メタルギアソリッド、映画からの盗作疑惑? 映画会社が訴えなかった理由が素敵。

なぜ訴訟されずに済んだのか?

映画『ニューヨーク1997』のジョン・カーペンター監督が、日本のステルスアクションゲーム『メタルギアソリッド』を盗作として訴える可能性があったことを海外映画メディアの取材で明かしています。訴えなかった理由は「(同ゲームを制作した)小島秀夫氏がナイスガイだったから」とのこと。

『遊星からの物体X』などで知られる映画監督のジョン・カーペンターが、海外の映画メディアHollywood Reporterの取材で、コナミデジタルエンタテインメントのゲーム『メタルギアソリッド』を『ニューヨーク1997』の盗作として訴える可能性があったことを語っています。

これはカーペンター監督がリュック・ベッソンがブロデュースした映画『ロックアウト』を訴えた件についての談話の中での発言。1997年と近未来、舞台がニューヨークと宇宙の違いはありますが、囚人に人質に取られた要人(大統領の娘)を、政府の監視下に置かれた元英雄(元CIAエージェント)が潜入して救出......とストーリーはほぼ同じ。フランスでの裁判は勝訴に終わり、『ニューヨーク1997』の権利を持つCanalPlus社に8万ユーロ(約1060万円)、うち2万ユーロ(約265万円)がカーペンター監督に支払われることになりました。

その際、CanalPlus社は「元英雄」や「爆弾」(こちらはFOXDIEという致死性ウィルス)、何より眼帯をしたスネーク(『ニューヨーク1997』はスネーク・プリスキン)という主人公といった、似た設定を持つゲーム『メタルギアソリッド』も訴えようとしたとのこと。なお、訴訟を起こすのは原告の自由であり、「実際に著作権侵害があったかどうか」とは関係ありませんので、念のため。

ともあれ、実際には訴訟は起こされませんでした。カーペンター監督いわく

「そんなことはするなと言ったよ。私はゲームのディレクター(小島秀夫氏)は知っているし、あいつはナイスガイだ。少なくとも私にとってはね」

実は小島氏は過去にカーペンター監督に手紙を書いて、ゲームの承認を求めていた経緯があります。その時いいやつだと認められたカーペンター監督との親交は続き、『メタルギアソリッド3 サブシスタンス』の取扱説明書にも

「MGS3はアクションゲーム史上最高の作品の一つだ。他のゲームはMGS3の後塵を拝するしかない!」

という熱いコメントを寄せていたマブイ仲です。

小島氏は自他ともに「小島監督」というほど映画好きなことは有名です。そうした先入観のせいか、初代『メタルギア』のパッケージが『ターミネーター』のカイル・リースを思わせたり、『メタルギア2 ソリッドスネーク』のビッグボスがショーン・コネリーと他人とは思えない、『スナッチャー』のギリアン・シードを見ていると『ブレードランナー』のハリソン・フォードが脳裏に浮かぶ、『ポリスノーツ』の主役コンビが『リーサル・ウェポン』の二人を彷彿させるなど、小島ゲームに触れた人は様々な幻覚に悩まされがち。

スネークの顔が『メタルギア2』の時はシルベスター・スタローンに似ていたのもたぶん記憶違いですが、国境やメディアを超えてカーペンター監督に伝わった映画愛があふれる小島ゲームの新作、9月に発売された『メタルギアソリッドⅤ』の"次"が登場する日が来ることを願ってやみません。

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