無人探査機「スキアパレッリ」、火星着陸に失敗か NASAが地表に影を発見

着陸直前に通信が途絶え、その後どうなったのかがわからなくなっています。

NASAのMRO(Reconnaissance Orbiter)が、行方不明となっていたESAの火星着陸機スキアパレッリとみられる地表の影を発見しました。

ESAとRoscosmosが今年3月に打ち上げたExoMarsミッションは、10月16日に火星へ到着、19日に微量ガス分析機TGO(Trace Gas Orbiter)は火星周回軌道に乗りました。同日、TGOと分離した火星着陸機EDM(Entry, Descent and Landing Demonstrator Module)、通称スキアパレッリは火星大気圏へ突入し、火星着陸技術の実証試験と地表での塵の濃度や電場観測をする予定でしたが、こちらは着陸直前に通信が途絶え、その後どうなったのかがわからなくなっています。

NASAは火星周回探査機MRO(Mars Reconnaissance Orbiter) のカメラでスキアパレッリの着陸予定地点周辺を撮影し、以前の同地点の画像にはなかった黒い点を発見、その画像を公開しました。

着陸時のデータによると、スキアパレッリは着陸時のパラシュート降下は予定通りだったものの、このパラシュートの切り離しが予定より早い時間に実行されており、さらに地表付近で減速するために行う逆噴射もほとんど実行されなかったことがわかっています。

減速ができなれば、スキアパレッリはそのまま地面に衝突してしまった可能性が高くなります。実際、着陸予定時刻の約1分前に通信は途絶しており、充分な減速ができていなかったことがうかがえます。

MROは来週にも再び同じ場所を今度はより高解像度なカメラで撮影する予定で、そのときにはおそらくこの点がスキアパレッリかどうかはっきりと確認できると考えられます。

ESAのトップJan Woernerは、通信が途切れるまでに取得したデータの分析によって耐熱シールド、パラシュート、レーダーやスラスターなどに関する動作情報は得られており、それだけでもスキアパレッリのミッションはほぼ成功だとの見解を示しています。そして、それらの情報は今回に続いて2020年に実施予定の2020 ExoMarsミッションで利用されるとのこと。

ESAは彗星着陸機Philae(フィラエ)のときも着陸に失敗しており、どうも着陸シーケンスとは相性が悪いようです。

[Images : ESA, NASA]

【関連記事】

注目記事