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松本瑠樹 ユートピアを求めて~ロシア・アヴァンギャルドとソヴィエト・モダニズム~

2014年02月03日 21時42分 JST | 更新 2014年04月05日 18時12分 JST

「BA-TSU」のデザイナー「松本瑠樹」の世界的なポスター・コレクションからロシア・アヴァンギャルド芸術のポスターエキシビションである『ユートピアを求めて』のプレイベントが2013年10月6日、東京・表参道「BA-TSU ART GALLERY」で開催された。今回はロシアに弟子を多数もつ尺八奏者「き乃はち」による生演奏もあり、"プレ"と捉えるべきではないほど盛大なイベントとなった。

松本瑠樹(1946-2012) 東京生まれ。文化服装学院在学中にオールファッションアート研究所を設立。その後自らプロデューサー兼デザイナーとしてDCブランド「BATSU」を創業。また世界的なポスターコレクター及び研究家として高い評価を得ており、東京都庭園美術館での「A.M.カッサンドル展」(1990年)を始め、世界各地で展覧会プロデュースを手掛けている。97年にはニューヨーク近代美術館MoMAのメインフロアーにて開催された「ソビエト・デザイン革命の構築/ステンベルグ兄弟展」は、「グラフィック・デザインの回顧展の中で最大かつ最高の規模」とニューヨーク・タイムズの一面に大きく取り上げられた。

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ロシア・アヴァンギャルドとは、1910年代初頭にロシアで誕生し1917年ロシア革命を契機に大衆に広まった未来派、構成主義を中心とした前衛芸術ブームの総称。リトグラフ印刷という、4~5色の限られた色しか使用できない印刷方法で大胆にグラフィックデザインがなされているのが特徴だ。

面白いのはプロバガンダ的な作品が非常に多いこと。これはレーニンの寛容な文化政策によって政治にグラフィックデザインを取り入れた事が背景になっている為であるが、1990年代初頭は特に文字を読める人が少なかったため、最も有効的な手段がグラフィックによるアプローチであったという。なるほど興味深い。

展示を目にしてもどこか斬新さを覚えるのはその色使いやプロパガンダ的芸術の要素があるからなのだろう。またポスターとしての構図そのものや表現のインパクトは凄まじく、普段目にしているものでは動作しないであろう感覚器官が呼び覚まされる。このような芸術に触れたことがない筆者のようなタイプであれば特に新たな刺激をより多く感じられることだろう。

■ 知られざるロシアと尺八の関係性

次第に人が集まると間もなく尺八奏者「き乃はち」によるスペシャルイベントが開始された。

ロシアでは現在かなりの尺八人気があるという。彼はロシアツアーはもちろんのこと、チェルノブイリにて慰霊演奏もするなどロシアに尺八文化を根付かせた第一人者であることは言うまでもない。今ではおよそ20名の弟子を抱え、主に虚無僧の尺八を伝えているという。今後もロシアと日本の文化の発展に貢献していきたいと豊富を述べ、本イベント「ユートピアを求めて」に対しては"同じツール"として一緒に盛り上げていきたいと想いを語った。

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最近では市川染五郎、尾上松緑、尾上菊之助、市川海老蔵、片岡愛之助、中村勘九郎、中村七之助らといった次代を担う花形が新生・歌舞伎座に顔を揃える「九月花形歌舞伎」の『陰陽師滝夜叉姫』で主題曲の作ったことでも話題を集めていた。そのオープニング曲である「月光波(げっこうは)」や『竜馬がゆく』(平成19年9月歌舞伎座)の主題曲として使用された「宙へ(そらへ)」などを披露し、会場を壮大な音色で包んだ。