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ソフトバンク柳田悠岐が覚醒の予感 和製大砲を好調へと導くある"変化"

2014年07月06日 20時17分 JST | 更新 2014年09月05日 18時12分 JST
時事通信社

ソフトバンクの柳田悠岐が覚醒の予感を漂わせている。29日の西武戦を終えた時点で、打率3割3分6厘。オフの自主トレを共に行うオリックス・糸井嘉男に次ぐリーグ2位につけている。9本塁打はリーグ10位タイだが、42打点は4位。打撃3部門で上位につけているのだ。

 

 

■覚醒の予感を漂わせる和製大砲

 驚弾が飛んだ。6月28日の西武戦。ソフトバンクの柳田悠岐が放った打球は力強い放物線になった。1ボールからの2球目をフルスイングすると、白球はセンターバックスクリーン右、右翼芝生席を遙かに越えて、場外へと消えていった。「完璧でした。しっかり振り抜けた」という推定飛距離140メートルの特大弾には、ホークス期待の和製大砲の魅力が詰まっていた。

 広島出身の25歳は、地元の広島商業高、広島経済大を経て、2010年のドラフト2位でソフトバンク入り。類い希なる身体能力を持ち、プロ2年目の2012年に68試合に出場して5本塁打を放つと、翌年には、さらに出場機会を増やし、104試合で298打数88安打11本塁打、打率2割7分5厘。主力の1人として期待されて迎えた今季だった。

 そんな大砲が、覚醒の予感を漂わせている。

 29日の西武戦を終えた時点で、打率3割3分6厘。オフの自主トレを共に行うオリックス・糸井嘉男に次ぐリーグ2位につけている。9本塁打はリーグ10位タイだが、42打点は4位。打撃3部門で上位につけているのだ。

 指導する藤本博史打撃コーチからは「ゴミか、天才」と評される柳田。その言葉通り、ツボにはまれば、凄まじい打球を飛ばす一方で、首を傾げたくなるような凡退を繰り返す浮き沈みが激しいタイプだった。

 ところが、だ。5月20日から始まった交流戦では、12球団で2位の打率3割7分1厘をマーク。24試合で、無安打は6試合あるが、それらの試合でも四球などできっちり出塁しており、19四球、出塁率4割8分2厘は両リーグ通じてトップだった。

 確実性と安定感が増した打撃には、ある「きっかけ」があった。

 

 

■"目付け"を変えたことで打撃が上昇カーブを描く

 今季序盤、背番号44は藤本コーチの言葉を借りれば、まさに「ゴミ」だった。開幕戦(対ロッテ)こそ3安打1本塁打したが、そこから6試合連続で音無し。4月8日の西武戦(西武ドーム)までの10試合で実に8試合で安打がなく、打率は1割6分1厘まで落ち込んでいた。打順は9番になっていた。不振を脱却するため、このときの西武3連戦中に、柳田はある変化を自らに加えた。

「詳しくは言いたくはないんですけど......」

 そう前置きした上で「自分の中での目付けですね、投手が投げたときのイメージを変えました。ボール球に手を出していたので。それが交流戦くらいから出来てきました」と明かした。打者のいう"目付け"とは、投手のリリースを見て、どう球筋をイメージするか、や、打席でどのコースに意識を置くか、という時に使われる。

 この目付けを変えたことで、打撃が上昇カーブを描きはじめた。前述の打率はもちろん、開幕10試合で12三振と、1試合平均1・2個喫していた三振の数は、交流戦24試合で23三振と0・95個に減少。全38四球のうち、半分を交流戦で稼いでいることからも、「ボール球を振る確率が減った」と感じる打撃の変化が伺える。

 現状の打撃内容について「めっちゃ良いというわけではないです。どん底ではないですけど。まだまだという感じはしています」と、納得はしていない。破壊的なパワーを持ちながら、9本塁打は物足りない数字であるし、「もっと1発で仕留められるようにしたい」という言葉に、まだまだ成長の余地を感じさせられる。まだ、未完の大器である。彼自身が納得する打撃を身につければ、全国の野球ファンが胸を躍らせるスラッガーになれる――。そんな期待感を抱かずにはいられない。

 

 

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(2014年6月30日「フルカウント」より転載)