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無自覚に犯罪に加担した場合、罪は問われるか

2015年07月27日 15時39分 JST | 更新 2016年07月26日 18時12分 JST

シドニーから3大会連続で五輪に出場した元陸上選手と、一緒に考え、議論を深めます。議論は週刊誌のAERA連載で紹介します。いただいたコメントを抜粋・要約することもありますがご了承ください。

 仮定の話をします。

 あなたは今、とあるA国にいます。世界中を巻き込んだ戦争はずいぶん長引き、もう日常のように感じることもあります。麻痺しているのか、それとも慣れてしまったのか。この戦争がいつまで続くのか、誰も分かりません。

 でも、生活は極めて普通です。毎朝出勤し、夕方には帰宅し、家族とご飯を食べます。休日には家族で旅行に行くこともできます。公務員なので生活も安定しています。

 仕事はとても簡単です。午前中に一回、午後に一回、100名のリストから、1名ほどを抜き出すだけです。抜き出した人たちのリストを係に渡せば、仕事は完了します。リストが何を意味しているのか、あなたは少しだけ気づいていますが、知らないことになっています。自分が命じられたのは名前を抜き出すことだけですから、それをやっていれば問題ありません。

 5年が経ちました。あなたは裁判所にいます。殺人に加担した罪で訴えられたのです。

 3年前、あなたの国は戦争に敗れました。そのあと戦時中に起こっていた犯罪が暴かれるようになり、あなたが働いていた場所も対象となりました。そこは捕虜収容所で、あなたが作成したリストをもとに、一日に一回、殺人が行われていました。

 あなたは主張します。自分は渡されたリストが何を意味するのかも知らなかったし、自分の役割は名前を抜き出して新たなリストを作成し、それを係りに渡すことだけだった、と。殺人に関与していることも知らなかったから無罪ではないか、と。

 でもあなたは有罪になり、無期懲役になりました。殺意はなく、ただ命令に従っただけ、という主張は受け入れられませんでした。

 さてここで質問です。被告に罪はあると思いますか、それともないですか。また、もしどうにか出来るなら、どの時点で、何をすべきだったのでしょうか。理由もつけて教えてください。

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