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人材は「人を巻き込むエネルギー」がすべて。「頭のよさやスキルは誤差、エネルギー量は100倍差」──メタップス 佐藤航陽さん

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就職活動をしていると、会社ごとに求められる人物像が違うことに気づきます。求められる人物像だけでなく、昨今では働くスタイルも多様化へ。ますます時代を先読みすることが難しくなっています。自分たちはどのような人材を目指せばいいのか、わからない人も多いのではないでしょうか。

先読みに必要な思考体系を教えてくれる本のひとつに『未来に先回りする思考法』があります。著者はメタップス代表の佐藤航陽さん。

未来を先読みしている佐藤さんから見た「優秀な人材」とはどのような人なのでしょうか。佐藤さんが熱意をもってひっぱりこんだというMetaps ChinaのCEO、Richard Zhengさんといっしょに聞きました。

「優秀な人材」とは...... エネルギー量がすべて


中川:著書を読んで、とてもワクワクしました。さっそく......単刀直入ですが、佐藤さんが考える「優秀な人材」ってどんな人ですか?

佐藤:部門や会社によって違うと思いますが、個人的な考えとしてはエネルギー量がすべてだと思っていますね。エネルギーがないと人を巻き込むことができません。だから、エネルギー量があるかどうかを見ていますね。

中川:一時点のスペックやステータスは関係ないんですか。

佐藤頭のよさや知識量はさほど個体差がないと思っていますね。年齢もあまり関係ありません

頭の良さについては、普通の人が1とすると天才と言われる人は2か3。そこまで差がないと思うんですよね。でもエネルギー量は100倍くらい差があるので、それだけ違うものだと思っています。

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株式会社メタップス 代表取締役社長 佐藤 航陽(Katsuaki Sato)さん。1986年、福島県生まれ。早稲田大学法学部在学中の2007年に株式会社メタップスを設立し代表取締役に就任。2011年に人工知能を活用したアプリ収益化プラットフォーム「Metaps」を開始、アジアを中心に世界8拠点に事業を拡大。2013年より金融プラットフォーム「SPIKE」の立ち上げに従事。2015年8月に東証マザーズ上場。2015年のフォーブス「日本を救う起業家ベスト10」、AERA「日本を突破する100人」、2016年「Under 30 Asia」に選出。

中川:なるほど。

佐藤:それだけエネルギー量があれば、学習できるので知識もキャッチアップできてしまう。物事に対する挑み方が大事だと思っています。

エネルギー量は生まれつき持っているものです。エネルギー量が高い人は、子どものころからリーダーシップをとっていたり、エネルギーが出すぎていて枠組みにハマれなかったり。でもそういう経験を得てきたことが、会社にとってもプラスになるなと思っています。

中川:それは「志」とか「思い」がある、ということですか?

佐藤:というよりも、見ていて一緒に働きたいと思うかですね。自分が熱中していないと周りを巻き込めないので、何かしら熱中しているものを持っているかどうかを見ています。

中川:人のエネルギー量は後天的にあげていけるものでしょうか。

佐藤:できると思いますね。エネルギーは生まれつきのものもあれば、性格や環境で減っていくものでもあると思うんです。

「あれをやってはダメ」「これをやってはダメ」と言われたり、「こうあるべき」という固い考えができたりすると、思考は閉じていくんですよね。だから、できるだけ制約を取っ払い続ければ、増えていくと思います。

エネルギーは湧き出るもの。見たら分かる


中川:佐藤さんが採用したリチャードさんも、エネルギーがあふれているんですよね。

佐藤:エネルギーの塊のようですね。ありすぎている(笑)。

リチャード:誘われた当時、私はリクルートの海外駐在員として働いていたんですね。一度辞表を出したのですが、なかなか辞めることができず......。そんなとき、佐藤が上海まできて「いつうちに来るの!?」と熱いトークを繰り広げてくれたんです。

今後、海外まで自分を訪ねてくれる会社はほかにはないだろうなと。まさに「エネルギー」や熱い思いの部分で入社を決めましたね。

中川:リチャードさんは、「エネルギー」をどうアピールしていたんですか?

リチャード:私が? 特にしていないと思います。自然な感じですよね?

