さん。「MBAよりPTA」と仕事力を鍛えるのにPTA活動が適していると発信している。

川島:だけど、学校としてはPTAに保護者の意見をまとめてほしいことがある。それなのに、保護者が内紛を起こしていると機能を果たせないし、巻き込まれた先生の仕事が増えてしまうこともあるから。

福井:僕がPTA会長になったときは、部活をみる先生がいなかったのでPTAが地域に声をかけてコーチをやってくれる人を探して、先生の負担を軽くしました。そういうふうに協力しあわないと。PTAのせいで学校が忙しくなるというのは本末転倒だよね。

友口:派閥争いみたいになってくると、子どもたちのことを忘れてしまいますよね。そういうときは、誰かがガツンと「子どもたちが中心でしょ」と言って、方向を正してあげられるといいのですが。


PTA活動のために会社を休めるのが理想

川島:では最後に一人ずつ、ひとことお願いします。

大塚:「ノンキャリ」が増えることは、お父さん自身にとっても必要と思います。会長まではやれないけれど、学校を少しのぞいてみたい、というお父さんだって多いと思うので。ただし今は過渡期なので、まだお母さんたちのなかにも「お父さんはキャリア(会長・副会長)でいてほしい」という人もいるかもしれませんから、様子を見ながらですね。

友口:本当にいまは過渡期ですよね。改革的なことを進めているPTAもありますが、変えることに対して、すごく逆風もあると思うんです。男女問わず、パパたちも一緒になって突破口を開きつつ、これからのPTAというものをみんなで考えていけたらいいのかなと思います。

八坂:父親のPTA参加が楽しいということを、これからどんどん発信していこうと思います。思い切り楽しいのを見せていけば、興味のなかった人も「あっちは楽しそうだな...」と思って、やりたくなると思うので。

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村上:「女性の活躍」というのであれば、父親は家事育児だけでなくPTAにも参加していかないと。問題は山積みですけれど、それを変えていく過程を楽しむのもいいと思います。みなさんもぜひ「ノンキャリ」で行きましょう。事件は現場で起きている!(会場笑)

福井:PTAはなぜ必要なのか? 何のためにやるのか? すべては子どもたちのためです。そこを基点に、従来のシステムや行事を根本から見直すべきだと思います。派閥争いなんかより、そこに集中してほしいなあと思います。

山本:みなさんがおっしゃっているとおり、子どもたちのために何ができるかというところで、笑顔でやっていければいいなと思います。規約があるので、僕はあと2か月しか団長でいられないんですが、4月からは「ノンキャリ」として活動を楽しみます(笑)。

橋:わたしは運営委員会など「土曜活動推し」ですが、最終的には平日開催に戻ればいいと思ってます。PTAを土曜にやっちゃうと、子どもと過ごす時間が減ってしまうので。川島さんのようなイクボスが増えて、平日日中に「PTA活動のために会社休みます」といえるような価値観の社会になっていくといいなと思います。

川島:ありがとうございました。以上をもちまして第1回「メンズPTA」を終わります。

(サイボウズ式  2015年3月19日の掲載記事「父親がPTAというお母さんワンダーランドに踏み入るためのテクニック」より転載しました)