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PRとデジタルクリエイティブで新しい可能性を追求する

2014年07月25日 14時32分 JST | 更新 2014年09月22日 18時12分 JST

PRと"デジタル"はどのように関連していくのか。PR業界で、ここ数年間で話題になり続けてきた大きなテーマのひとつです。

Yahoo!トピックスへの掲載を目指したり、ソーシャルメディアの企業広報における活用を提案したり、最近では日々複雑さを増していく情報流通構造に対してどのようにメディア戦略を立てていくかなど、やはりメディアを中心とした議論がされてきました。

今回は少し視点を変えてみようと、最前線で活躍するデジタルプランナーと、同年代のPRプランナーで対談をおこなうこととなりました。

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右:眞砂 福太朗 PRプランナー

電通パブリックリレーションズ所属

1983年生まれ。食品・家電等の企業を担当。PRプランナーとして、PR戦略の立案から実施まで全般をおこなう。酒がとても好き。そして、とっても好きなタレントは下田美咲。

左:丸山 研司 デジタルCRプロデューサー

ワン・トゥー・テン・デザイン所属

1980年生まれ。WEBキャンペーンサイト構築や、デジタル関連のクリエイティブプロデュース全般を担当。最近ではリアルプロモーションの最大手企業テー・オー・ダブリューと、イベント領域とデジタル領域を融合させて新たなリアル体験を創造するプランニングチーム「1→TOW」(ワン・トゥー・ダブリュー)の立ち上げに参加し、インタラクティブプランナーとしても活動中。

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丸山:いよいよ来年は、「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2」でタイムトラベルした未来なんですよ。

眞砂:そういえば2015年の設定ですよね。残念ながらスケボーは浮いていませんが、薄型の大型テレビなんかは実現していますね。

丸山:そうです。私たちが小学生の頃に観ていたSF映画の設定が、実はもう来年だったりするんですよ。

眞砂:「エヴァンゲリオン」も2015年という設定ですよね。今日のテーマはPRと"デジタル"はどのように関連していくのかというものですが、こう考えるといまさらデジタル?と感じますね。丸山さんの立場からこの言葉を聞いてどう思います?

丸山:うーん。まあ正直なことをいうと、PRとデジタルを切り離して考えること自体、なんだか違和感はありますよね。

眞砂:そうですか。どのあたりがですか?

丸山:とくに広告業界は縦割り構造が強いですからね。過去に作られた役割がいまだにきっちりと機能しているから、PR担当、デジタル担当と割り振られてしまうと、どうしても形式的になりがちで、各担当が一緒になってモノを考える機会も少なくなりますよね。でも生活者からみればそれってまったく切り離されていないわけで、そこに違和感を感じるのだと思います。

眞砂:おっしゃる通りです。そもそも、デジタルって、テレビとか新聞みたいな「メディア」ではなく、あくまでも「情報形式」ですからね。本来、分けられないし、分けて考える時点で違いますよね。

そう言えば、ワン・トゥー・テンさんって、最近ではイベント会社のテー・オー・ダブリューさんと一緒にプロジェクト立ち上げてますよね。あれもイベント制作とデジタル関連の制作を一緒に考えていこうという趣旨なんですか?

丸山:そうです。「1→TOW」(ワン・トゥー・ダブリュー)というプロジェクトですが、もっとイベントとデジタルの連携をしっかりと考えていこうというコンセプトのもとに立ち上がりました。私たちはWEB制作だけをやる会社と誤解されることもあるのですが、例えばインタラクティブなデジタルサイネージや、スマホと連動する店頭まわりの什器開発など、さまざまなデジタルクリエイティブを実現できるテクノロジーは持っているんです。

WEB制作会社がごまんとある今の時代、WEB制作はうまくできて当たり前ですし、将来的には実作業はすべて海外にアウトソーシングする時代がくるかもしれません。作って納品するだけではなく、課題解決のためにデジタルで何ができるのかを常に意識することが大事だと考えています。しかし、さきほどもお話しした縦割りの構造上、ただ待っていてもそういう提案依頼がバンバンくるわけでもない。だったら自分たちで提案していくきっかけを作って、自らが変化していく必要があるのではないかと思います。

眞砂:そうですよね。僕らも最近仕事の枠をとり払うことを積極的に進めています。PRというと、やはりメディアに取り上げてもらうためのパブリシティ活動というように凄く狭くてマニアックな領域とPRエージェンシーの人間も含めて捉えがちですが、もっとフリーに考えていいんじゃないかと思っています。

