「日本を中国側に引っ張ろうという幻想は不要だ」中国は“菅義偉首相”の日中関係をどう見ている?

「菅政権が安倍政権と比べて、中国への態度が少し良くなったり、悪くなったりしようと大きな意味はない」

自民党総裁選は9月14日、投開票が行われ、菅義偉氏が次期総裁に選出された。16日にも安倍晋三首相の後継として第99代首相に指名される見込みだ。

次期首相としての菅氏をどうみているのか。中国共産党機関紙・人民日報の姉妹紙、環球時報電子版は社説を掲載し、米中対立が深まるなか、それに乗じて日本が強気な交渉姿勢に出ることを警戒。形勢に応じて有利なポジションを取る「日和見主義」を意味する言葉を使い、「日本が日和見主義路線をとるという考えを防がねばならない」と伝えた。

自民党両院議員総会で新総裁に選出され、あいさつに臨む菅義偉官房長官(中央)=14日午後、東京都港区
自民党両院議員総会で新総裁に選出され、あいさつに臨む菅義偉官房長官(中央)=14日午後、東京都港区
時事通信社

環球時報は14日「菅義偉氏は今の日中関係の慣性を維持する」と題した社説を発表。

菅氏が総裁選に勝利したことは「予想通り」とし、「3人の候補者の対中政策には振れ幅が少ない。日本の今後の中国への態度は、すでに米中関係と、現実的な状況に基づく日本の国益によっておおよそ決められている。東京(日本政府)は日米同盟を基軸とし、一方で日中関係を発展させ、自身の利益の最大化を図る」と評した。

その上で、米中対立について、日本のポジションを「アメリカは日本の同盟国だが、一方で中国は最大の貿易パートナーだ。日中間で戦争が勃発する危険性さえなければ、日本はアメリカ一辺倒にならず、アメリカの中国を打ちのめす戦略に完全に同調することもない」とした。

一方で「今後予測できる未来のなかで、日本を中国側に“引っ張ってくる”という幻想は不要だ」とし、日米同盟の影響力を軽視してはいけないと警告した。

また、日中関係の今後のリスクには「日本の日和見主義が台頭し、米中関係の緊張に乗じて、中国との交渉が有利になると慢心し、一連の問題で攻めの姿勢をとり、問題の解決とコントロールを難しくさせることだ」とした。

そして「菅政権が安倍政権と比べて、中国への態度が少し良くなったり、悪くなったりしようと大きな意味はない。中国は日本を引き付ける力を増し、日本が中国の発展を制約する力を削ぎ、さらに米中関係の悪化に乗じて日和見主義路線をとるという考えを防がねばならない」とまとめた。

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