失った「肉声」を取り戻す。培養声帯の移植研究に進展

研究者の一人は「ここまで印象的なレベルで培養が成功するとは予想していなかった」と評しています。

米ウィスコンシン大学医学公衆衛生大学院の研究チームが、機能する声帯の培養の予備研究について発表しました。研究者によれば正常な声帯から取得した組織をもとに培養した新たな声帯は、移植しても免疫抑制をする必要がないとしています。

声帯培養~移植の方法が将来的に確立すれば、一度声帯を失った人でも再び "肉声" を取り戻すことができるようになるかもしれません。 ウィスコンシン大学の研究は、4人のボランティアと1人の献体から採取した声帯の細胞組織を170個の生体サンプルをコラーゲンの中で培養しました。そしてそれが2週間ほどで声帯の形状をなすまでに成長し、機能する可能性があることを確認しました。

研究者らは次の段階として、マウスよりも大きな動物で咽頭移植の実験を実施すること、FDA(米食品医薬品局)の審査を経て、人を対象とした臨床試験へと進んでいくことになるだろうと話しています。

声帯ポリープなどの切除をして声を失った人はこれまで、電気式の人工声帯や、腹式発声法を用いて会話を取り戻すことが可能でした。しかし、いずれの方法も発せられる声は通常の声とは程遠いものです。最近ではシンガー/音楽プロデューサーのつんく氏が咽頭癌によって声帯を摘出し、声を失ったことも話題となりました。

まだまだ研究の初期段階ではあるものの、研究者の1人 Nathan Welham は「ここまで印象的なレベルで培養が成功するとは予想していなかった。最初のテストとしては非常にうまくいった」と評しています。

[Image Credit: FilmMagic via Getty]

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