昼時のファミレスに見る資産効果

地元でちょっとした打ち合わせをする時、ファミレスでランチを取りながら行うことがある。そこでは、とても混雑していることに驚く。
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地元でちょっとした打ち合わせをする時、ファミレスでランチを取りながら行うことがある。そこでは、とても混雑していることに驚く。もちろん、地域によって様子は異なるのだろうが、東京近郊にあるわが街のファミレス、あくまでも私が見た感覚ながら、以前に比べて混雑度が増しているのだ。

少し詳しく記すと、店によって客層が異なる。具体的な店名を挙げれば、比較的価格帯が安く洋食系のガストやサイゼリヤなどは、若い世代の主婦(子連れも目立つ)や学生、価格帯が高めで和食系の華屋与兵衛は高齢者が中心だ。いずれも共通するのは混んでいることで、人気ラーメン店ではないが行列をなす例もある。

手軽に利用できて、長い時間いても文句を言われることもない。ゆえに、以前から主婦らの"語らいの場"になっているとの指摘もあった。ゆえに、価格帯の安い店は、変化とは言えないかもしれない。ところが、ランチタイムの低廉なメニューでも、安い値段とは言えない高価格帯の店が混雑しているというのは、ちょっとした変化と感じる。

飲食関係だけではなく、どんなお店でもお客が増えれば、「景気が良くなった」のひと言で片づけられることが多い。しかし、高齢者が押し寄せるファミレスは、単純にそうは言い切れないだろう。

なぜなら、多くは現役をリタイヤして年金生活を送っていると思われ、その定期的な可処分所得が景気によって変動することはないからである。選挙の話で言えば、景気回復を訴えたところで、収入が変わる訳ではないので、投票の要因として直接的には響かない。単にヒマというのであれば、以前から混雑しているはずなのだ。

定期的な可処分所得が増えなければ、本来なら節約を第一にすると思われるのだが、そうとは思えないファミレスの客が増えているのは、別の理由があるからだろう。今、考えられるのは株式市場の活況により、値上がり益、配当金などが増える、いわば"資産効果"が末端まで浸透してきたとみることが可能ではなかろうか。

株価が上昇すると、マーケット関係者の間で論じられる資産効果は、たとえば、百貨店の年4回の決算において、高級品の売れ具合などがチェックされ、それが指標として扱われる。ただ、これでは一部のお金持ちに限ってとなり、経済全般としては身近なデータが欲しいと思っていた。

あくまでも、綿密なデータからではない私個人の体感的なものながら、株高による資産効果はジワリ浸透しているのでは──そう、昼時のファミレスの光景を見て感じた次第である。

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