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勝部元気 Headshot

進まない待機児童解消の裏にある「男性のための女性活躍」

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3月19日に行われるイベント「女性の「自分らしさ」と「生きやすさ」を考えるクロストーク」(朝日新聞社WEBRONZA主催)の開催にあたって行われた「Change.org」の武村若葉さんとの事前対談について、これまで3回(第1回第2回第3回)に渡って書いてきました。最終回の今回は女性活躍社会や保活を中心に話が展開して行きます。

武村若葉(以下武)「志摩市公認の萌え海女キャラ「碧志摩メグ」は、Changeで反対のキャンペーンと同時に擁護するキャンペーンも二個ぐらい立ち上がりました。萌えキャラが好きな人たちは自分たちの好きなものが表現規制されていると感じる人が多いみたいです。でも、反対の署名をしている人たちも、必ずしもオタク文化とか表現を無くなれと言っているわけはなくて、自治体が採用することが問題だと言っているのに」

勝部元気(以下勝)「それは本当によくあります。修飾語句がぶっとばされて理解されちゃうんですよね」

「性的なものがダメなのではなくて、性差別的なものや性暴力的なものに対して声をあげているのに、エロ全滅しようとしているのかと捉えられる」

「それは女性に関する問題やジェンダーに関する問題に限らず、社会問題全般に言えることでしょうね。何か小泉劇場を見ているみたいです。郵政民営化に賛成か反対か、ワンフレーズポリティックスしか理解されないみたいな」

「政治でいうと一番モヤモヤしているのは、「女性が輝く社会」「一億総活躍社会」だと思います」

「イメージ自体は従来男女共同参画社会を目指す人たちが使ってきたものだけど、それをまさかの安倍さんが使い出したということにはビックリしました」

「SEALDsの女性隊員の記事で、「女性活躍社会という枕言葉の中には、きっと男性のために女性は輝いて、男性のために女性活躍してねと言いたいとしか感じられない」と書いてあるものがあって、とても共感したんです」

「結局は、男性優位社会は変えないけれどその中で精一杯頑張って、ということですよね」

「そう思っていないとしたらこれだけ保育園が整備されず、これだけ待機児童が溢れて、保育園落ちた日本死ねというブログが国会で扱われるほど拡散されても、心を痛めるみたいなフォローコメントを出すだけで、「本当にあったことか確認しようがない」とか、そんなこと言うはずがないんですよ」

「首相、そんなこと言っていましたね。あれは本当に耳を疑いました。周りには悲痛な叫びをしている人がいるので、久々に怒りを覚えましたね。「誰が言っているのか!」という野次が与党議員から飛んでいましたが、誰がとかではなくて、みんな当たり前に言っていることです。それだけ実感が無く、他人事でしか無いのだと感じた人も少なくなかったはずです。結局は女性の社会進出が進めばGDPが6%増えるとか、高齢化で生産人口が減って女性を参画してもらわないと労働力不足に陥ると言われているから女性活躍と言っているに過ぎないと多くの人が分かっていますよね」

「経済活動のハードルが性別によって変わらない形になる世の中が良いはずなんですけど、現在の対策はそこに向かった施策ではないですよね」

「でもチャンスと言えばチャンスである部分もあるので、真意を分かった上でうまく流れを掴むことが出来れば良いかなと個人的には感じています」

「なるほど」

「そもそもの問題としては、政治を語れない日本人が多いように思います。個別の政治家に対する批判はできても、自分の価値観に根差したビジョンに欠けているんですよね。教育に問題があると思うので、欠けている本人を責めるつもりは一切無いですが、どのような社会を理想としているかという自分軸が無い。そうなると価値判断基準が経済的尺度しか無くなります。

経済的価値観も確かに大事ですが、高度経済成長期に日本人はエコノミックアニマルと言われていたように、物事についてそれでしか考えられないとGDPが上がるかどうかでしか判断できなくなるし、そういう判断ができることにしか関心が行かなくなります。だからハリボテの女性活躍社会が男性優位社会の文脈の中で語られるという奇妙な構図が生まれているわけですね」

「視点が狭いですよね。男性も女性もシームレスにしたほうが良いと思うのです。たとえば男性は100人いたら100人がそのまま働き続けられるのに、女性はそうではありません」

「女性は第一子出産後にはおよそ30%しか同じ職場に残っていませんからね」

「経済的価値観で考えたとしても、経済活動を引き続き行う女性は30人しかいなくて、70人は機会損失になっているわけじゃないですか。その70人が辞めずに経済活動にアドオンされたままであれば、それって既得権益じゃなくて全体利益の拡大だと思うんですけど」