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株式会社メタップス 執行役員 / Metaps Greater China CEO Richard Zheng(鄭 希)さん。2006年東京大学全額奨学金で入学。2008年三菱商事東京本社に入社し、鉄鋼国際貿易を担当。2010年リクルート東京本社に入社し、2Q目で営業目標の860%を達成し、同社史上初の非日本国籍MVPを獲得。その後グローバル部門の立ち上げに参加し、9か月連続トップセールスを獲得。2011年に子会社BOLE(中国最大のヒューマンリソースカンパニー)に出向し、ジャパンデスク総責任者として、半年で事業黒字化を実現。2013年よりメタップスに参画。

佐藤:エネルギーって湧き出るものなので、見ててわかりますよね。何かに熱中している人は、見てて面白いし、まわりもワクワクします。まさに、そういう人物ですよね。

リチャード:もし自分がほかの人と違うところがあるとすれば、ポジティブシンキングですね。どんな困難があっても、どういうリスクがあってどうすればできるのかを考えています。友達や会社の同僚と話していても、話がどんどん上にあがってしまうんですよね。

中川:上がる......。なるほど、気持ち的にもハイテンションになるんですね。会話では過去よりも、将来の話をよくされるのでしょうか。

リチャード:はい。人間の意識は自然と仕事や生活に影響します。気持ちが上がれば、仕事も生活も自然に上がっていくと思います。

30年先を先読みしながらビジネスができるか


リチャード:佐藤本人にも、エネルギーを感じましたよ。今まで営業力や交渉力には結構自信があって、誰にも負けないと思っていましたが、佐藤はちょっと違うなと(笑)。

中川:どこが違うと感じました?

リチャード:考えていることの根本が違うんです。彼が見ているのは社会全体。10、20、30年先を予想しながら、ビジネスを考えています。

私も2、3年先、一番いいビジネスで儲けるということを考えていますが、考えている軸が違うんですよね。佐藤のような長いビジョン持っている人と一緒に仕事をやりたいと思うようになりました。

中川:いっしょにやりたい人に出会えた、と。

リチャード: 正直に理念とかを話してもらったのですが、最初、ミッションの半分もわからなかった(笑)。そこまで想像したことがないことを具体的に考えている佐藤はすごいと思いました。

仕事の内容は前職も楽しかったですが、仕事で大事なのは「誰と一緒にやるか」。メタップスに入ったのも、この人と一緒に仕事をしたいと思ったからです。

年齢を重ねると「資産」で仕事をしがち。まったく新しいことに飛び込める人か?


佐藤まったく新しいことに対して飛び込める人は少ないと思っています。年齢を重ねていくと積み上げたアセットを利用して、仕事を広げようと思いますよね。でも、それは今まで貯めたものを使っているだけなんです

リチャードは入社当時、ネットのことは何も知らなかったんですね。

リチャード:ネットもゲームも何も知りませんでした(笑)。

佐藤:「新しいものをゼロから立ち上げてください」って渡されて、彼は「わかりました」って。よっぽど自信家じゃないとできないなと感じましたね(笑)。

リチャード:ははは。

佐藤新しいことに飛び込み続けられるのは、「自信がある」ことだと思っていて。私もそういう人間なので、姿勢そのものにも惹かれました。

ネット業界は新しい領域がどんどん立ち上がるので、パッと飛び込めないと生き残れないんですね。そういう意味でも、ネット領域で生き残れる人材だと思いました。

中川:リチャードさんは以前の企業とメタップスで、仕事の考え方は変わりましたか?

リチャード:思考は変わってないですね。前の2つの会社もおもしろかったのですが、私の考え方と会社が必要とする人間が違っていました。

中川:どんな点で違っていたのですか?

リチャード:以前の会社で求められていたのは、ロジカルさや会社の稟議を通すにはどうしたらいいか。大企業では、7割の仕事は社内向けではないかなと感じました。

でも自分は120%事業に集中したいタイプです。ロジカルさよりは、感覚や情熱、エネルギーを持って、新しいことを開拓していくタイプなのでピタリと当てはまりましたね。

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中川:大企業とは、環境も違いますか?

リチャード:そうですね。大手企業は、ミスしなければ60歳まで会社に居られる、という文化なので(笑)。

ただ、会社を変わって自由になりましたね。どんどん新しいことにチャレンジする中で、成功も失敗もしました。

でも、そこまでやらないと、私がこの世の中にいる意味は何なのかわからない。私が死ぬときに、世界がなにも変わっていないのは寂しい。どんどん新しいことにチャレンジできない大手企業は合っていないのかなと思いました。

エネルギー量はあげることができるのか?


