BLOG

一卵性双生児のDNA識別方法、英大学が開発。双子がらみの犯罪捜査に活用

2015年05月02日 01時13分 JST | 更新 2015年05月02日 01時13分 JST

twins

英ハダースフィールド大学の研究者が、一卵性双生児を短時間で DNA から識別することに成功しました。一卵性双生児を通常のDNA鑑定で区別することは困難でしたが、この技術を用いれば、たとえば一卵性双生児が関わる犯罪でも DNA 鑑定を用いた捜査が容易になります。

 

一卵性双生児はひとつの受精卵が分裂し、発育して生まれた兄弟または姉妹。基本的には同性で、身体的特徴や性格もよく似ています。一卵性双生児のDNAも基本的に同一であるため、通常の DNA 鑑定で見分けるのは非常に困難とされています。

英国ウェストヨークシャーにあるハダースフィールド大学のグレアム・ウィリアムズ博士が開発したのは DNA を温め、水素結合が切断する温度を測るという鑑定方法。"HRMA:High Resolution Melt Curve Analysis" と呼ばれます。

論文は Analytical Biochemistry, "Differentiating between monozygotic twins through DNA methylation-specific high-resolution melt curve analysis" : Leander Stewart, Neil Evans, Kimberley J. Bexon, Dieudonne J. van der Meer, Graham A. Williams

一卵性双生児であってもまったく同じ環境でまったく同じように育たないかぎりは、その育った環境や生活習慣によって遺伝子配列が化学反応を起こす「DNA メチル化」現象に差が現れます。DNA メチル化そのものは正常な反応であるものの、この差が HRMA による実験では遺伝子の水素結合が切断する温度の違いとなって現れます。

この方法を使えば、もしも犯罪現場で採取された容疑者の DNA が一卵性双生児のものであっても、2~3時間程度あれば容易に二人のうちどちらのDNAなのかを判別できることになります。

ただ、この方法には比較的多くのサンプルが必要です。もし採取した DNA の量が少なかった場合は、はっきりとした判別ができない場合も考えられます。また鑑定対象の年齢が低く、DNA メチル化が進んでいない場合も識別は難しいことが予想され、どんな場合でも使える鑑定方法とは言い切れないのが残念なところです。

twins2

ちなみに、いくら一卵性双生児といっても遺伝子によらない部分の特徴は異なります。たとえば指紋やほくろの場所、瞳の虹彩パターン、腕の静脈パターンなど。このため指紋や虹彩などをつかった生体認証システムは、簡単に一卵性双生児を見分けることが可能です。

蛇足ですが、英ハダースフィールド大学の現在の学長は、『新スタートレック』のピカード艦長役や『X-MEN』シリーズのプロフェッサーX 役で知られる英国の名俳優 パトリック・スチュワート が務めています。大学はもともとは工学系の学校でしたが、1990年代以降、デザインやマネージメント、医療、音楽映像メディアなどの学部を加え、現在ではあらゆる分野をカバーしています。

(2015年04月29日 Engadget Japanese「一卵性双生児の DNA 識別方法、英大学が開発。双子がらみの犯罪捜査に活用」より転載)

【関連記事】