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【熊本地震】県外から介護職が次々応援に 課題は支援システムづくり

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応援職員の中にはひろやす荘のベランダにあるテントで寝る人もいる

4月14日に発生した熊本地震は発災から1カ月がたつ。熊本には県外から続々と福祉の専門職が入っており、厚生労働省が全国に呼び掛けた介護職員の派遣依頼には、1200人以上が登録。現地の受け入れ体制も整い始め、マッチング作業も進む。高齢者や障害者などへの支援の課題は、応急的な措置から、どう持続的なシステムをつくるかにシフトしつつある。  

(福)福祉楽団(千葉県)や(福)生活クラブ(同)、(福)同和園(京都市)など有志の10法人で構成する「くまモン福祉支援チーム」は4月19日から、独自にローテーションを組んで介護ができる職員を送っている。(福)慈光会が運営する特別養護老人ホームひろやす荘(熊本県益城町)で、地震から1カ月で延べ280人以上が支援した。

5月7日時点で応援に来ていたのは10人。同和園の竹林明美・施設介護課長は、4日から1週間、ひろやす荘に入った。業務は職員と同様、食事や排せつの介助などだ。

シフトは午前7時~午後4時または午前10時~午後7時。食事は近くのコンビニで購入し、宿泊は施設内の一角を借りる。竹林さんは「多くの住民が避難するひろやす荘は、まさに地域のための施設。我々は黒子として側面から支援していきたい」と話す。

くまモンチームは、飯田大輔・福祉楽団理事が4月17日に熊本に支援物資を持って行った際に、ひろやす荘が混乱していると聞いたのがきっかけ。その後、ほかの法人にも支援を呼び掛け、輪が広がった。

ただ、飯田理事は「もう応急措置は必要ではなく、長期的な視点を持って、どう引き継いでいくかを考える時期だ」と話す。今後は厚労省により派遣される介護職員にスムーズに引き継いでいければと考えている。

日本介護福祉士会は4月18日から、避難所を中心に、介護の専門職を派遣している。松下能万・同会主任コーディネーターと、石本淳也・熊本県介護福祉士会長が調整役を担い、地震から1カ月で延べ200人以上を18カ所に送った。

介護の専門職ボランティアの募集は、SNSなどで非会員にも発信。「ヘルパーや以前は介護職として働いていた人など、広く集めたかった」と石本会長は語る。いずれも応募者に電話でヒアリングした上で、会員と非会員をセットで派遣するという。

5月7日に熊本学園大(熊本市)の避難所で夜勤ボランティアをした小窪紀枝さんは、老人保健施設などで10年以上働いた経験を持つ。東日本大震災の際も日介を通じて宮城県石巻市などに派遣されており、今回も「介護福祉士という専門性が役に立てば」と滋賀県から駆けつけた。

小窪さんは現在、アロマを使った介護ワークショップやセミナーなどを開催しており、避難所にもアロマを持参。「東日本大震災の時は、被災地の匂いや光景が印象に残り、自分も心に軽い傷を負った。アロマで避難者のストレスを少しでも軽減したい」と語った。

厚労省は4月22日、熊本県の福祉施設などに派遣する介護職員を全国から募集しており、登録者は5日間で1200人を超えた。同時に、全国社会福祉協議会と共に対策チームを現地でつくり、ニーズ調査などを行った。

5月9日時点で厚労省が送った介護職員は95人。岩井勝弘・厚労省福祉基盤課長は「東日本大震災の教訓を踏まえ、かなり早い段階で厚労省を中心としたシステムができつつある。今後も熊本県庁や関係団体と連携しながら、長期的な支援体制を確立したい」と話している。

現地では避難所の再編も進み、社会福祉法人による福祉避難所の運営体制が本格的に広がりつつある。

熊本県社会福祉法人経営者協議会によると、30法人以上が福祉避難所として高齢者などを受け入れる。

小笠原嘉祐・熊本県経営協会長が運営する(福)リデルライトホーム(熊本市)では、地震初日から地域の高齢者や障害者が避難して来たが、5月からはより本格的に受け入れ体制を整えた。

施設のホールを仕切り、最大で20人程度を受け入れる。そのため、10人程度の介護職員の派遣が必要だと見込む。小笠原会長は「これからは柔軟な体制で、持続的に支援することが必要になる。まずはロールモデルをつくりたい」と話している。

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リデルライトホームは福祉避難所の役割を果たしている

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(2016年5月16日「福祉新聞」より転載)