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共働き家庭が幸せそうには見えていないという話

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サザエさん、ちびまるこちゃん、クレヨンしんちゃん
いずれも日本人なら誰でも知っている国民的なアニメです。これらのアニメに共通しているのは、どれも積極的に「家族の姿」を描いたアニメだということと、そこに登場する母親がすべて専業主婦だということです。

残念ながら母親が専業主婦ではない「新しい家庭の姿」を描いた国民的アニメはまだ存在しません。その理由は、「共働き家庭の幸せな家庭像」が今のところ存在しないからです。誰もが羨ましく感じる「幸せいっぱいの典型的な共働き家庭の姿」をまだ誰も知らないから描くことができないわけです。
 

現代の日本人の多くが思う共働き家庭の完成形というと、おそらくそれは欧米型の家庭の姿なのではないでしょうか。

父親と母親の両方が働き、消費税が高いかわりに出産や育児への給付は厚く、性別に関わらず育児休暇を取得し複数の子供を産む、子供は学校に入る前からプレスクールにあずける。欧米型のシステムでは、すべての人が性差なく働きプレスクールで働く人達の雇用も創出されるわけです。

確かにシステマティックではありますが、このやり方には重大な欠陥がふたつあります。

ひとつめは、人間はシステムに組み込まれる機械ではなく感情のある存在だということです。それでなくても余暇を過ごすのが苦手な日本人がこのようなシステムを取り入れてしまうと、それこそ24時間365日機械のように決められたタイムスケジュール通りに生活することになってしまいかねません。そんな生活を幸せな生活だと感じることができるでしょうか?当然のことですが、誰もが辛いなぁしんどいなぁと感じるような社会にしてしまうべきではありません。少しでも多くの人が幸せだなぁと感じられるような社会を築かなくてはいけません。

ふたつめは、このやりかたでは全員が同じライフスタイルを強要されてしまうということです。専業主婦になりたい人には嫌々働くか罪悪感を感じながら専業主婦になるかの選択肢しかありませんし、子供を作りたくない人は他人の子供のために使われる税金を一方的に負担し続けるか国外に移住するかくらいしか選択肢がありません。北欧には専業主婦率が2%の国があり、そこでは専業主婦は仕事に就けないレベルの低い人と見られて肩身の狭い思いをするそうです。共働き家庭を幸せそうだと思っていない人にまでその生き方を強要する社会は、人を幸せにする社会ではありません。
 

男が働いて家族を養い女が家事や育児をしなくてはいけないという世の中が前時代的で息苦しいことは間違いありませんが、全員が子供を預けて働き続けなくてはいけないという世の中も同じくらい息苦しいのではないでしょうか。(他にどういう家庭の形がありえるのかという話は長くなるのでここではふれません。電子書籍「愛というストレス、幸せという強迫」の中でその話にふれていますので興味のある方はどうぞ)
 

多くの人が幸せだと感じられる社会にするためには選択肢の多い社会を築くべきです。すべての日本人が同じ価値観を共有して生きていくことは不可能なことですし、それを強要される社会は生きづらい世界です。いろんな人がいていろんな生き方を選べる社会の方が、より多くの人が幸せに暮らすことができるのではないでしょうか。
 

一生を一人の異性と添いとげるべきだと思っている人と、結婚せずに子供をつくっても問題はないし子供がいても新しい恋愛は必要だと思っている人の両方が納得する共通のルールなどありません。給与はゆっくり少しずつ上昇するだけでいいから同じ職場で安定して雇用されていたいと考える人と、いきなり解雇されてもいいからより高く評価してくれる所に何度でも転職したいと考えている人の両方が納得する共通のルールなどつくれません。のんびりとおだやかな生活ができればそれでいいと思っている人と、努力を重ねて日々自分の価値を高めていきたいと思っている人の両方が納得する共通のルールも存在しません。

ひとつのルールをすべての日本人に強要することは人々を幸せにはしません。様々な価値観を持った人々が、それぞれ希望通りに生きていくためには複数のルールが必要になります。複数のルールを同時に機能させるにはどうすればよいのか、というところから新しい社会の姿をデザインしていかなくてはならないわけです。

さて、あなたはどう思いますか?

ふとい眼鏡の電子書籍

愛というストレス、幸せという強迫」(アマゾン Kindleストア)

(2014年7月15日「誰かが言わねば」より転載)

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