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サイボウズ式:仕事への「フルコミット」を全員に求めていては、多様な働き方は実現しない

時代が変われば、チームワークのあり方も変わります。

2017年09月29日 16時26分 JST | 更新 2017年10月02日 17時19分 JST

マツナガエイコ

サイボウズ式編集部より:著名ブロガーによるチームワークや働き方に関するコラム「ブロガーズ・コラム」。日野瑛太郎さんのコラムです。

ここ最近、新聞やネット上で「働き方改革」や「新しい働き方」といった言葉を目にする機会が非常に多くなりました。

これらの言葉が対象とする範囲は非常に広く、長時間労働の規制、時短勤務、リモートワーク、副業解禁など多岐に渡ります。そういう意味では一種のバズワードと言えなくもないのですが、こういう言葉がよくメディアに登場するようになったことから、僕たちの働き方が今まさに変わっていこうとしていることが伺えます。

このような多様なワークスタイルが浸透した未来を考えると、今まで僕たちが前提としてきた考え方も再検討が必要です。その中のひとつに「チームメンバーの仕事へのコミットの仕方」があります。

今までの働き方では、同じチームに所属しているメンバーはみんな同じ量の仕事をすることが暗黙の前提とされていました。みんなが10の仕事をしているにもかかわらず、5の仕事しかしていない人がいると、その人は「みんなしっかりやってるんだから、もっとマジメにやれ」と叱責(しっせき)されるのが普通です。

しかし、たとえば時短勤務のように、そもそものワークスタイルが違う人と一緒に働くケースを考えると、このような「全員が同じ量だけ仕事にコミットする」ことはもはや前提にはできません。チームメンバーがそれぞれの事情に応じてコミット量を調節しつつ、それでもチーム全体が機能するような仕組みを再考しなければなりません。

今回は、そんな「チームメンバーそれぞれのコミット量が違ってもチームを機能させるために必要なこと」について考えてみたいと思います。

形式だけ「多様な働き方」を認めても意味がない

よくある間違いは、形式だけ「多様な働き方」を認めておきながら、メンバーの考え方は昔とまったく変わっていないというものです。

たとえば、時短勤務が会社の制度としては認められていても、メンバー各自が「チームメンバーは全員が仕事にフルコミットして当然だ」と思っていたりすると、あたりまえですがチームはうまく回りません。時短勤務をする本人は後ろめたい気持ちになりますし、他のメンバーも「あの人だけズルい......」と不健全なことを考え始めます。結果的にチームの雰囲気は最悪なものになるでしょう。

実際にこのような「制度だけが存在する」というケースは少なくありません。ネット上の悩み相談サイトなどを見ると、そういう会社が多数あることが伺えます。そういう会社では、制度もほとんど活用されなくなっていき、結局は今まで通りの画一(かくいつ)的な働き方を強いられることになります。

「多様な働き方」を許容する文化を作る

本当の意味で「多様な働き方」を推進するためには、チームメンバーの考え方も新しいものに変えていかなければなりません。目指すべきは、チーム内に「多様な働き方」を許容する文化を作ることです。

まずは「人生のフェーズが変化すれば、仕事との付き合い方も変わる」という考え方をメンバーがあたりまえに受け入れる必要があります。仮に今はフルタイムで働いていても、そう遠くない将来、自分もフルタイムでは働かないという選択をするかもしれません。そういうことが想像できるようになれば、今は事情があって仕事へのコミット量を落としている人がいたとしても「あの人だけズルい」とは思わなくなります。

もちろん、チームでの目標共有や、仕事への動機づけ自体はすべてのメンバーが同じ熱量で行う必要があります。そのことと、チームメンバー各自の仕事へのコミット量を調整することは矛盾しません。「みんなで同じ目標を追っているが、それぞれの事情で仕事への関わり方には差がある」という状態は決して不自然な状態ではないのです。

このような文化を根付かせるには「自分たちのチームは多様な働き方を許容する文化でやっていく」ということをリーダー自らが表明するのが効果的でしょう。リーダー自らが率先してそのような制度を活用していくというのも良いと思います。そういえば、Facebookの創業者マーク・ザッカーバーグや、サイボウズの青野社長も育休を取得して話題になっていました。今後も、こういったリーダーが増えていくことを期待します。

メンバー各自のミッションを明確化する

チームを「多様な働き方」に対応させるためには、メンバー各自がしっかりとミッションを設定することも重要です。

メンバー全員が画一(かくいつ)的な働き方をしている場合は、メンバー各自のミッションはあまり真剣に考えなくてもチームは回ってしまうことが多いです。チームの目標達成のために、メンバー全員が平等に貢献することが暗黙的なミッションと考えられるからです。

ところが、メンバー各自のコミット量が違うという前提に立つと、各自のミッションを定義しないことには仕事の到達度を測ることができなくなります。時短勤務の人には時短勤務の人なりの仕事の目標を、フルタイムの人にはフルタイムの人なりの仕事の目標をそれぞれ話し合って設定し、あとは自分のミッションにコミットしてもらうようにします。このようにしておけば、他人と比べて後ろめたさを感じたりする心配はなくなります。仕事を他人との戦いではなく、自分自身との戦いに定義しなおすわけです。

メンバー各自のミッションを明確化することは、仕事の責任範囲を見えやすくするという点でも良いことです。どこまでが自分の仕事で、どこからが他の人の仕事なのかがはっきりすれば、つきあい残業などのムダもなくなります。やらない手はありません。

時代が変われば、チームワークのあり方も変わる

「これからは個人の時代だ」という意見を耳にすることがありますが、これは決して、チームの解体を意味しているわけではありません。個人の時代にもうまく機能するチームを作ることができれば、今まで以上にチームは成果を上げることができます。それがよりいっそう、個人の活躍にもつながります。

時代が変われば、チームワークのあり方も変わるのは当然です。昔のやり方に固執するのではなく、「新しい働き方」に合った「新しいチーム」を作っていきたいものです。

イラスト:マツナガエイコ


サイボウズ式」は、サイボウズ株式会社が運営する「新しい価値を生み出すチーム」のための、コラボレーションとITの情報サイトです。 本記事は、2017年2月15日のサイボウズ式掲載記事仕事への「フルコミット」を全員に求めていては、多様な働き方は実現しないより転載しました。

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