1/8サイズの「タチコマ」販売決定 アニメ「攻殻機動隊S.A.C」に登場する"思考戦車"、音声や画像認識で会話も可能

タチコマちゃん好きであればぜひ一目見て欲しいアイテムです。

各種ネットワーク家電を手がけるセレボが、アニメ「攻殻機動隊 S.A.C.」に登場する多脚戦車「タチコマ」のコミュニケーションロボット『うごく、しゃべる、並列化する。1/8タチコマ』を発表しました(これが製品名です)。

発売は6月、予約受付は3月23日、つまり本日から。直販ストアでの価格は15万7400円(税別)です。また、本体のバンパー部や砲身カバーなど、一部パーツにアルミ削り出し部品を採用した限定生産バージョン「SPECIAL EDITION」も用意(タイトル写真左)。こちらは17万7400円(同)です。

特徴は、製品名通り「動いて、喋って、情報の並列化をする」点。

「動く」点に関しては、搭載する21個のモーターと22軸の可動箇所により、各関節やポッド、マニピュレター、車輪、そして映像センサー(目にあたる箇所)が可動します。

Crervoのタチコマちゃんをリモコン走行させてみました

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また、スマートフォンの対応アプリ(対応OSはiOSが9.3以上、Androidが4.4以上)から操作可能なリモコン機能も搭載。

タチコマに内蔵されたカメラからのストリーミング映像を見ながら、各脚下部に備えた走行用ホイールを回し、自在に動かすことができます。もちろん方向転換では、超信地旋回(その場での旋回)も可能です。

さらに、スマートフォンからの「姿勢コマンド」の操作により、脚部各関節やポッドを動かし、作中に登場する多彩な姿勢を再現可能です。

この「姿勢」に関しても力が入ったもの。劇中でのタチコマは戦車でありながら、搭載されたAIの性格から、見ているうちに思わず「タチコマちゃん」と呼びたくなるぐらいのかわいいしぐさをしますが、そうしたしぐさが再現できるように、ポッドやマニピュレーターなどのモーションにはとくに配慮した仕様です。

会話に関しては、劇中の声を担当する玉川砂記子さんの声を元にした音声で喋ります。技術的なポイントは、音声合成が採用されているという点。あらかじめ録音されたセリフもありますが、音声合成の採用により、会話のバリエーションを大きく広げています。

さらに音声認識エンジンも搭載することで、いわゆる(スマートフォンなどの)会話アシスタントのように、話し掛けた言葉や見せた物体を認識しての会話が可能です。

もちろん会話中は、自動的に作中で見られたようなしぐさをしながら話します。

Cerevoのタチコマちゃんに『草薙素子のまねをして』と言ってみました

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また、当然ながらS.A.C.劇中の重要ワードを元にした会話なども可能。たとえば「草薙素子のマネをして」とお願いすると、(草薙素子)少佐が劇中で話した「ネットは広大だわ」や「貴様、いい腕をしているな! 今から私の部下になれ!!」などの名言を話してくれます。

また「バトーさんはどうしてる?」など、登場人物の行動に関する会話や、「笑い男ってなに?」といった劇中重要ワードに関して尋ねると、タチコマから見た感想を話してくれることもあります。

セレボの岩佐琢磨社長や開発担当者に尋ねると、原作のキーワードデータベースを充実させる点は、開発においてとくに力を入れた箇所とのこと。

最後の「情報の並列化」に関しては、劇中でのタチコマにまつわる重要ワードです。若干乱暴に説明すると、1台のタチコマが得た情報を、ネットワークで連携した他のタチコマが自動的にコピーし、AIが学習すること。

この機能により劇中のタチコマは、1台だけでも個体が情報を認識すれば、すべての個体に反映されるという情報ネットワークを構築しています。

1/8タチコマではこれを可能な限り再現すべく、認識した物体に対して追加情報(メタデータ)を付加できる機能を搭載します。

実際には、認識可能な物体をタチコマに見せると、「もっと教えて」と聞いてくる会話イベントが発生します。ここでデータを教えると、セレボのサーバーにアップロードされたデータが数日後に並列化。他のタチコマにバックグラウンドで自動配信されます。

