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サイボウズ式:社内評価だけで給料を決めるのをやめたら、多様な働き方が実現できた

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「市場価格は適当に決まるから、給与は最終的には適当に決める」「でも、そのプロセスの説明責任はしっかり果たす」

こう話すのは サイボウズ副社長 兼 サイボウズUS社長の山田理。創業以来、人事評価制度を決めては変え、変えては決め、紆余曲折をたどってきました。

前編『サイボウズの給料は「あなたが転職したらいくら?」で決めています』では、サイボウズの給与は社外/社内の市場価値の2点から決まることに言及しました。後編では、給与が決定した後は徹底的に「説明責任」を果たすこと、評価の仕組み、制度に加え、企業風土とツールもそろえることの重要性を話します。

2015年10月28日開催、「Gartner Symposium2015」の講演を再構成したものです。

マネージャーはフィードバックに徹する。給与は評定会議で決める


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次は評価の仕組みです。

評価においては、フィードバックってものがすごく大事です。

給与を決める評定会議のメンバーは、全社員の仕事や行動を見ているわけではありません。現場のマネージャーからインプットをしてもらいます。どれだけがんばっているか、社内の信頼度はどれだけあるかは、チームマネージャーが一番知っているからです。

そのフィードバックを元に、評定会議では「社外的価値」と「社内的価値」を見て、給料を決めていきます。給与を決めるのは評定会議で、本人にはそこに参加している人事からフィードバックをします。
(前編「サイボウズの給料は「あなたが転職したらいくら?」で決めています」を参照)

現場のマネージャーは給与を決めないんです。マネージャーに担ってもらうのは「成長のサポート」。本人に成長のフィードバックをするのはマネージャーの役割だからです。

運用の成果はまだまだ模索していますが、サイボウズの評価の仕組みはいま、こんな感じでやっています。

なぜその人の給与が550万円かとか、485万円になるか。これって厳密には誰も分からないですよね。円単位の正しい給与なんて、誰もわからないと思っているんです。

だって価格はそもそも適当に決まるんですから。なのでぼくらもいかに正しい給与を決めるかではなく、なぜその給与にしたのかという決定のプロセスをいかに説明できるかが重要だと思っています。

給与は「適当に決める」が、徹底的にフィードバックはする


給与を決めた後に、もっとも大事なのはフィードバックです。「なぜ自分がこの給料なのかを聞きたい、物申したいという人がいれば、全員ぼくのところにきてください」と、この評価制度を取り入れた当時、300人以上の社員に言いました。

初年度に実際に聞きに来たのは、15人くらいかな。で、給与統計のグラフを出して「あなたの市場価値のレンジはここくらいで、このレンジの中であなたの評価はこんな感じだけど、自分では今、どこの会社のどんなポジションに転職できそうか。どう思う?」と聞いてみます。

さらに「もうちょっとこういう経験を積んだら君の市場価値はこう上がるよ、どう思う?」といったようにフィードバックをしていくと、「ですよね~」という感じになる。市場価値に対してフィードバックがきちんとできていなければ、モヤモヤが残ります。説明責任こそ大事です。

説明責任を持ち、「給与が決まったプロセス」を伝える


「給与は適当に決める」とは言いましたが、サイボウズでは説明責任を果たさないといけません。市場価値をちゃんと評価しようと思えば思うほど、説明責任を果たさないといけないんです。

その説明においては、給与額の正しさを正確に伝えることは必要ではありません。適当でいいんですよ。本人だって正確な市場価値を知らないのに給料額がどれだけ正しいかを最後まで聞きたいと思っている人なんて、あまりいませんから。

とにかく、社外価値と社内価値に対するフィードバック。そしてそれをどうすれば上げていけるのかというフィードバック。このフィードバックから逃げちゃダメなんです。それが市場価値を評価する上で一番大事なことですね。

働く時間と場所を選べる。ただし、選んだ働き方で給与のレンジは違う


次はワークスタイル変革です。サイボウズは一時期離職率が28%になった時もあったんです。100人雇ったら28人やめるんですよ、どこにでもある普通のブラック企業ですよね(笑)

それじゃだめだと思って、選択型の働き方を取り入れました。まずは「時間」の制限をなくし、「場所」もなくしました。早く帰りたい人もいれば、頑張って働きたい人もいる。会社で働きたい人もいれば、家で働きたい人もいる。じゃあ自分で働き方を選んでみて、と。選んだ働き方によって担当してもらう仕事を変えていく、というものです。

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これらをマトリクスにして、そこに給与のイメージをつけてみたんです。同じ場所で仕事をしている方がアウトプットは増えるだろうし、アウトプットが減る働き方を選べば、給与も減る。

このマトリクスは、働き方を変えるとどういう給料になるかというイメージを示しています。右上は会社に対してコミットが強いということ。チームへのコミットが増えれば、チームからの報酬も増えていく。逆に左下にいけば個人としての報酬が増えている。そんな感じです。

副業OK、1度会社を去るのもOK


次はサイボウズの副業について。最初はダメにしていたんですが、「なんでダメなんだろう、本当に本業に支障をきたすのかな?」「競馬や株式売買は副業じゃないのか?」「飲み会のセッティングで本業に支障をきたしてるやつはいないのか?」など。そもそもを考えてみました。

