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水深8000mの光海底ケーブルが、世界中の人々とリアルタイムでつながる社会を支える

海外からのニュースや選手へのインタビューをリアルタイムで観ていると、以前に比べて「タイムラグ」が少なくなったことに気づきませんか? その背景には、「光海底ケーブル」の普及があります。

■"衛星中継"は今や昔!? 通信は宇宙から海底へ

野球、サッカー、テニス、ゴルフなど、スポーツが盛り上がりをみせています。テレビの番組欄には、興奮を掻き立てるように「生中継」「LIVE」といった文字が。スポーツだけでなく、ニューヨークや北京からの最新ニュースなど、今や世界中の出来事をリアルタイムで観ることもできる時代になりました。

海外からのニュースや選手へのインタビューをリアルタイムで観ていると、以前に比べて「タイムラグ」が少なくなったことに気づきませんか? その背景には、「光海底ケーブル」の普及があります。少し前までは、海の向こうの情報を受け取るには、人工衛星で電波を経由させる「衛星中継」が主流でした。しかしこの方法では、タイムラグが発生してしまったり、雨や台風など天候によって映像や音声が乱れてしまうことがありました。

現在では、衛星中継に代わり、テレビ中継や国際電話の約99%で「光海底ケーブル」が利用されています。その他にも、インターネットのストリーミング中継でスポーツの試合を観戦したり、その興奮を海外の友人たちとスマホのSNSで分かち合ったり、リアルタイムの通信が要求される金融取引などにも使われたりと、世界中の人々とリアルタイムでつながる社会を支える重要なインフラの1つが、光海底ケーブルなのです。

■富士山2つ分もの深い海底に敷設され、大量の情報を一瞬に送る

光海底ケーブルは、直径が1円玉(2cm)程度の太さで(注1)、敷設の時には漁礁やサンゴ礁などを避けるようなルートに敷かれています。日本海溝のような場所だと海底8,000メートルもの深さに敷設されることもあります。実に富士山の高さ約2つ分の深さです。

光海底ケーブルの特徴は、一度に大量の情報を送受信できることです。1本の光ファイバーで何重もの通信をできるようにした光波長増幅技術で、衛星通信と比べると1000倍も多い情報を一瞬でやり取りが可能。雨や台風など天候の影響を受けることも少なく、安定した通信を実現できます。

現在、インターネットの急速な普及により、さらに膨大な量の通信インフラが求められ、世界的に光海底ケーブルの設置が続いています。

(注1)深海に敷設される海底ケーブルは2cmほどの太さですが、浅海向けには鋼鉄の外装が施され、この2倍ほどの太さとなります。

■40年以上の海底ケーブルの技術がリアルタイムに世界をつなぐ

海底ケーブルが世界で初めて敷設されたのは、日本ではまだ江戸時代の1850年。イギリスとフランスの間に敷設され、海を越えた通信が可能になりました。日本でも1872年には日本政府によって関門海峡に海底ケーブルが設置されています。一方、世界初の光海底ケーブルが敷かれたのは1986年のこと。3年後の1989年には日米間にもケーブルが開通しました。

このような海底ケーブルの歴史に、富士通は40年以上にわたって深く関わっています。1969年、北海道の森-室蘭間を海底ケーブルで結ぶプロジェクトには、富士通の中継器が採用されました。続く1972年、富士通は、当時の西ドイツとスウェーデンとの間を結ぶプロジェクトを国際入札で受注。このプロジェクトによって、海底ケーブルの敷設はもちろん、企画から海洋調査、機器設計までを行なう総合的なシステムサプライヤーとして認知されるようになりました。

現在、光海底ケーブルを敷設する動きはアジアにも広がっています。富士通は2010年、インドネシアの5つの島々を結び、インターネットや電子商取引など暮らしと経済の発展に貢献。2013年2月19日には、シンガポールや香港などアジアの主要都市を接続する大容量光海底ケーブルシステムの建設を完了しています。

今やテレビ、電話、そしてインターネットの普及により、世界中の出来事をリアルタイムで観て、知って、共有するのが当たり前の時代になりました。それを支えているのが、世界中に張り巡らされた光海底ケーブル。富士通は、その技術で世界をつなぎ、人々がより豊かに、安心して暮らせる「ヒューマンセントリック」な社会の実現を目指していきます。

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