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政府が民間経営を差配する恐るべき事態――リスクにさらされる年金

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国民の年金がいま大きなリスクに晒されている。10月31日、ついに厚生労働大臣が、GPIFの中期計画を認可し、国民の財産である年金を株式に大きく投入されることが決まった。株価は大きく上昇した。

前回も書いたが、この問題がいかに大きな問題なのか、少し別の観点から追っていきたい。次の図を見てほしい。

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これは、厚生労働省の資料だが、注目すべきは、一番左のアメリカの社会保障信託基金である。資産残高291兆円、世界最大の公的年金だが、その運用は、全て非市場性の米国政府証券で行われている。

一昨日の予算委員会でそのことを指摘したところ、塩崎大臣は「アメリカは国債で全て運用しているというのは全くの間違い」と回答した。しかし、厚生労働省資料には「全額、いつでも額面で償還できる特別の非市場性国債で運用」と記されており、塩崎大臣の回答はほとんど言いがかりであるが、ある意味で、政権側の急所を突いたともいえなくない。

厚生労働省の資料に戻る。アメリカが株式に投資しない理由が記されており、「連邦政府による私企業への政治的介入の懸念」とある。塩崎大臣は、大臣着任前のブログで「GPIF改革が、その投資先企業との建設的対話や議決権行使を通じてコーポレートガバナンスや企業業績に大きな影響を与え得る」と述べており、まさに逆のことを述べている。政府が民間経営を差配するという、恐るべき事態につながりかねない。

また、他のアメリカ政府の資料には、公的年金によって市場への影響があってはならないとも記されており、この点も我が国と異なっている。

年金の問題は、様々な要素を慎重にも慎重に考えて、民主主義国家として国民の信認の上に成立するものである。しかしながら、私は、安倍政権のこのような姿勢が、戦時中の国家資本主義的なものではないかと極めて危惧している。

戦後の我が国は、健全な資本主義の進展が民主主義に寄与する形で世界の大国の一つとなった。年金問題から透けて見える安倍政権のスタンスが、このような我が国の民主主義に傷をつけることがないよう、厳しく監視していきたい。