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麻酔科医の仕事を奪う? 万能な麻酔ロボットがほとんど売れなかった理由とは

2016年04月01日 19時36分 JST | 更新 2016年04月01日 19時56分 JST

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ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が、自動的に患者に麻酔を投与可能なロボット Sedasys の製造販売を終了すると発表しました。理由は売上不振。

Sedasys は麻酔科医にくらべ1/10のコストで患者への麻酔薬投与ができましたが、それは麻酔科医の仕事を奪うことでもありました。

J&J が開発した Sedasys は手術や検査の現場において麻酔科医の代わりに麻酔薬プロポフォールを投与するためのロボット。患者の状態を常に監視しつつ適切な量を投与するアルゴリズムを搭載していました。

Sedasys の大きなメリットはその運用コストの低さ。米国では1度の手技で麻酔科医に支払われるコストが約2000ドルとされるのに対し、Sedasys を使えば150~200ドルで済みます。このため医師不足を補い、病院や診療所の経営の助けとなることが期待されていました。

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病院経営者や患者からすれば Sedasys は非常に魅力的な麻酔ロボットである一方、米麻酔医学会などは「Sedasys が誤って使われたときに患者を危険にさらす恐れがある」、「万が一のため麻酔科医がその場にいる必要がある」などと主張。Sedasys は大腸内視鏡検査や食道胃十二指腸内視鏡検査にその用途が限られてしまいました。

麻酔科医からの反対は、いわば Sedasys が彼らの職を奪いかねないという懸念が強く働いたとも考えられます。結果として Sedasys を導入する病院はほとんどありませんでした。

Sedasys だけが原因ではないものの、現在 J&J は売上の低迷により3000人規模のリストラを計画中と伝えられます。職を奪われるのが人の役に立つと思ってロボットを開発した側だというのはなんとも皮肉な話というほかありません。

(2016年3月31日Engadget日本版「医療用麻酔ロボット、医者の職を奪うとして市場から追い出される。メーカーは3000人規模のリストラへ」より転載)

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