スネークやサムスの「中の人」も支持 アメリカの俳優、声優の労働組合がスト実施を承認

「待たせたな!」
Engadget

米国の俳優たちの労働組合であるSAG-AFTRAは、現在も進行中である労働条件交渉に関するストライキの是非を問うメンバー投票を行い、96.52%の賛成票を獲得したと発表しました。

賛成票が同組合の規定である75%を上回ったため、交渉が決裂した場合にストライキを行えるようになったわけです。

SAG-AFTRAとは「Screen Actors Guild‐American Federation of Television and Radio Artists」(映画俳優協会-アメリカTV・ラジオ芸能人組合)の略。米国で活躍する俳優たちの労働組合です。

俳優がキャラクターボイスを演じることからゲーム業界とも縁が深く、ゲーム関連では『メタルギアソリッド』シリーズのソリッド・スネーク役(英語版)で知られるデイヴィッド・ヘイター氏や、『メトロイド・プライム』のサムス・アラン役を演じるジェニファー・ヘイル氏などが所属しています。

今回投票の対象となったのは、ビデオゲームに携わる俳優(声優)の出演料や労働条件を定める「Interactive Media Agreement」の更新に関する交渉。これまでの合意が2014年12月31日に期限切れとなったことを受け、2015年の2月と6月に交渉が行われましたが、決着が付かないまま現在に至っています。

交渉においてSAG-AFTRAは「組合員が出演したゲームが200万本売れるごとにボーナスを出すこと」「負担の大きい役については、スタントに支払うのと同じ報酬を払い、1回の録音セッションを2時間以内に制限すること」「モーションキャプチャの際、危険がないようにスタント・コーディネーター(アクション指導を行う専門家)を用意すること」「俳優がオーディションを受ける前に、予めプロジェクトに関する情報を明かすこと」といった要求を掲げています。

ゲームが好調に売れた際のボーナスについてSAG-AFTRAは、"既に映画やアニメやコマーシャルの世界では支払われているし、ゲーム業界においてもアクティビジョンのCOOが390万ドル(約4億7000万円)、EAのチェアマンが150万ドル(約1億8000円)を受け取るなど珍しいものではない。200万本というのはブロックバスター(大当たり)級の売上本数であり、ボーナスを出すことになっても、大部分のゲームに影響を与えるものではない"と主張。非オンラインゲームの場合、ダウンロード版を含めた売上200万本ごと、オンラインゲームの場合はユニークユーザー200万人ごとにボーナスを出すよう求めています。

「Interactive Media Agreement」にまつわる交渉が本格的に決裂し、ストライキが行われたとすると、組合員である俳優はその期間中ゲーム関連の仕事ができなくなります。また、SAG-AFTRAは、組合員でない俳優にもストライキを尊重するよう訴えていくとのことです。

2005年にはSAG-AFTRAの前身であるSAG(映画俳優協会)とAFTRA(アメリカTV・ラジオ芸能人組合)はゲーム業界と交渉を行い、ストライキが回避されたという事例があります。で、もしもストライキが行われた場合はゲーム業界に及ぼす影響も少なくないであろうため、両者の歩み寄りが待たれるところです。

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