トップクリエイターに聞いてみた。「これからのデザインとPR」 ~世界的クリエイティブユニットEROTYKA 米津智之氏、ティファニー・ゴドイ氏~

東京のカルチャーを世界に発信するクリエイティブユニット「EROTYKA TOKYO PARIS」。その仕掛け人がアートディレクターの米津智之氏とファッションエディターのティファニー・ゴドイ氏。そして、この2人が立ち上げたマガジン「The Reality Show」はさまざまなクリエイティブに挑戦した作品として今、世界中から注目を集めています。今回はトップクリエイターとして時代の最先端を歩む2人に話をお聞きしました。

東京のカルチャーを世界に発信するクリエイティブユニット「EROTYKA TOKYO PARIS」。

その仕掛け人がアートディレクターの米津智之氏とファッションエディターのティファニー・ゴドイ氏。そして、この2人が立ち上げたマガジン「The Reality Show」はさまざまなクリエイティブに挑戦した作品として今、世界中から注目を集めています。

今回はトップクリエイターとして時代の最先端を歩む2人に話をお聞きしました。

●日本のストリートは世界への武器になるー

クリエイティブユニットEROTYKA、そして「The Reality Show」

お2人が「EROTYKA TOKYO PARIS」の活動を始めたきっかけは?

Y(米津氏) 彼女とは99年に知り合いました。

僕がアートディレクター、彼女はファッション専門の編集者と、携わっている分野は違いますが、興味を持っている共通項が多く、国籍も性別も違うのにここまで理解しあえるのであれば、彼女と一緒に世界を舞台に何かできるのではないかと思ったのがきっかけです。

T(ティファニー氏) 私はエディターとして日本のファッション文化やセンスに興味があって、ロンドンやパリでは創れないものが日本なら創れると思って日本に来て彼を知りました。すごくいい出会いでした。2人で一緒に仕事をすれば、何か新しいことを生むはずだと信じていました。

実際に彼と仕事を始めたのは出会って数年経ってからで、「EROTYKA TOKYO PARIS」として活動を開始したのは去年からですね。

「The Reality Show」とはどういう雑誌なのですか?

以前から2人で世界トップレベルのファッション雑誌を作りたいと思っていましたが、それが大変なことなのはよく分かっていました。

特に日本からファッションの分野で世界に出ていくのは、本当にハードルが高いんです。それで、いろいろと考えていた時、日本の古典的な美学と東京の現代的な価値を武器にしてみたらどうかと思いつきました。

テーマを2人で考えていた時に浮かび上がってきたのが「リアル」ということでした。

これからの時代はもっとリアルに向かって行く、現実的なところに流れていくだろうと思ったのです。そして、現実的な「リアル」と「ショー」を結びつければ面白いマガジンができるのではないかなと考えました。

●生活を豊かにする価値観こそがファッション

次の時代の切り口は何だと思いますか?

2012年に雑誌を見たシャネルから声がかかってコラボしました。ちょうどその時、次のテーマを何にするかを考えていた時で、ラグジュアリーファッションがあまりにもマーケティング的になりすぎて、特別さがなくなってきていました。だから、次は「ビューティ」ということにこだわってみようと思ったのです。

日本はイノベーションの国です。私たちが生きていくためには欲望が必要です。欲望がなければ人は動かないし、経済も動きません。そういう欲望をつくるのが企業の使命であると思っています。

時代にフィットしたスタイリッシュなモノを生み出すことがデザインの価値であり、ファッションの価値だと思っています。

これからの日本について、どのようにお考えですか?