ある方が今後のコミュニケーションは、「"非"広告領域」に、というようなことを言われていたのですが、わたしもその通りだと思いますし、加えて、PRエージェンシーの人間にとって、非常に思慮深い言葉だなと思ってます。

つまり、PRエージェンシーが今後、生きていく領域・市場は「PR領域」ではなく、「"非"広告領域」ではないかということです。PRを、活動や領域で定義せず、戦略視点として考え、領域を再定義する(広義にする)必要があります。

例えば、「"非"広告領域」の代表格ともいえる、SNS。

ここを舞台に考えると、PRの良さって、「言う戦略」ではなく、「言いたくさせる戦略」ってよく言いますけど、ということは、今の時代でいう「いかにシェアしたくなるか」という視点のコンテンツ作りにも長けているはずですよね。もっと言えば、コンテンツだけでなく、それらが集約されて、発信されていくようなシェア視点のメディア自体だって立ち上げることができる。 よく言われる"企業のメディア化"と近い部分だと思うんですが、そういうことにも領域を広げたいと思ってるんですよ。

丸山:おもしろそうですね。

眞砂:WEBサイトは、これまでは広告の受け皿といった役割が多かった気がしますが、それが能動的なものに変わってきましたよね。個人個人がメディアになってきている中で、企業も一人格となって、それぞれの人たちと向き合っていく必要があります。それがエンゲージなんですが、最近思うのは、やはりエンゲージをWEBの中で完結させずに、もっとリアルなところまでつなげていくべきですよね。僕もSNSだけのつながりでなく、オフ会にいくとようやく繋がったな、という気持ちになれます。

丸山:いいですね。基本的に考えていることは同じなんですよね。手段が違うだけで。

眞砂:丸山さんが言うように、デジタルテクノロジーを駆使して、イベントとか街中もどんどん活用して展開できる幅を広げていきたいです。まだまだPRイベント=メディア関係者向けのものとなっているケースが多いですが、もっと開かれた、より情報が拡散されるようなイベントも仕掛けていきたいです。PR会社も変わらないといけないですね。

丸山:個人的なPR会社の印象は、コミュニケーション重視で動くプランナー集団というイメージです。PRプランナーは、提供するネタによって、メディアの記者や、ソーシャルメディアユーザーにどのように影響するかを重点に置いていますよね。それはつまり、どのようなネタをメディアや一般人が求めているかを最も熟知しているコミュニケーションプランナーでもあるということだと思います。僕らのようなデジタル領域のクリエイターは、もっとPRプランナーの人たちとうまく組めると、自分たちが作ったコンテンツをもっともっと世の中に広げられるはずですよね。

眞砂:そうなんですよ。すでにPRとCMの連携も一部では始まっていて、CMプランナーがクリエイティブを考え始める段階からPRプランナーも一緒に考えることがあるんです。結果、CM公開時に獲得できるパブリシティの量が増え、動画の再生回数を大きく伸ばすような成果も出ています。時流にあわせて、人から人にシェアしたくなる要素を作るのはPRの得意領域ですからね。どんどん連携していきたいです。

丸山:昔、SF映画で見たような新しい体験を現実のものにするのは、デジタルクリエイティブに携わる我々の仕事でもあり、その脚本を誰と作っていくのかが非常に重要になってきていると思います。その選択肢は自分たちで狭める必要もないし、PRとデジタルクリエイティブで組んで、新しい可能性をどんどん追求していきたいですね。来る2015年に備えて、僕たちで何か面白いことを画策していきましょう!

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話が尽きない二人はこのあと居酒屋に舞台を移し、終電まで飲みながら語り続けるのでありました。

PRは本質を追究すればするほどにどこまでも拡大解釈できてしまい、際限がなくなってしまいます。デジタルにいたっては、まだ来年すらどうなっていくのかも読めない状況です。

その中で、PRプランナーは常に嗅覚を働かせ、新しい挑戦を続ける必要があります。

デジタルクリエイティブとの融合は、一番近くにある大きな可能性です。既成概念にとらわれることなく、積極的に事例を生み出していくことが重要だと感じました。

[ 國枝 至 / DIGITAL BOARD ]

(2014年7月24日「DIGITAL BOARD」より転載)