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論文2000万本超を読み込んだ人工知能、医師も診断できなかった難病を10分で見抜いて患者の命を救う

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IBMの人工知能「Watson」が、特殊な白血病患者の病名を10分ほどで見抜き、その生命を救ったと東京医科学研究所が発表しました。患者は当初、医師に急性骨髄性白血病と診断され抗癌剤治も受けていたものの、まったく効果が現れていませんでした。東京医科学研究所は「AIが命を救った国内初の事例ではないか」とのこと。

Watson といえば、一般にAI(人工知能)と称されることが多いものの、IBMは「自然言語質疑応答システム」、または「意思決定支援システム」と呼び、AIとは少し違うと紹介しています。とはいえ、一般的にみればよく喋るAIと解釈して差し支えないでしょう。

Watsonの名が広く世に知れ渡ったきっかけは、2011年に米国のクイズ番組「Jeopardy!」に回答者として参加し、人間に勝利したこと。当時は音声認識ができなかったため、出題者の読み上げと同時に問題文をテキストで受け取って処理をしていました。現在ではText to Speechによって世界の音声言語を認識する機能を備え、2013年からは一般のデベロッパーにも提供を開始しています。

東京医科学研究所のWatsonは、2000万件以上の癌に関する論文を学習して鍛え上げており、正しい診断が難しい白血病患者の診断に役立てる研究に使われています。今回の発表はそのWatsonが診断を下し、治療法がわからなかった医師に正しい治療を教え、患者の命を救った初の事例とも言えます。

このような病名診断は通常、複数の医師が症状や遺伝情報などから医学論文を突き合わせて行っています。しかし、論文の数は膨大で、人間の能力ではすべてを記憶するのは困難です。もし、患者がWatsonに出会わなければ、白血病の原因がわからないまま症状が悪化し、免疫不全から敗血症に陥り最悪は死亡していた可能性すらもあるとのこと。

難しい病気だったものの、患者はWatsonが病名を見ぬいたおかげで適切な治療を受けることができ、すでに退院しました。さらにWatsonは同じように診断が難しかった患者2人の白血病の種類を判断し、患者は現在治療を受けています。またその他41人に対して治療や診断のアドバイスも提供しているとのこと。

東京大学医科学研究所の宮野悟教授は「医師がすべての医療情報を把握するには限界がある。人工知能の活用は医療の世界を変える可能性を持っている」としています。大量の情報を記憶し、適切に引き出して使うのはAIやコンピューター全般が得意とするところ。すでに時代はAIによる診断と治療方法のアドバイスのほうが遥かに正確になっていると言えそうです。今後、人間の医師の役割はAIが出す診断のチェックおよび治療処置と、新たな知識を発見する研究分野などに特化していくのかもしれません。

(2016年8月8日Engadget 日本版「IBMのWatson、わずか10分で難症例患者の正しい病名を見抜く。医師に治療法を指南」より転載)

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