北東アジアは「危険な地域」なのか

米国の雑誌を読むたびに北東アジアが「危険な地域」と表現され、驚いたりする。おそらく好戦的な北朝鮮や韓日中間の歴史・領土紛争のため、大きなリスクが伴う地域という意味が込められているのだろう。

米国の雑誌を読むたびに北東アジアが「危険な地域」と表現され、驚いたりする。おそらく好戦的な北朝鮮や韓日中間の歴史・領土紛争のため、大きなリスクが伴う地域という意味が込められているのだろう。

一部の記事はすでに北東アジアの危機を自明の真実であるかのように扱っている。例えば欧州の先進国の間では、多様な形態の地域機構が定着している。これとは違い北東アジアは多元主義基盤があまりにも脆弱であるため、露骨にリスクが多い地域とはいわないまでも、どこか未熟な地域という認識がある。

私は「アジア共同社会」を渇望する韓国のある外交官を知っている。以前に彼とお茶を飲みながら談笑したが、彼が話した内容は衝撃的だ。その外交官は最近、欧州連合(EU)のある外交官との対話中、北東アジアが欧州レベルの統合を実現するには何が必要か助言を求めた。すると、その外交官は無愛想にもこのような返答で質問者の意表を突いた。「何よりも欧州が犯した失敗を絶対に繰り返さないでほしい」。

戦後、欧州は平和と繁栄のために過去の葛藤を克服し、共同市場を創設し、あらゆる部門で協力の新しい枠を作ろうと努力した。私自身も欧州のこうした成果に一定の自負心を感じる。母が欧州の完ぺきな統合を推進してきたルクセンブルク出身であるだけでなく、私の家族の一部は実際にルクセンブルク政府で長く仕事をしたからだ。

しかし今日の欧州は、我々が北東アジアから眺めるよりもはるかに深刻な問題に苦しんでいる。欧州の地域機構さえも解決が難しい大変な宿題を抱えている。その一つがギリシャ総選挙で新たに執権した急進左派連合(SYRIZA)だ。SYRIZAを主軸とするギリシャ連立政権は国家負債をめぐり欧州中央銀行に挑戦状を突きつけた。これは欧州の最も大きな弱点だ。各国間の経済に関する根本的な認識の違いと、これによる地域連帯の亀裂の可能性が露骨に表れたのだ。

欧州のもう一つの危機は、深刻化する軍事葛藤だ。すでに数千人の死亡者を出し、ロシアとNATO軍を引き込みかねない危険を抱えるウクライナが代表的な例だ。多くの専門家がウクライナ情勢を、過去40年間に我々が欧州で目撃したもののうち最も危険な事件と考えている。

さらに欧州人は、先月フランスの風刺週刊紙シャルリー・エブドで発生した残酷なテロを衝撃的に受け止めている。この事件以降、フランスだけでなく欧州全域でムスリムを弾圧する兆しが表れた。文化的な純粋性を叫び、外国人追放を叫ぶ右翼勢力がドイツやフランスなどでますます声を高め、一部の国では社会の主流勢力に浮上している。それによる外国人に対する暴力と人権侵害は言うまでもない。

北東アジアで緊張が続いているとはいえ、欧州の危機レベルとは比較にならない。朴槿恵(パク・クネ)大統領と中国の習近平国家主席はまだ日本との公式接触を制限している。それでも3カ国の地方自治体や非政府組織(NGO)、民間企業の間の協力は続いている。一部の分野の交流が増えている。

ソウルにある韓日中協力事務局(TCS)を訪れる機会が何度かあった。そのたびに3カ国政府が共同で運営するこの組織で、域内協力案をめぐり悩む姿を目にした。謙虚でありながらも極めて優れた外交官出身の岩谷滋雄現事務総長は最近、私にこういう話をした。

「実際ここに赴任してみると、TCSが担う重大な責任感が感じられた。我々はさらに人事政策まで含む政府活動のすべての側面と関係している。最近TCSは『アジア債券市場イニシアチブ』と投資協定の調印だけでなく、物流の速度と効率性を高めるために細部事項にまで合意するなど、驚くべき進歩を成し遂げた」

アジアの統合はEUのコピー版となっては困る。今日、我々は人類の歴史上、前例のないコンピューター技術発展のおかげで、いわゆる地球村的統合時代を迎えている。欧州は1951年の石炭鉄鋼共同体を中心に統合に弾みがついた。これと同じように北東アジアもサイバー空間の新しい基準を速かに樹立し、同時にアジア気候変動に対する多者間の対応方法を模索することが重要だ。

TCSは上層部が厚い官僚集団ではなく、ビルの一つの階、そして一つの事務室に位置する、小さいが献身的な人たちの集合体だ。ニューヨークの国連本部やブリュッセルの欧州連合本部のように立派で華麗な空間でもない。しかしこのように腰の低い接近方法こそ、今日の上向的コミュニケーションの「グローバルガバナンス」に合う最も望ましい姿勢ではないかと思う。

北東アジアの時代的な挑戦を認識し、これに対応するには、陳腐な位階秩序に基づいた管制塔より、このように迅速で強力なネットワークが必須だ。TCSは今後、多くの国の協力体の模範になるかもしれない。

(2015年2月14日「中央日報」より転載)

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