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措置入院解除後の支援「ルールあり」8自治体だけ 相模原事件で厚労省が調査

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神奈川県立の障害者支援施設「津久井やまゆり園」(相模原市)で7月に発生した殺傷事件を踏まえた厚生労働省による調査の結果、措置入院患者の退院後の支援を「ルールに基づいて実施している」とした都道府県・政令市は8自治体(約12%)にとどまることが13日、分かった。厚労省は措置入院解除後のフォローを制度化する方向で議論しているが、医療や福祉の関係団体からは、警察や司法の在り方にも目を向けるよう求める声が上がっている。

全国67の都道府県・政令市を対象に、今年8月1日時点の状況を調査したところ、3自治体(約4・5%)は「実施していない」と回答。残る約8割は「ルールはないが必要に応じて実施している」と回答した。調査結果は13日、事件の再発防止策を検討する厚労省のチームの会合で報告された。

「ルールあり」とした8自治体は宮城県、神奈川県、兵庫県、広島県、千葉市、相模原市、浜松市、福岡市。警察との情報共有をルール化していた自治体はない。患者が引っ越した際の情報引き継ぎを定めていたのは兵庫県だけだった。

津久井やまゆり園の入所者を殺傷した植松聖容疑者は今年2月19 日から3月2日まで相模原市長の命令で措置入院し、退院後は通院が途絶えた。同市の指針ではフォローの対象から外れていた。

容疑者の退院時に医師が書いた「症状消退届」に、その後の支援について意見が記載されていなかったことも判明している。そこで厚労省は意見記載の実態も調査した。

対象とした691件のうち、通院治療とされたケースの2割、その他のケースの5割で記載がなく、記載があっても「(支援の)必要なし」となっているものが多かった=グラフ参照。

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厚労省の検討チームが9月14日にまとめた中間報告は、措置入院中と措置解除後の病院・相模原市の対応が不十分だったと指摘。再発防止策として、入院中から措置解除後まで患者が継続した支援を受けられるよう「制度的な対応」が不可欠だと提案した。

一方、事件前の警察の対応に注目すべきだとする意見もある。

検討チーム委員の田中正博・全国手をつなぐ育成会連合会統括は、同日の会合に意見書を提出。「容疑者が予告通り凶行に及んだ点について、警察及び行政の対応に問題がなかったのか検証する必要があるのではないか」と主張した。

日本精神科病院協会(山崎學会長)も6日、相模原事件の再発防止策を議論する公明党のプロジェクトチームの会合で「この事件を医療モデルのみで見てほしくない。警察や司法も連携して取り組む仕組みが必要だ」と意見を述べた。

神奈川県議会や、県が設置した第3者による検証委員会でも、事件発生までの県警の対応を疑問視する声が上がっている。

(2016年10月24日「福祉新聞」より転載)