『2001年宇宙の旅』全編が569枚のGIF画像で公開。アップしたクリエイター「フェアユースはどこまでが許されるの?」

映画や日本のアニメなどから切り出したアニメーション GIF の数々に「著作権は大丈夫か」と心配する声が上がっています。

GIF画像ライブラリーサービス Giphy に、スタンリー・キューブリック監督の代表的映画『2001年宇宙の旅』全編が569枚のアニメーションGIFとして公開されました。アップロードしたユーザーは「インターネットには著作物iのアニメーション GIF が溢れているけど、どこまでがフェアユースとして許されるのか知りたい」としています。

最近の SNS 界隈ではメッセージやコメントのアクセントとして、アニメーション GIF 対応が拡大してきました。しかし Twitter が GIF 選択ボタンを追加したときはそれを多くの人々が喜んだ一方で、一部ユーザーからは映画や日本のアニメなどから切り出したアニメーション GIF の数々に「著作権は大丈夫か」と心配する声も聞かれました。

米国などではこうした著作物からのアニメーション GIF はフェアユース、つまり公正な利用とする考えかたが広まっています。とはいえ公正でないと判断すれば、著作権者などが厳格に利用を制限する場合もありえます。たとえば iPhone 向けの GIF 画像検索アプリ「GIF Finder」 は、ディズニーの画像を使用しているとして App Store から削除されたことがありました。また NFL は、スポーツニュースサイト Deadspin が試合のハイライトシーンを GIF 画像でツイートするのに抗議していました。

エア・フランスやポルシェ、DIESEL などの映像制作を請け負ってきたデジタルクリエイター Jean-Baptiste Henri Franck Cyrille Marie Le Divelec(以下、JB)は、Giphy に『2001年宇宙の旅』全編を切り刻み、569枚の GIF 画像に変換してアップロードしました。そして YouTube に公開した動画では「フェアユースだから大丈夫!本当に?」と疑問を投げかけています。

JB 氏は Creators Project に対し、自身のサイトで GIF 画像を使い、さらに BGM などをを付け加えて表現のひとつとして用いたいと考えており、そのため「アニメーション GIF の利用はどこまでが許されるのかを確かめたい」と語ります。また、アニメーション GIF は音声もなく色数も256色に制限されるため、それが緩衝材として機能するだろうとも予測しつつ、Giphy にアップロードした『2001年宇宙の旅』が削除されるかどうかをしばらく見てみたいとしています。

ちなみに、日本では2011年ごろに文化庁で、フェアユースを法制化する検討はされていたものの、追加された法律(著作権法第30条の2~4)は適用範囲が非常に限定的になってしまったため、実質的なフェアユース制度の導入には至っていません。

蛇足:JB氏が考えているものとは違うかもしれないものの、YouTube にはいろいろなアニメーション GIF に SE や BGM を付けたものが出まわっています。

[Images : Giphy]

(2016年3月26日「engadget日本版」より転載)

【関連記事】

注目記事