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「入居時にまず買うのは靴」 60歳超の精神障害者専門のグループホーム(横浜)

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音楽ボランティア「一座にし」の演奏を楽しむ入居者

60歳以上の精神障害者専門のグループホーム「おきな草」「福寿草」(横浜市保土ケ谷区)が2017年3月、同市による3カ年のモデル事業を終える。介護や医療的なケアにも対応する点が注目され、各地から視察が絶えない。高齢化した精神障害者の住まいの確保は全国的な課題であり、法制度としての対応が求められている。

看取りも対応

 

障害者総合支援法に基づく両グループホーム(GH)を運営するのは「NPO法人西区はーとの会」(三宅義子理事長、横浜市)。「在宅生活が限界に達した人が入院しなくて済むように」と始めたが、実際は精神科病院からの退院者が多い。  

入居者は車いすを使う人、胃ろうを設けた人など介護の必要な人ばかりだ。障害報酬とは別に横浜市が年間1500万円ずつ独自に助成し、看護師を含め職員は一般のGHよりも手厚い。  

定員は計16人。2014年3月の開設から今年5月末までに計19人が入居した。その平均年齢は71歳。入居後不安になり、大騒ぎした人もいる。入院歴67年の人を含む3人をGHで看取った。  

「GH入居時にまず買うのはその人の靴。ほとんどの人は靴を持っていない」と話すのは、管理者の櫻庭孝子さん(精神保健福祉士)。妄想、徘徊、転倒といったリスクのある人が多いが、リスクを理由に外出をなくすことはしない。

介護保険も利用

 

要介護5の人も多く、訪問入浴、訪問リハビリテーションなど介護保険サービスも使う。医師も診察に訪れる。2時間ごとのおむつ交換や居室の見回りは欠かせない。だからと言って、効率よく介護をこなすことを良しとはしない。  

食事介助にも時間をかける。発語のない人が好物のせんべいを食べて「硬い」と話したりすることに価値を置く。看取り期の人のベッドサイドで、ボランティアが歌ったこともある。  

「亡くなった人の衣類などの私物は家族がなかなか引き取りに来ない。面会に来る家族も少ない」と櫻庭さん。だからこそ「せめて最期だけでも人間らしく」と考える。

1・8万人の退院先  


横浜市は両ホームについて「十分やっていただいている」(障害支援課)と評価。しかし、17年度以降どのように両ホームを継続するかは未定という。  

精神科病院に1年以上入院する長期入院患者は、全国で約20万人(12年6月末)。厚生労働省は17年6月末までにこれを18%以上減らす目標を掲げ、自治体の障害福祉計画もそれに沿っている。  

それを前提とすれば、65歳以上の長期入院患者約1万8000人超の退院後の受け皿が必要になる。特に介護の必要な人の場合は、受け入れ先を探すのが極めて難しい。  

櫻庭さんは「自宅で暮らしても、見守りが途切れたら大きな事故になる。私どものようなGHは全国どこでも必要だ」と強調する。  厚生労働省は今後、GHを重度障害者向けにする方針。18年度の障害報酬改定での対応が注目される。

(2016年6月27日「福祉新聞」より転載)