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嫌韓なウルトラ、李獲得での波紋。浦和レッズ"差別行為"問題、火種を放置した罪深きクラブ(加部究)

2014年03月14日 23時36分 JST | 更新 2014年05月14日 18時12分 JST

浦和レッズはクラブとして今回のような差別行為が起こることを予期し、未然に防げた可能性は十分にある。なぜなら、ウルトラには嫌韓の性質があり、新加入への李忠成へのブーイングもあったからだ。クラブは本当に変わることができるだろうか。

■嫌韓な浦和のウルトラ。既に火種はあった

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【写真:工藤明日香 / フットボールチャンネル】

『月刊浦和レッズマガジン』3月号で、ライターの青山鼓氏が、サポーターグループ「URAWA BOYS」の初代リーダーの相良純真氏にインタビューをしている。次のようなくだりがある。

――李(忠成)はどうですか?

「浦和のウルトラは韓国が嫌いだからね。ウチの歴史にはないことだから、最初はいろんな反応が渦巻くと思う。昔はチョウ(キジェ)さんがいたけれど、今ほど嫌韓の雰囲気はなかったからね。クラブのスタッフが本人(李)に伝えているそうだけど、本人が相当の覚悟を持って浦和に来るということは僕も感じるんだよね」

これは浦和レッズの公式マガジンである。当然クラブは内容を確認し、誤りがあれば修正をする。このインタビュー記事が掲載されたのは、クラブが相良氏のコメントが正しいことを全面的に認めたことを意味する。

元サポーターグループのリーダーが、ウルトラが韓国を嫌っていて、李を獲得すれば波紋を呼ぶことを示唆している。またクラブ側も李にそれを伝えたと話しているのだ。つまり浦和レッズ関係者にとって、今回の差別問題は青天の霹靂ではない。

既に火種があることを知っていて何も手を打たず、必然的に事件は起こった。しかも試合途中で横断幕を撤去もせずに、さらに穏便に済ませようとした経緯までが透けて見える。

横断幕を掲げた当事者から事情を聴いたという淵田敬三社長は、「差別する意識はなかったと話している」とリーグに報告したそうだ。しかし彼らが明白な差別意識が抱いていたことは、誰よりもクラブ関係者が知っていたはずで、それは公式マガジンの記事が証明している。

いったい浦和レッズは、何を最優先に守ろうとしたのだろうか。

■李へのブーイング。加害者をかばっているような対応

アウェイのG大阪戦でも、ホーム開幕の鳥栖戦でも、李にブーイングが飛んだことは多くのファンが確認している。なかには人間の尊厳に関わるような罵りもあったと漏れ伝わって来る。本来なら公衆の面前で特定人物を罵った彼らは、刑法第231条の「侮辱罪」に問われ、刑事罰に処されてもおかしくない。

4年前の仙台の一件も同様だ。もし浦和レッズが本気で差別主義を斬り捨てる覚悟があるなら、仙台事件の時に犯人を特定公表し訣別するなど、断固たる姿勢を示すべきだった。

もし淵田社長の言葉に嘘がないとすれば「差別意識がなかった」という笑止千万な言い訳を黙って受け入れ、さらに突っ込んだ調査もせずにリーグに報告をしたことになる。自分のクラブの大切な選手が侮蔑されたのに、むしろこれでは加害者側をかばっているようにも見える。結局最優先したのは、クラブの体裁なのだろうか。

今まで浦和には、多くの外国人選手が加入しチームを牽引してきた。ブッフバルト、ポンテ、ワシントン、エメルソン...、帰化選手としては闘莉王も活躍したが、ブーイングや罵声を浴びたという話は聞かない。

「Japanese only」が、欧州や南米に向けられたのではないことは明らかで、そういう意味でも非常に性質の悪い「人種差別」だと断じるべきだ。

淵田社長は「クラブの危機だ」と話した。だが真実を知りながら声を挙げる者がいない体質のままで、この重大な危機を乗り越えられるのだろうか。今こそ必要なのは、親会社から束の間に訪れる社長ではなく、裏表なくクラブ建て直しに心血を注げるリーダーではないだろうか。

実は浦和レッズを最も切実に救い上げようとしたのは、敢えて「無観客試合」という重い罰を与えたJリーグの村井満チェアマンだったのかもしれない。

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拝啓、浦和レッズ様 そのレッズ愛、本物ですか?

(2014年3月15日「フットボールチャンネル」より転載)