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創業理念を重視  ディズニー流人材育成とは

2014年12月05日 16時12分 JST | 更新 2015年01月30日 19時12分 JST

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講師の清水さんと目時さん(左から)

年間来場者3000万人を誇る東京ディズニーリゾート(千葉県浦安市舞浜)を運営する㈱オリエンタルランドが企業・団体向けに行う研修事業で、福祉分野の受講生が増えている。テーマパークで働く2万人もの従業員が提供する"おもてなし"の心を学び、現場でも役立ててもらうのが狙いだ。ディズニー流人材育成のコツ。それは創業理念の浸透にあるという。

■講師は現役キャスト

 「ディズニーのおもてなしにマニュアルはありません」ーー。

 10月下旬、東京ディズニーシー・ホテルミラコスタでは、高齢・障害・子ども分野で働く約70人が、真剣にメモをとっていた。このディズニーアカデミーは、テーマパークで培ったノウハウを団体向けに公開するもの。講師は、海底2万マイルというアトラクションで働く目時麻希さんと、採用などを担当する清水純代さんが務めた。

 清水さんが参加者に語りかける。

 「ウォルト・ディズニーがテーマパークを作ったのは、娘が幼いころに一緒に楽しむ場所がなかったからでした。ファミリーエンターテイメントこそが基本コンセプトなんです」。

 ウォルトは、世界初の長編カラーアニメーション映画を作った経験から、「冒険」「歴史」「未来」などのテーマが国境や世代を越えて共感を得ると確信。パーク内はそんなテーマごとのショーを体験できるよう設計されている。そのため、来場者を「ゲスト」(観客)、スタッフを「キャスト」(役者)と呼ぶ。

 清水さんは「新人キャストが創業者の思いを学ぶことをとても重視しています。皆様の職場にも、創業者理念があるのではないでしょうか」と話した。

■シンプルな規準

 現在、パークで働くキャストは約2万人で、うち9割がパートアルバイト。そうしたキャストの行動にマニュアルはないという。

 「我々の行動はシンプルな四つの規準に基づいています」と目時さんが紹介する。それは優先度が高い順に以下の通りだという。

(1)安全を優先する「Safety」(安全)

(2)相手の立場にたって行動する「Courtesy」(礼儀正しさ)

(3)役割を意識する「Show」(ショー)

(4)ゲストの大切な時間を守るための「Efficiency」(効率)

 講師の2人は行動規準について失敗談を絡めながら説明。事例を想定したグループワークも織り交ぜた。清水さんは「何も特別なことはありません。どのゲストもVIPで迎えたいという思いの積み重ねです」と語った。

■働く仲間を大切に

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研修会場のようす(イメージ)

とはいえ、高い意識を持つ人材養成をどうしているのか。

 パークで働くまでには、導入時の一斉研修、部署ごとの座学、現場での実地研修の3段階があるという。いずれも講師は現役のキャストが担う。しかし清水さんは「繰り返し研修すれば良いわけではありません」と言う。

 採用の面接会場で、音楽や内装などパークの雰囲気を出す。研修でも講師はゲストと同じように新人キャストに接する。「キャストを取り巻く環境のすべてが育成につながります」(清水さん)。

 そうした雰囲気は採用後も続く。閉園時のパーク内でのレクリエーションや、キャスト同士の投票で表彰する制度を実施。互いに認め合う仕組みが、働くモチベーションの維持につながるという。

 目時さんは「ゲストの心を動かすために、何より働く仲間を大切にする。そんなウォルトの思いは今も私たちの中に息づいています」と語った。

■年500団体が受講

 2時間にわたるセミナーが終わると、参加者らはパークへ移動。実際の現場を解説付きで学んだ。

 セミナー受講後、高齢者施設で働いて3年目という介護職の女性は「ディズニーのサービスの考え方は想像以上だった。最近初心を忘れがちだったので、多くのことを吸収できた」と感想を漏らした。また、障害者施設で働く中堅職員の女性は「四つの行動規準はそのまま現場で活用できるかも」と話していた。

 同社はアカデミー事業を2005年度から開始。13年度は500団体以上が受講しており、うち医療・福祉分野が約1割を占める。今回のような研修のほかにも、教育方法やリーダーシップ論など人材育成を詳しく学ぶ幹部職員向けのセミナーもあるという。

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