配信された後、他のユーザーがその物体に対して質問すると、並列化された追加情報が反映される......という仕組みです。

上記写真で「レモンは甘い」とウソを教えられていますが、こうしたウソや冗談といった情報も並列化されます(これは劇中でのやりとりを元にしたもの)。

ただし、NGワードなどは当然あり、「反映までに数日かかるのも、こうしたチェック期間を含めて」という旨の解説がありました。

この並列化にはネットワーク接続が必要になりますが、これは内蔵のWi-Fiクライアント(802.11/b/g/n対応)による通信。上述したスマホアプリとの通信もWi-Fi経由となります。

なお、ネット接続外部通信なしでの動作も可能。ただし当然ながら機能は限定されます。

実用機能として、いわゆる音声アシスタントとしての機能も搭載。会話によるやりとりで、Webのカレンダーサービスと連携しての予定確認やWikipedia検索、天気予報やニュース、トレンドといった情報も教えてくれます。

もちろんこれらの情報も、玉川砂記子さんの「あの」声で話してくれるのがミソです。

なお、造形面では当然ながら、劇中の3Dモデルなどのデータを可能な限り再現しつつも、可動との両立をバランスさせる点に配慮したもの。

とくに重量バランスなどには細心の注意が払われており、たとえば内蔵バッテリーは後部のポッドではなく、4つの脚部に円筒形リチウムイオンタイプを分散して搭載するという、凝った構造となっています。

また、SPECIAL EDITION(SE)のアルミ削り出しパーツは、主砲カバーや脚部の先端カバーといった、比較的目立つ箇所へのディテールを向上させる目的で付けられたもの。発表会場で公開された試作機では、塗装の違い(通常モデルはグレーですが、SEは素材を活かした金属的な色です)もあり、かなり効果的に思えました。

本体サイズは352×391×249mm(幅×奥行き×高さ)。重量は1.5kg。バッテリー駆動時間は6時間程度で、充電は専用ACアダプタ経由です(端子は背面ポッドの底面)。

さて、劇中のタチコマは、強力な兵器として描写されつつも、同時にかわいさも感じさせるマスコット的なキャラとしての性格も強く、またそこが人気のポイントとなっています。そのため、これを元にした製品は「格好良さ優先か、かわいさ優先か」によって印象が大きく変わります。

このあたりを岩佐社長に尋ねたところ、「格好良さよりもかわいさを重視して開発しました。キャラクター的なところとしては、S.A.C.本編よりも、短編アニメーション『タチコマな日々』に近い箇所を狙っています」との回答がありました(なお、発表会内のタッチ&トライ時間でも、岩佐社長やスタッフからの呼称は「タチコマちゃん」でした)。

また使われ方に関しては、「自走機能などもあるのですが、基本的には会話に重点を置いたものとしています。玄関や机の上に置いて、日々話掛けて楽しめるような存在になってもらえればと考えています」とのこと。

さてこの1/8タチコマは、もともと2016年2月に開発を表明。2016年の4月に開催されたニコニコ超会議では、完成度20%としながらもプロトタイプを展示するなど、1年以上に渡って開発が進められてきた製品です(詳しくは下記記事を参照ください)。

当時から動向を追っていた攻殻機動隊ファン、そしてタチコマちゃんファンにとってはまさに「待ちに待っていたアイテム」の一つ。

筆者も個人的に楽しみにしていましたが、実際に試作品を目にしたら、「なるほど、これで約16万......高いが安い......!!」と唸るものでした。

なお、一般ユーザーへのお披露目として、3月23日から東京ビッグサイトで開催される『AnimeJapan 2017』内、Production I.Gブースで展示が決定しています。タチコマちゃん好きであればぜひ一目見て欲しいアイテムです。

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