中川:エネルギーにあふれた人を採用する秘訣はあるのでしょうか。

佐藤:採用についてはもともと、ベンチャー企業や中小企業は年俸などの面で劣ってしまうので、いい人材がとれないと思っていたんですね。

でもそれは勘違いでした。やっていることがつまらないからなんですよね。その人が本当に優秀であれば、金額や社会的地位を重要視してなくて、何をやるのか、自分の時間を使う意味があるのかというのが重要なんだなと。

中川:なるほど。

佐藤:だからこそ、客観的に自分のプロジェクトをみて「おもしろい」と言えるかどうか、自分の時間を使う意味があるかどうかをよくみてます。

わたしたち自身も「おもしろいね」と言ってもらえるような企画や考え方をし続けるために、相当勉強していますね。

中川:やっていることがおもしろいかどうか。

佐藤:お金儲けだけしたいなら、投資をやればいいんです。事業をやること自体、非効率な話なので、やるんだったら価値や意味が感じられることだけやっていきたいんです。

エネルギー総量が高くて、チームはぐちゃぐちゃ。自分が育った環境がスタンダードではないと気づける強み


中川:メタップスさんに集まる人はエネルギー総量の高さが特徴だと思いますが、それ以外はバラバラですか?

佐藤:結構ぐちゃぐちゃですね。

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リチャード:確かに(笑)。

佐藤:言葉も宗教観も趣味もぐちゃぐちゃなので、自分が育った環境がスタンダードではないと気付けるんです。「この国だと、こういう考え方をするんだ」という発見もあり、学びも多いですね。

リチャード:優秀で変わった人が活躍できる環境を与えてくれる会社こそ、これから100年続けられる会社だと思います。

日本の伝統的大手企業のように、個性ある新卒者をみんな同じようになるように育てると、会社の方針が時代の流れについていけなくなったとき、一気に倒れるんじゃないかと思っています。

中川:個性と個性のぶつかり合いで、チームを組んでいるんですね。

リチャード:社内やチーム間で激しい議論やネゴシエーションをやりますね。部下でも「違うと思う」と否定されます(笑)。みんな自分がプロフェッショナルだと思って、上司に交渉するんです。

佐藤:最終的には、その人の思いですよね。どこまでその人がコミットメントしているかという覚悟によってですね。

リチャードそこまで覚悟していたら、上司に否定されても諦めないんですよ。説得するまで続けるので......。

佐藤私も「そこまで言うならやればいいんじゃないの」と言えるかどうか。結果的に失敗しても、それはそれでいいかなと思います

失敗しなければ成功しないくらい、失敗は重要。人工知能に仕事を奪われないために


中川:大手企業では、組織の中で「失敗はよくないもの」という認識があったのだと思うのですが、今では「失敗」に対してどのようにとらえていますか。

佐藤失敗という定義自体そのものが、社会が作り出したもので、本当はだれも失敗などしていないんじゃないかと思っています。

1回のトライアンドエラーや実験の結果を、社会的に成功か失敗かを当てはめて話しているだけなのです。

うまくいっていないときの方が人間の脳って進化するんです。うまくいっていると人間の脳は働かなくなってしまうので、自分も適度なストレスを感じ続けられているかどうか気にしていますね。

リチャード:佐藤は、いつもギリギリまでプレッシャーをかけてくれるんです(笑)。

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佐藤: (笑)。

リチャード:私は失敗がなければ成功しないくらい、失敗は重要だと思っています。100%成功するんだったら、まったく成長しないということになるんですよね。

FacebookやGoogleを見ても、何パーセントか失敗を覚悟で投資してるんですね。リスクをとらなければ、株が下がったり、社内でチャレンジ精神がなくなっているという評判につながったりするんですね。でも、チャレンジ精神で挑み続ければ、成功した時に大爆発するので大きな価値になります。

中川:確かに。

リチャード:個人としても、失敗しない人は成功しないです。やはり成功よりも失敗から学べることが多いですね。社長に怒られるかもしれませんが、私は失敗したいタイプです(笑)。むしろ、自分の失敗を許してくれる会社はありがたいです。

佐藤:人工知能の作り方と一緒ですよね。人工知能の精度は学習量に依存しているんです。人間も同じで、うまくいっている人たちってトライアンドエラーの数が違うんですよね。

考えて5回くらいやってみる人も、ちょっと先に足を出して20回くらいやってみるほうが、パターンの数が得られやすい。結果的に動く人のほうが知恵をつけ、うまくいきやすいというのは、その通りだなと思っています。

