BLOG

電波をめぐる見苦しい争い――オークション導入で岩盤規制を突破すべき

2014年04月24日 20時54分 JST | 更新 2014年06月23日 18時12分 JST

移動通信と光ファイバー回線をセット契約すると割引される仕組みがある。「auひかり」がその典型で、KDDIはテレビCMを流して勧誘に努めている。一方、NTTグループには同様のセット割がないが、これを認めるかどうかについて総務省で議論が行われている。KDDIやソフトバンクはNTTの独占力が強まることを懸念し反対しており、結論は見えていない。

なぜ、このようなサービスが必要なのだろうか。情報通信統計データベースを見れば事情が分かる。光ファイバー回線の契約数は、2013年12月時点で総計2502万であり、1年前の2355万からあまり伸びていない。一方で、無線系のブロードバンド契約者数は急増の一途である。中でも、LTE加入者数は昨年末で3876万と、1年前1363万の三倍増。加入者の急増に応えるために設備増強に努めているが、それにも限界があるので、WiFi経由で光回線にトラフィックを回すオフロードを移動通信事業者は進めたい。一方、光回線事業者にとっては、伸び悩みを突破する切り札である。

オフロードは一時しのぎだから、移動通信事業者は電波の追加配分も求めている。日経電子版は「まだあったお宝電波 iPhone6にらみ争奪戦」と報じた。地方のCATVのブロードバンド事業用として、地域WiMAXに配分している2.5ギガヘルツ帯はほとんど使われていないから、移動通信に回すべきと移動通信事業者が主張しているという内容であった。未使用で放置するよりも国民経済にはプラスだが、最初の配分も再配分もタダで実施されることは大疑問だ。CATV事業者が地域WiMAXに動かないのは、タダで電波を手に入れたので真剣になれないからではないか。iPhone6で大きな利益が転がり込むはずの移動通信事業者が、国民の共有資産である電波をタダで手に入れてよいのだろうか。しかも記事には、系列会社の名前で手に入れようとしているとある。

このほかにも、700メガヘルツ帯の電波がイー・アクセスからソフトバンクへ、そしてヤフーへと、企業の都合だけで回されるという事態も起きている。総務省の電波政策ビジョン懇談会で委員を務める吉川尚宏氏は「政府がオークションを導入しなかったがゆえに、電波の転売が安易に行われ、電波の経済価値の大きさが逆にクローズアップされるという皮肉な事態を招いている。」と、この様子を痛烈に批判している

衆議院総務委員会では電波法改正案が4月3日に審議され、議事録が公開された。新藤総務大臣の答弁「電波政策ビジョン懇でありますとか、また、新たな電波の割り当て方式の影響、分析等に関する調査研究ですとか、さまざまな研究はしていくべきだ、私はこのように思っております。しかし、現行におきましては、直ちに周波数オークションを導入するということは考えておりません。」にある通り、政府はまったく動いていない。そこで、民主党は、電波オークションの導入を求める電波法改正案を議員提案し、同日に審議された。民主党の提案が通るはずはないから、わが国では電波オークションが実施される可能性は当面ない。OECD34か国中31か国ですでに実施されており、研究の余地もないと思うのだが。

その間は、総務省による恣意的な電波配分が続くわけだ。すでに、地域WiMAXに恣意的に配分して失敗しているというのに。衛星放送のシアター・テレビジョンは、この状況を皮肉って、落札者が放送したいものを自由に放送する「電波オークション」を実施した。シアター・テレビジョンには拍手を送りたい。一方で、経済価値を電波配分に反映させるために、安倍政権は電波行政という岩盤規制の撤廃に動いてほしい。