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日本経済は捨てたもんじゃない・・株式時価総額が過去最高

2015年05月25日 00時13分 JST
mjaniec/Flickr

最近、株に関する原稿を書く機会が増えているので、日々のマーケットを観察している中、筆者の目から見てメガトン級のニュースが飛び出した。東京証券取引所第1部市場のNTTなど政府保有分を除いた時価総額が、バブル絶頂期の1989年末に記録した590兆円を超えたというのがそれ。日経平均が15年ぶりに2万円を回復した時も注目されたものの、比べものにならないほど大きなニュースだと思っている。

まず、日経平均という株価指数についてだが、株式について詳しくない方のために簡単に記すと、東証1部市場の銘柄のうち225銘柄を抽出して単純平均して計算したもの。1949年から算出されており、その推移は日本の株式市場の歴史そのものと言える。しかし、2000年4月に銘柄の大幅入れ替えが実施された経緯があり、継続性について疑問に思う向きが多い。

一方、我が国には日経平均と並ぶ代表的な株価指数、TOPIX(東証株価指数)もある。こちらは、時価総額をもとに算出しており、より市場の実態に近い指数との見方がなされるが、バブル当時に比べて全体の発行株式総数、銘柄数が増加しており、日々のマーケットの動きをより実態に即していながらも、25年前と今を比較する意味においては、的確とは言い難いだろう。

発行株式数と銘柄数という点で述べれば、25年前の株式市場には、個人投資家から絶大な人気を誇るソフトバンクや、高株価であるがゆえに単純平均で算出する日経平均の値を振れやすくするファーストリテイリングも上場していなかった。さらに、IT産業なるものも当時は存在しておらず(ビジネスとしてあっても産業としての括りは無かった)など、産業構造も変化しており、過去との比較において見た目の数字だけで語ってはならないと思うのである。

投資家は言うまでもなく、政治家、企業関係者、さらには、税収にも影響するため官僚などが、株価に一喜一憂するのは当然だろう。しかし、国の富という観点では、どれだけの資金を市場に呼び込んだかが重要であり、その意味で時価総額が最高になったというニュースは日本経済をマクロで語る上で注目すべきなのだ。

この25年間の我が国GDPの推移をみると、名目が416兆円→500兆円に、実質が402兆→532兆円にそれぞれ増加。これらを踏まえると、時価総額が過去最高となったことについて違和感はない。むしろ、GDP対比で言えば、これまでの日本株の水準は安過ぎたとみることも出来よう。

日銀がETF(指数連動型投信)を購入している、海外機関投資家の保有が増えるなど当時と資本構成が異なる、或いは体感的な経済の感覚で庶民の生活が楽になっていない──等々の事象から、見方に異論はあるだろう。

しかし、国の富を示す目安が過去最高の水準に戻ったというのは事実である。そこから日本経済も「そんなに捨てたもんじゃない」・・そう受け止めてもいいのではないか。