リチャード:失敗しないと人工知能に奪われます(笑)。人工知能は人間がやってきた作業のほとんどができるはずなんですよね。唯一できないのは、芸術的なことや爆発的な改革。人間がその力を失ったら、将来全部人工知能になってしまうと思います。

人の仕事は奪わずに任せる。その人の才能に応じて確保する方がうまくいく


佐藤:でも、仕事はだいたい任せちゃいますけどね。

リチャード:本当に何も言ってくれないんですよ! リチャードなら大丈夫でしょって。

佐藤:海外展開するときも、市場性やニーズよりも人を見ていましたね。ヘッドに誰を据えるかで、成功か失敗かは、ほぼ決まってしまうと思っていたので。

中川:市場の分析はそこまで重要ではないということですか?

佐藤:市場分析は重要ですが、国の展開や市場のどのセグメントを取るかは、やる人の能力ですよね。だから戦略からマネジメントまで、かなり任せるようにしてるんです。

人間は自由度がなくなるとモチベーションが下がってしまいます。力のある人ほど、自分で決めて実行するのが好きなんですよね。

「これだな」と決めたら、完全に任せた方がうまくいくと感じています。人の仕事を奪わない。才能に応じて確保するということを気にしています

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中川:もう任せる方針なんですね!

佐藤:私もめんどくさいので、極力自分ではやらないでスタンスです(笑)。任せられることは任せて、自分しかできないことしかやらないようにしています。

リチャード:細かいところを任せてもらえて、社長は強みである将来に対する方向性を示してくれる。互いに信頼し合って、一番強いところを生かすという感じですよね。

佐藤:私としては極力大きなテーマをみつけて、個別具体的なところは判断しないようにしています。統計も個別の細かいことは予測できないですが、例えば中国が大きくなるといった大きな予測はかなりあてられるんですよ。

市場全体や世界全体のモメンタム(運動量)にあっているかどうか、という波だけ気にしますね。飛沫がどう飛ぶかは気にしないんです。

「みんながいい」は間違っている。「確実」に70%、「ダメだよね」に30%を賭ける


佐藤:日本の学校にずっといると、エネルギーは減っていくと思いますね。

中川:どうしてですか?

佐藤:教育システムそのものが、人を縮小させるようになっているので。

中川:会社と似ている?

佐藤:企業そのものも、学校と同じだと思いますね。会社では事業計画書や根拠を求められるじゃないですか。人間はロジカルに物事を考えられて、計画的に進められると思っているけど、本当は予測が難しいですよね。

中川:難しいです。

佐藤:正しい意思決定とは、不確定だけどもそのまま意思決定をすることだと思っています。まったく関係ないと思ったことが、後々関係することもよくあったりするので。

ドキュメントとして落とせる、ロジックとして説明できるということ自体が間違ってるのではないかと、私は思っています。

中川:ロジカルに考えること自体に限界がある?

佐藤:そう。人間自体が脳みそは、現実を理解するCPUがないと思っています。

中川:不確定要素が多い中で意思決定する際、佐藤さんは根拠を探すより感覚にゆだねているほうが多いのでしょうか。

佐藤:確率で考えていますね。ただ確率が高そうと思っても違ったり、ダメそうと思っていたところにチャンスがあったりするので、私の感覚で確実だと感じるところに70%投資しつつも、「ダメだよね」と思うところも30%くらい入れています

中川:著書で「参加者の全員がいいと思う事業はうまくいかなくて、微妙じゃないか? という人がいる事業の方がうまくいく」とありました。みんながいいと思うから絶対いい、というわけではないんですね。

佐藤:そうですね。むしろ、みんながいいということは、間違っていますからね。

普通に考えると経済は99%が負けるんです。データで考えると、トップ数%が成功をかっさらうようになっているので、マジョリティの考え方といっしょというのは、失敗すると考えたほうがいい。なので、10人中9人がいいというものは考えなおしたほうがいいんじゃないのと思います。

中川:今日の話をもとに本を読み返したら、また印象が変わりそうです!

佐藤:あれは「この世界が間違ってる」と考えている人が書いたので(笑)。

文:ミノシマ タカコ/写真:尾木 司

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本記事は、2017年1月12日のサイボウズ式掲載記事人材は「人を巻き込むエネルギー」がすべて。「頭のよさやスキルは誤差、エネルギー量は100倍差」──メタップス 佐藤航陽さんより転載しました。