で、会社のブランドを傷つけるような副業はダメ。本業に影響をきたすような副業だったら、本業のアウトプットが減る。そうすると給与も減るという仕組みにしました。
育自分休暇制度も作りました。若いころは会社外にでてチャレンジしたいという気持ちが出てくるものじゃないですか。「子供を育てるための育児休暇があるのなら、自分を育てるための休暇があってもいいんじゃないか」ということで

「育自分休暇」という制度にしてみました。この制度を使って、ボツワナで青年海外協力隊に参加しているメンバーもいます。

こういった制度化を進めたこともあってか、2014年には離職率が5%くらいにまで下がりました。ブラックからややホワイトに近い会社になったかなと思います。男女比率が逆転、社内結婚が30組以上、「ダイバーシティ企業経営100選」に選出、と成果が出てきました。

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オフィスは分散・ハブ化する


2015年、オフィスも日本橋に移転し、新しいオフィスになりました。「Big Hub for Teamwork」がコンセプトです。

普通の会社って、会社という場所にみんなを集めて、そこで食事を出したりして気持ちよく働いてもらおうという環境を作っています。けど、これからは集約ではなく分散の時代じゃないかなと思っているんですよね。

だから、サイボウズではできるだけ1つのオフィスに集まるのではなく分散して働ける環境をと。まずは、コミュニケーションのハブになれる場所をつくることにしました。社員はもちろんのこと、パートナー企業様もお客様もオフィスを使え、そこで信頼関係が醸成され、分散しても遠隔でチームワークができる。そんなチームワークハブができればと思っています。

制度、企業風土、ツールは三位一体になっているか?


ただ、人事制度だけ作ってもダメなんです。ツール、企業風土も同時に作っていかないと、うまくいかないんじゃないかなと思います。人事制度、企業風土、ツールの三位一体が必要です。

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もしメールしか情報共有のツールがなかったら、やりとりする情報はなかなかオープンにはなりません。口では「信頼しているぞ」といいながら、マネジメントをガチガチにやるような会社だったらギャップを感じませんか? 制度は根付かないでしょう。

昔は「安定、同一性を重んじる」という制度が求められていました。これからは「どんどん変化し、個性を大切にする」のを前提とした制度になるんじゃないかなと感じています。

また、同じ会社の人と同じ場所で働くという環境から、ほかの会社の人といろんな場所でプロジェクトを組んで働く、そんな世の中になるんじゃないでしょうか。

ワークライフバランスって言葉、違和感ありませんか?


ワークライフバランスって言葉があるじゃないですか。なんか「ワーク」が前提になっているようでちょっと違うんじゃないかなと。みんなライフがあってワークがある。楽しく生きたいから、働くんだと思います。

社員がいて、楽しく生きるための選択肢がある。これが本来の人事制度だと思います。100人100通りの人事制度が理想なんです。

サイボウズでいろいろな人事制度にチャレンジしてきて、ふと気づいたんです。人事制度は変えるものではなくて、増やすものだと。

100人の会社に1つの人事制度でやろうとするからうまくいかないんです。100人いれば100通りの制度がある、そういう風にして人事制度を増やしていかないといけないと思います。

ソーシャルチームワーク」を提唱しています。同じ会社の人と1つの場所でずっといっしょにいるのって嫌じゃないですか? チーム内で各メンバーが距離を縮めるだけではなく、時には距離を離したりしながら、適度な距離感をいかに保っていくかを考える必要があります。

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サイボウズ副社長 兼 サイボウズUS社長の山田理

まとめ:どうして市場価値が必要なのか?


なんとなくお分かりかもしれませんが、市場価値を正しく評価できるようにならないと、多様化していく働き方に対応できないんです。働き方や場所が変わるとアウトプットが変わっていく、これまでの評価システムでは柔軟な働き方の変化に対応できません。

みんな、好きなところで好きな仕事を好きな時間だけしたいじゃないですか。僕だってそうです。そこに対応していく必要が出てくる。だからこそ市場価値の評価は必要なのです。

さらに市場価値を評価することで、社員の自立を促すことができます。サイボウズに新卒で入って来た人たちに、「まずは君たちにサイボウズを辞められるようになってもらいたい。いつでも辞められる君たちが、それでもサイボウズで働きたいと言ってくれる会社にしていきたい」って伝えているんです。

自立を促すとは、外で自分がどんな価値があるのか、何をすれば外にいけるのか? こういう感覚を持ってもらうことだと思います。逆に、今いる会社以外でもできることを増やすのが真のキャリアアップなのではないかと。上司も意識して、その人が外に出られるように育てていかないといけないんですよ。

つまり、同時に市場価値のある人を引きつけられるような環境にしなければならないということです。人材を囲い込むのはもう時代遅れじゃないかなと思っています。市場価値を意識することで多様な働き方を受け入れ、自立を促せる。僕らまだまだうまくいっていないですけど、引き続きチャレンジしていきたいなと思っています。

文:藤村 能光/写真:鈴木 亜希子

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サイボウズ式」は、サイボウズ株式会社が運営する「新しい価値を生み出すチーム」のための、コラボレーションとITの情報サイトです。

本記事は、2015年12月1日のサイボウズ式掲載記事社内評価だけで給料を決めるのをやめたら、多様な働き方が実現できたより転載しました。

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