バランス感覚を大切にしながら、自分の人生をどう楽しく、オシャレに生きていけるかがこれからの日本人のテーマになるでしょう。僕たちは人の生活や人の気持ちを豊かにする価値観こそがファッションだと思っています。

その時々の時代の空気というか、つかむことができなくて形のないもの、それがファッションだと考えているんです。

何でもファッションになるんです。つまり、製品だけではなく、企業でいえば発信する情報も、これからはファッションを持ってデザインしていかなくてはならないのです。

英語でいうと「コンシステンシー」ですね。

かつては目立つもの、きらびやかなものがファッショナブルなものとしてもてはやされていましたが、今の時代はもう少し洗練されてきて、ゼロの美学というか、日本の価値観に近づいてきています。オシャレすぎると逆に格好悪いというのが世界のトレンドになっていて「ノームコア」と呼ばれているそうです。

●ファッションではないものをファッションに変えるー

今が日本文化を世界に発信するターニングポイント

今後の「The Reality Show」の展開は?

ファッションではないものをファッションに変えることに興味を持っています。企業とのコラボレーションとかすごくやりたいですね。

今がまさにターニングポイントですね。紙とデジタルのつながりやメディアと紙の使い方も含めて、新しく展開をしていきたいと思っています。

今後はファッションだけではなく、エンターテインメントに向かおうと思っています。

これが僕たちの大きなテーマになっていくでしょう。そして、「The Reality Show」がこれからの時代の新しいメディアになり、ファッション、デジタル、インタラクティブの新しいプラットフォームになると確信しています。

●インタビューを終えてー

これからのPRコミュニケーションに必要なこと=デザイン

インタビューの中で、「洋服=ファッションではない。全てのことがファッションになる」との言葉がありました。それを聞いた時、"PR"にも大いに通じる視点であると強く感じました。

「その時々の時代の空気というか、つかむことができなくて形のないもの」を読むセンスはPRにも共通するものです。つまり、PRにもファッションやエンターテインメントが強く求められる時代になったということではないでしょうか。

人の心を動かす、エッジをきかせた提案をするためには、どうしたらいいのか? 2人は常にそれを考え、実践されてきました。その2人が注目するのが2020年のオリンピック開催。日本が世界から注目されるまたとないチャンスがやってくるということです。

日本の企業が世界に向けて情報、メッセージを発信するうえで、「コミュニケーションをデザインする必要性」が不可欠であると強調していました。

日々変わっていくメディアや、すぐそこまで迫っている新しいコミュニケーションの時代を迎えて、我々はPRコミュニケーションをデザインするために今何をなすべきか、ファッションやエンターテインメントをどう活用していくのかを、今一度考え直す時なのだと痛感しました。

EROTYKA TOKYO PARIS

クリエイティブ・ブランディングスタジオ

グローバルでファッション的な視点を持つ新しいブランディングコンサルタントとして、クリエイティブキャンペーンに関わるあらゆるクリエイションの領域で活動をする。

ブランドアドバイジングやコピーライティング、ビジュアルディレクションも含めたウェブやモーション、ムービー、デジタルアプリケーションの制作、そしてプロダクトデザイン、ロゴデザインにいたるまで、トータルで幅広くカバーできるスキルとそのクオリティはビジネスにおける新時代のクリエイティブパートナーとして世界から注目を浴びている。

EROTYKA TOKYO PARIS が世界で発行するファッションアートマガジン"THE REALITY SHOW"は変幻自在なプロジェクト型の新しいメディアとして世界各方面からの評価も高い。

東京とパリにスタジオを持ち、クライアントにはCHANEL、EMPORIO ARMANI、MARC JACOBS、Cartier、PARFUMS GIVENCHY、Veuve Clicquot、L'OREAL PARIS、shuuemura cosmetics、SHISEIDO、CONDE NAST、The Museum at F.I.T などが名を連ねる。

International Management ADM / Japan Management W inc

THE REALITY SHOW http://therealityshowmagazine.com/

adm

http://www.admanagement.com/en/adm/3/directeurs-artistiques/42/erotyka/

W inc

http://www.wtokyo.co.jp/artist/erotyka-tokyo-paris/

(2014年8月7日 DIGITAL BOARDより転載)

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