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「事業費280億円」の施設建設計画

2014年02月17日 17時41分 JST | 更新 2014年04月18日 18時12分 JST

先日、TBSの「噂の!東京マガジン」に出演してコメントしたが、短い時間で伝えきれない部分もあったので、改めて記すことにした。

コメントしたテーマは「無謀!競馬場跡に280億円の超巨大施設計画」で、群馬県が2004年に廃止した高崎競馬場の跡地約10.8haにコンベンション施設の計画を策定していることについて是非を問うもの。

番組では建設に反対する住民の声を拾い、その中で私は、コンベンション施設として先輩格にあたる千葉の幕張メッセの現状を踏まえ、意見を述べたのである。事は群馬県に関わることで、部外者である私はどうこう言う立場ではないため、番組内で幕張メッセについて客観的に述べるにとどめたことを付け加えておく。

競馬場跡地に建設が予定されているコンベンション施設は、計画で年間利用者数を106万9000人と見込む。その投資額は280億年を予定し、初年度の経済効果は建設に伴う直接効果280億円も含め650億円に達するという。事業はPFI方式を採用する。

反対する住民の声にもあったものの、まず年間106万9000人は年間稼働日数を300日として、必要な来場者数は1日あたり3000人。果たして、高崎という地の利、首都圏には幕張メッセのほか、東京ビッグサイト、パシフィコ横浜などライバルがしのぎを削る中で、それだけの集客ができるのかという疑問が生じるだろう。

そこまで、人が集まらなくても、事業だけなら黒字を計上できるかもしれない。群馬県がまとめた整備基本計画の中でも、幕張メッセほか類似施設について運営は黒字と明記、それも事業遂行の拠り所の1つとなっている。

しかし、事業と言うのは運営だけ黒字になれば良いというものではない。たとえば、企業の決算を評価する場合、本業だけではなく、営業外の経費、税金なども合わせて判断を下すのが一般的だ。それを当てはめれば、本業の展示場による収益だけではなく、建設に要した借入金やその後発生する利息等も合わせた、トータルの収支をみるべきだろう。

幕張メッセも本業の部分だけなら、黒字を計上している。ところが、建設費用など過去のツケでもある公債費などを含めれば、赤字になってしまうのだ。これまで千葉県と千葉市で合わせて累計で369億円を投入した経緯がある。事業全体として捉えれば、決して胸を張れる状況とは言えないだろう。

番組でも述べたが、この手の事業は赤字だから悪いと言い切れない。千葉県は、建設費や事業の運営状況だけではなく、内外から人が集まり活性化している点や、地域への経済効果なども合わせて判断すべきとしている。その点は確かだと思う。

ただ、地域の経済効果について指摘すると、幕張メッセの場合、ちばぎん総合研究所が2006年にまとめた調査で経済波及効果は国内全体で3614億円、このうち千葉県内に限ると970億円にとどまる。効果はあるとみることができながらも、その割合は、東京ビッグサイトが60%、パシフィコ横浜は36%と、地域への寄与度として幕張メッセの25%は見劣りしてしまう。

それなりの額はあるとは言え、経済効果の4分の3が県外に逃げてしまっている現状に関して「官費投入を理解して欲しい」という県当局の声は、果たして県民はどこまで納得するであろうか。税金を投入するのなら大義名分が必要であり、住民が納得するだけの裏付けが欲しい。

地域を活性化するための施策を・・・という気持ちはわかるし、部外者であるため、群馬県の計画に対して直接の論評は避けるものの、「事業計画の前提となる見通しは、本当に大丈夫なのか?」と疑問を抱いている。

幕張メッセ、東京ビッグサイト、パシフィコ横浜はいずれも海に面しており、搬送などの利便性は十分なのに対して、内陸部では人が集まってもモノを運ぶ不利は否めない。そんな場所でモーターショーなど開催できるのか・・・何が開催できるといった視点が欠けているような気がしてならず、これ1つとっても不安に感じるのだ。