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難民問題への新しい取り組み「ソーシャル スカルプチャー(社会彫刻)」

2013年12月04日 16時29分 JST | 更新 2014年02月02日 19時12分 JST

ドイツ第三の都市ミュンヘンから電車で約40分、人口約27万人。古き歴史を感じさせる都市、アウグスブルクに、社会的かつアーティスティックな活動をおこなっている「グランドホテル コスモポリス」があります。

「グランドホテル コスモポリス」という建物の大きな特徴の一つは、難民の日常の住まいでもあること。ここは、旅行者用のホテルとアーティストのアトリエ、難民の住居が組み合わさった、世界においても全く新しい試みの場です。

日本ではあまり馴染みのない難民ですが、ヨーロッパでは非常に多くの難民と呼ばれる人たちがいます。ドイツは難民大国であり、増加する難民の対応は大きな課題の一つです。

そのため、難民の住居とアーティストのアトリエ及び旅行者の宿泊ホテルが融合するこのホテルの取り組みは、ドイツを始め、他の難民問題を抱えるヨーロッパの国からも注目を集めています。

もともとこの建物は老人福祉施設として使用されていましたが、その後有効活用されることなく、長い間廃屋となっていました。2011年から多くのプロジェクト賛同者により、DIYでリノベーションが始まり、今年7月より、ようやく初の難民入居が開始、更に10月からは旅行者用のクリエイティブなホテルも正式オープンとなりました。ここのホテルゲストの多くは、 新聞やテレビ等でこの活動に感銘を受け、自分たちにも何かできないかという気持ちで、宿泊に訪れているようです。

また、備え付けられている家具等は多くが寄付されたものであり、ランプなどの装飾品は一見ゴミとして捨てられてしまいそうなものを、様々なアーティストたちの手によりアップサイクリングされ、アートな作品として価値あるものへと変化させています。

ロビーにはホテルレセンプション兼カフェ&バーも併設され、昼間はゆったりとコーヒー片手にくつろいだり、時に夜は音楽イベント等が催される場として、地元の人たちに親しまれています。

驚くことに、ここでの飲食の価格は決まっていません。ゲストである顧客が支払い時に自分で考え、価格を決定します。ドイツのアーティスト・社会活動家のヨーゼフ・ボイスの考えが根底にある「ソーシャル スカルプチャー(社会彫刻)」とも呼ばれる「グランドホテル コスモポリス」ならではのユニークな取り組みです。

地域の人々の社会的問題や関心事を、アーティステックなアプローチで取り組むプラットフォーム「グランドホテル コスモポリス」はまだまだ変化の途中です。しかし、人々はこの場を通じ、自分には何が出来るだろうかと考え、確実に行動し始めています。

グランドホテル コスモポリス