「全体利益で考えると女性の社会参画が進むほうが全体のパイは大きくなるんでしょうけれど、個人単位で見ると、中には不利益を被る人もいるかもしれません。ポストを争う人数が単純に70%増になるわけですからね。全体最適だけれども部分最適ではない、いわゆる「合成の誤謬」に陥っている問題だと言えます」

「えー、でも自由競争にさらされたら仕方ないじゃないですか」

「いや、まさしくその通りなんですけれども...結局は理論ではなく感情の問題なのでしょう」

今回のイベント申込みに関して実施しているアンケートの1つ目にもありましたが、やはり結婚・子育て・保活・育休関連のところが一番気になっていますね。私自身が絶賛体験中なので。女性のほうが、ライフステージが変わるごとに意識が高まって行くと前回言いましたが、男性もそうだと思うんですけど...子供できたらそう思わないのですか?」

「いやぁ、本当にそうと思うんですけど、残念ながら人によりますよね。そして残念ながらそう感じる男性はあまり多くないです」

「物理的な障壁が無いからなんでしょうか」

「実際、家事育児を妻に任せていますという人だと大して障害なく、ただ稼げば良いと考えることもできてしまうので、なかなかそのような問題を感じる場面は少ないわけですね。でも子育てにコミットしている人だと問題を目の当たりにして、子育て・保活・育休の社会問題に強い問題意識を感じることはあるでしょう。ですから、子育てにコミットしているかしていないか、その差は大きいでしょうね」

「そういえば、『保育園落ちた日本死ね』を機に開始されたChangeのキャンペーン、勝部さんも塩崎厚生労働大臣への署名提出に同行して頂きましたが、その節はありがとうございました」

「こちらこそ大変世話になりました。やはり首相の対応や野次で垣間見えた「現実の過酷さが全然分かってない」ということに、絶望感と憤りを覚えた人は少なくなかったと思うのです」

「それから、今回のイベントの事前質問の3つ目で、女性の人生を変えるのに貢献したものはなんですかというのがあるじゃないですか。社会全体を変えるような規模のブレイクスルーではないんですが、細かいものだとたくさんあると思っていて、その一つが痴漢対策バッジだと思います」

「ありましたね。最近だと男性用もできたようで、先日早速購入してきましたよ」

「女性用のは女子高生がお母さんと一緒にクラウドファンディングしたんですよ。そのようにプラスを作って行くというアクションを一人一人がやっていくということが問題の理解を深めると思いますし、世の中を生きやすいものにしていくということだと思うので、変えようとするアクションを一人一人が起こせたら良いですね」

「Change.orgでも、社会起業家の駒崎弘樹さんらがひとり親家庭に支給する児童扶養手当の2人目加算額の引き上げの署名を呼びかけて、官房長官に提出されて閣議決定に至るなど、実際の政策を動かしたケースもありましたね」

「Change.orgもそのようなアクションが行えるプラットフォームの一つとして発展できれば良いなと感じています」

「まだまだ話し足りないことはあるかと思いますので、続きは3月19日にイベントの来場者の方々も交えながら、色々と話してみたいと思います。是非たくさんの方々に足を運んで頂きたいですね。今日はありがとうございました」

「ありがとうございました」
 
(おわり)

 
「女性の「自分らしさ」と「生きやすさ」を考えるクロストーク」概要

●日時:3月19日(土) 14時~ (開場13時30分) *終了は16時の予定です

●会場:朝日新聞メディアラボ渋谷分室
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6丁目19?21 ホルツ細川ビル4階(明治通り沿い。JR渋谷駅、地下鉄渋谷駅から徒歩5分。地下鉄ですと13番出口が便利です)
地図 http://goo.gl/wZ5ZQL
*ベビーカー可。託児所はありませんが、畳敷き(3畳ほど)、絨毯のスペースはあります。
*飲みものが必要な方はご持参ください。
*館内は禁煙です。

●参加料:無料

●申し込み:  http://t.asahi.com/womanlife までアクセスしていただき、お申し込み下さい。
*必要事項とアンケートにお答えください。当日の参考にさせていただきます。
*応募多数の場合は抽選のうえ、当選された方にのみお知らせします。
*当日のトークを踏まえて、後日、WEBRONZAとハフィントンポスト日本版で関連記事を配信する予定です。

●主催:朝日新聞社 WEBRONZA
http://webronza.asahi.com/

●問い合わせ先 WEBRONZA編集部
webronza-m@asahi.com

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