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香川真司がマンUから移籍できない理由。イギリス人記者の視点(ロバート・ドーソン)

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マンチェスター・ユナイテッドで香川真司が苦しんでいる。試合に出場することはできず、たまに出場してもパフォーマンスはあまり良くない。モイーズ監督と哲学の不一致は明らかだが、レンタル移籍すらできない。それには理由がある。マンチェスター在住の英国人記者が読み解く。

■ウィンガーとして起用される香川とマタ

「トップ下の選手を左サイドで起用するのは難しい話である」

 こう述べるのはチェルシーのジョゼ・モウリーニョ監督だ。彼はスペイン代表MFファン・マタをマンチェスター・ユナイテッドへ放出する際、「彼はサイドのポジションに不慣れだ。主力として起用されないことは彼にとって初めての事だったかもしれない。私は彼の好まないポジションで起用した」と語っていた。

 マタを巡る起用法の問題はユナイテッドに移籍した今も継続中だ。彼はオランダ代表FWロビン・ファンペルシーとイングランド代表FWウェイン・ルーニーが2トップに固定される中、左右のウィンガーとして起用され、本来の実力を十分に発揮できずにいる。

 移籍直後にデビューしたカーディフ戦では本来のポジション、ファン・ペルシーの後ろで活躍したが、その後3試合はサイドでプレーし、チームも未勝利と再び迷走している。

 このマタの状況は、日本代表MF香川真司と酷似する。香川は今季、主にトップ下ではなく、左サイドで起用され続け、輝けずに出場機会を失った。さらに香川は1月下旬、マタの加入により押し出される形で起用されない控え選手へと格下げされた。

 監督よりもメディアやファンの方が、香川やマタが最も活躍できるポジションを容易に指摘できるが、モイーズ監督はそれでもトップ下の選手をサイドで起用することに固執し続けている。

■ルーニーという絶対的な存在

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攻撃的MFより前の位置であればどこでもプレーできるルーニー【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

それには大きな理由がある。本来ならば、攻撃的MFより前の位置であればどこでもプレーできるルーニーがトップ下に固定されているからだ。昨季はルーニーもファーガソン前監督から中央MFや左MFでの起用を告げられたことがあった。だが彼の場合は、その起用法に不満を示し、FWでプレーすることへのこだわりを見せ、移籍も辞さない覚悟を示した。

 ファーガソンは、「選手はチームを第一に考えるべきであり、チームのためならどのポジションでもプレーすべき」という持論を説いたが、自分が一番活きるポジションを知っているルーニーからすれば、中盤へのコンバートは自身の選手生命を脅かすものにさえ感じたのかもしれない。

 現に昨夏の移籍市場では、オファーのあったチェルシーへの移籍も囁かれたが、同クラブとの直接対決で大活躍したことで、ファンだけでなくモイーズ監督の信頼も勝ち獲り、残留を決意した。

 ルーニーはかつて、自分のプレースタイルについてこう語っていたことがある。

「僕のポジションはストライカーだ。でも、なかなかボールが来ない時は、下がってボールを追うし、相手からボールを奪ってから攻撃を組み立てる。だから僕は守備にも積極的に参加するし、それが僕のスタイルだと思っている」

■スポンサー収入は40%増

 だが、そうした監督との駆け引きができるのも絶対的な力を持っているルーニーだからこそだ。香川もドルトムント時代にはユルゲン・クロップ監督から「外せない選手」として確固たる地位を築いていたが、ユナイテッドではいまだにその地位を築けずにいる。

 昨季、ファーガソン前監督は「香川は来季にもっと良くなる」と前向きに語っていたが、その発言も監督交代で意味のないものになった。仮にファーガソン氏が今季も続投していたら、ドルトムントで香川と絶妙な連係を見せていたポーランド代表FWロベルト・レバンドフスキやMFイルカイ・ギュンドアンといった選手の獲得にも本腰を入れていたかもしれない。

 今冬の移籍市場では、マタの加入により香川の移籍も囁かれた。ブラジルW杯を見据える香川にとっては期限付きで今季終了まで移籍するという選択肢もあっただろう。だが、移籍市場も終盤に差し掛かっていたためか、はたまたスポンサーとの契約を意識してか、残留を決意するに至った。

 現にユナイテッドは12日、10月から12月までの収益が前年同期比で11.6%増の1億2290万ポンド(約208億円)だったことを発表。グッズ収入、放映収入もそれぞれ約19%増となり、スポンサー収入に至っては約40%増となった。

 ここにも香川効果が如実に表れており、日本のフジTVからの放映収入をはじめ、日本企業7社からのスポンサー収入が含まれている。(※フジテレビは「マンチェスター・ユナイテッドTV(MUTV)」を放送)

■アウディとの専属契約も許されている

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香川が再び出場機会を得られそうなのは2月25日に敵地で行われるオリンピアコス戦【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 どの強豪クラブも収益を伸ばす上でアジア市場を重要視しており、ユナイテッドは元韓国代表MF朴智星に代わるアジア選手として、香川を獲得したという定説もある。

 奇しくも、香川加入と時を同じくして朴が放出された事実が、その説をより信憑性のあるものにしている。今季のプレシーズンでユナイテッドが香川を中心とした日本ツアーを敢行したのが、何よりの証拠である。

 一方、ユナイテッドは米ゼネラルモーターズの自動車ブランド「シボレー」と公式スポンサー契約を結んでいるが、香川はドイツのフォルクスワーゲンの自動車ブランド「アウディ」と日本のブランド大使として専属契約を結ぶことを許されるなど、香川は市場価値の高い選手として認識されている。

 こうした背景からも、香川が残留を決意せざるを得なかった「理由」が見え隠れする。

 一方、プレミアリーグでの出場機会を失いつつある香川が、チームの一員として再び出場機会を得られそうなのは、2月25日に敵地で行われるチャンピオンズリーグ(CL)16強第1戦のオリンピアコス戦だ。

 というのも、マタがチェルシーで今季すでにCLの試合に出場し、別のチームでの出場権が失効しているためだ。香川がユナイテッドで「カゴの鳥」として扱われているのであれば、かつて朴智星がそうしたように、選手としての真価をピッチ上で示すしかないだろう。

関連リンク
フットボールサミット第13回 香川真司取扱説明書 KAGAWAの活きる道
サッカー批評 ISSUE66
本田圭佑と香川真司 日本代表の核となる二つの個性

(2014年02月17日フットボールチャンネル「【現地・英国人記者の視点】出場機会激減の香川真司がマンUから移籍できない理由」より転載)

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